各社のIC化の初期のディスクリートで構成した定電圧回路を記載します。
 中央の YAESUの回路はシンプルでよく使われる回路です。比較トランジスター2SC372のエミッタにツェナーダイオードで基準電圧を作り、ベース電圧との比較でコントロールする回路です。出力電圧が上がるとベース電流が増え、コレクタ電流も増えます。すると制御トランジスター2SD313のベース電圧が下がりますので、出力電圧は下げられ安定化されます。右側のツェナーは制御トランジスタにたいしてベース電流を供給しますが、入力電圧変動にたいして安定化させるために入れます。
TRIO の回路は比較にエミッタ共通のカレントミラー回路を使っています。出力電圧が上がると、Q4のコレクタ電圧が下がり、Q2のベース電流が減少します。それによって制御トランジスターの2SA537のベース電流が減るようにコントロールされ、安定化の動作をします。制御トランジスターに PNP型を使うことで入出力電圧差が少なくても動作できるようになります。
 ICOMの回路は 12V 電源を作る用途ですが、電流を多くとるためダーリントン接続で制御トランジスターを構成しています。またコントロール部のツェナーダイオードの位置も TRIOとは違ってホット側に接続されていますが、こうすることによって抵抗分割よりツェナーダイオードの電圧シフトの側が電圧変動の検出が敏感になり、電圧上昇時はツェナー側のトランジスターの電流が増え、反対側の制御トランジスターに接続されている側の電流が減ります。それによって制御電流が減り、出力電圧を下げるよう働きます。いちばん右側の 2SA1046は過電流の時にONして制御トランジスターのベースエミッタ間をショートするよう働き、過電流保護します。