使うシリーズ

2011年9月16日 (金)

FETを使う

FETを使うには
 まず FETの種類については FETのはなしを参照ください。今回は比較的最近使われる MOS-FETを例に挙げますが、動作の基本は変わりません。
ハード的には
 FETには 2SJ XXX という Pチャンネルのものと、 2SKXXXという Nチャンネルのものがあります。通常ソースをGND側にして、プラスの電圧をドレインにかけて使うのは Nチャンネルの 2SKXXXを使います。
ハイサイドスイッチなど、電源側をスイッチングしたい場合は Pチャンネルの 2SJXXXを使いますが、増幅回路ではあまり使われませんので、今回 Nチャンネルで説明します。Use_fet
 右図は代表的なソース接地増幅回路です。FETには特性上2つの種類があります。それはゲートバイアスが0Vの時に電流が流れる「ディプレッション型」と電流が流れない「エンハンスメント型」です。これはここで詳しく解説しています。 通常使うソース接地の回路ではソースに抵抗 Rs が入っています。これは特にディプレッション型に必要で、ゲートにマイナスバイアスをかけるために必要なのです。なぜかというと、この Rsによってドレイン電流(Id)に応じた電圧( Vs = Rs x Id)がソース端子に発生するからです。ゲートは RgによってGNDに落とされていますので電位は 0V、ソースは Vs となりますと、ソースから見るとゲートは -Vsにバイアスされているように見えます。 この働きでゲートにマイナスのバイアスをかけることが出来るのです。
 また、このバイアス方法は熱などでドレイン電流が増えた場合にソース電位を上げ、結果としてゲートのマイナスバイアスをマイナス側に動かす効果があります。よってゲートがマイナス側に深くなるので、ドレイン電流が減って安定化されるということです。これはトランジスタのエミッター抵抗の働きと似ています。
ソフト的には
 ソースが放熱版取り付け用のフランジになっているパワーFETはどうしたら良いでしょうか?
仕方が無いので、安定したマイナス電源をゲートに加えるほかありませんね。そのために専用のバイアスICオペアンプでのバイアス回路など高周波のFETをバイアスするには結構苦労しています。


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2011年9月 6日 (火)

ベース接地回路のはなし

ベース接地回路とは
Basecomm
 ベースを交流的に接地したアンプで、入力インピーダンスが低いことからトランジスタアンプの段間に入れたり、高周波増幅段に使ったりします。
ハード的には
 ベースを接地していますが、基本的にはべース・エミッター間に信号が入力され、コレクタから出力します。コレクターとエミッターはほぼ同じ電流が流れますが、エミッター電位を変化させる入力信号電圧がコレクタ電流を変化させ、コレクターの負荷インピーダンスに応じた電圧利得が得られます。
 ベース接地増幅回路はベースが接地されているので、エミッタ接地回路のベース・コレクタ間の寄生コンデンサーによるミラー効果による高域のゲイン低下がないので、比較的高周波特性がよく、トランジスタ自体の性能が良くなかった頃は、高周波増幅段によく使われました。
 増幅器の段間に使う例は以下のとおりです。
0909analog_zu01
 EETIMES Japan の記事ですが、エミッタ接地増幅回路のコレクタ負荷のような形でベース接地回路が組み込まれています。自分のベース接地回路でミラー効果が起きないだけでなく、前段のエミッタ接地回路の負荷インピーダンスが下がりますので、ベースに帰還する信号のミラー効果を減少させることができます。
ソフト的には
 最近はベース接地回路と同じような目的で、 J-FET でのゲート接地回路なんかもポピュラーですが、高周波増幅の初段はゲインを稼ぐよりも雑音が少なかったり、周波数特性に優れた回路が好んで使われるようです。

-------------------- 参考図書 -------------------------------------
高周波回路設計ノウハウ (現場技術者実戦シリーズ)61kovsnk4rl_sl500_aa300_


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2011年9月 5日 (月)

コレクタ接地増幅回路のはなし

コレクタ接地増幅回路とは
Corcomm
 交流的にコレクターを接地して使う増幅回路です。いわゆる、エミッターフォロアと呼ばれる回路になりますね。
ハード的には
 ベースから信号を入力して、エミッターから信号を取り出します。ベース・エミッター間はVbeで電圧が変わらないので、出力電圧は入力とほぼ同じで、増幅度は1です。 なぜ増幅しないこのような回路が必要かというと、電圧は増幅していないのですが、電流を増幅しているのです。オペアンプなどは出力可能電流は通常数mAで、例えば50Ωとかビデオ信号の 75Ωなどの負荷を駆動するには、出力電流の大きなオペアンプを使うか、このようなエミッターフォロア回路をつけて、バッファーとして出力電流を増やしてドライブ出来るようにします。高速大電流出力のオペアンプが高かった頃は、ビデオ出力回路はほとんどこのような回路を使っていました。周波数特性はは以下のようになります。
Emifol
 低域の落ち込みは4.7µFのコンデンサーによるもので、容量を10倍にすれば、カットオフ周波数も10分の1になります。エミッターフォロアーは増幅度が1なので、発振しないように思いますが、高い周波数で簡単に発振してしまいます。実際使う周波数よりもかなり高い周波数での発振なので「なんか波形が歪む」とか「トランジスタが熱い」程度で見つからない場合が多いです。
Vco
 右図のようにエミッターフォロア回路はベース・エミッタ間とエミッター・GND間にコンデンサーを入れれば、発振回路になってしまいます。パターンでベース・エミッターが近かったり、出力にコンデンサーの負荷が大きかったりすると発振しやすいようです。高周波域の発振なのでベース・GND間に100pF程度のコンデンサーを入れたり、長くてインダクタンスになっているパターンを修正したりして防ぎます。
ソフト的には
 エミッターフォローワーはコレクターとONするときは出力インピーダンスが低いのですが、低い電圧を出す電流がすくない時はエミッター抵抗による効果が大きく、インピーダンスを下げるには低めの抵抗値が必要ですが、電流が増えてしまいます。ですから低電圧(0V付近)で使いたい場合はマイナス電源を使って、トランジスターに流す電流を確保したほうが歪などの点では有利です。この回路をNPNとPNPの両方のトランジスターを電源側とGND側にコレクタ接地アンプとして使うのがいわゆるコンプリメンタリープッシュプル回路ですが、OPアンプなどで出力回路に使われています。またビデオ出力などでは無信号時にDCが出るのは好ましくないので、コンデンサーでDCカットしたりしますが、75Ω負荷で周波数特性を確保するには、数1000µFが必要になりますので、マイナス電源を使ってコンデンサーを省略したり、レールトゥレールOPアンプを使って低電圧の電源でも使えるようにします。

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2011年9月 1日 (木)

エミッタ接地アンプのシミュレーション

エミッタ接地アンプのシミュレーションとは
 前回のエミッタ接地増幅器回路をシミュレーターで実験してみました。
Cir_copy
ハード的には
 動作が分かりやすいようにコレクタ電圧の波形で測定しました。
入力信号はサイン波で 25mVp-p 10kHzで、電源電圧は 15V です。トランジスタはシュミレーターデフォルトの 2N2222ですが、fT=250MHz , hfe= 50( @1mA) ,Pt = 500mW なので、中電力用で増幅用というよりはスイッチング用なのですが、まずはそのまま特性を見てみました。
Sign_copy_2
 図の緑色がこの回路での出力波形です。センターが 5V付近となり、信号の上側が少し潰れているようにみえます。やはり中電力用のトランジスタなので電流をもうすこし流さないと歪んでしまうようです。赤色の線は電流をもう少し増やした場合で、 R3= 56k ,R4= 4.7kです。負荷が 10kΩと軽い条件なので、出力波形は約 5Vp-p 、160倍ぐらいの増幅度です。
 さてこの回路の周波数特性はどうでしょう。Freq_copy_2
 赤色がこの回路の特性です。低域があまり良くありませんね。入出力のコンデンサーかと思って10倍にしてみましたが変化がありません。もしやと思ってエミッターに入っている C3 10µFを100µFに増やしたら紫の線のように低域が改善されました。この紫の特性はさらに高域も良くするためにコレクタ電流を流し、R1=330Ω ,R4=2.2kにした特性です。オーディオ用にはまだ低域が不満ですね。10Hzまで伸ばすにはカップリングの C1.C2は 47uFで良かったのですが、C3は4700µF必要となりました。インピーダンスが低い場所ではこのように大きなコンデンサーが必要です。試しにC3を削除してR1=47Ω,R4=560Ωとするとエミッターで負帰還がかかってゲインは10倍になりますがフラットな特性になります。固定ゲインで使いたい場合など、エミッターを抵抗だけにして低ゲインにて動作させる使い方もあります。
ソフト的には
 トランジスタ1石であまりゲインを求めようとすると帯域が狭くなってしまいますので、2石を使って負帰還をかけ、増幅度を一定に設計したアンプがよく使われます。しかしながら1石でも高い電源電圧を使えますので最終段に使ったり、出力段の保護のためのバッファ的な役目や逆に 5VのICへのインターフェイスなどに使うなど、簡単な増幅に便利な回路です。


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2011年8月31日 (水)

エミッタ接地増幅回路

エミッタ接地増幅回路とは
 トランジスタを使っての増幅回路の方式の1つで、トランジスタの各端子(エミッター・コレクター・ベース)を接地(交流的に)する回路別に3種類あるが、最もポピュラーな回路です。Emcomm
ハード的には
 右図のようにベースから入力してコレクタから出力する回路です。エミッターは直流的には 1kΩ でGNDに接続されていますが、ここに 10µFのコンデンサーがあるので、GNDに対して交流的にショート状態だと考えられます。
 エミッタ接地増幅回路の特徴の1つは、入力インピーダンスが低いことです。交流的にはほとんどベースエミッター間のダイオードとして電流が流ればONしますので、ダイオードのON抵抗が入力インピーダンスと同じになります。出力インピーダンスはコレクタ電流の値で変化しますが、低周波領域では負荷抵抗に大きく左右されますので、負荷や電源電圧に応じてコレクタの抵抗値を算出します。
 図の回路での各抵抗定数のバイアス条件から電圧を追ってみます。電源電圧を 15Vトしていますので、ベースの電位を r1と R2から計算すると Vb = 15V x R1/(R1+R2) = 15 x 12/(12+100) = 1.6V となります。ベース・エミッタ間(Vbe)を0.7Vとするとエミッタの電位は 1.6V -0.7V = 0.9V となります。エミッターには 1kΩが繋がっていますので、電流は 0.9V ÷ 1kΩ = 0.9mA 流れていることになります。この状態でコレクタ抵抗 R4は 10kΩなので 0.9mA 流れると 9V電圧降下があります。よってコレクタの電位は 15V - 9V = 6V となり、コレクター・エミッタ間の電圧は 6V - 0.9V = 5.1V 電流が 0.9mAなので、電力損失は 5.1V x 0.9mA = 4.6mW となります。仮にトランジスタが完全 ONした場合はコレクタエミッターのON電圧(Vce-sat)を0.3Vとして、抵抗分割で計算すると出力電位は (15V-0.3V) x 1kΩ/(1kΩ+10kΩ) + 0.3V = 1.63V 、OFFした場合は 15V なのでフルスイングは 13.3Vとなりますが、信号がない時に 6Vなので 上側には 15V-6V = 9V あるのに対し、下側には 6V- 1.63V = 4.37V となりますので、実質的には下側が早くクリップしますので、 4.37V x 2 = 8.74V p-p までスイングできることになります。
 増幅度はトランジスタの 電流増幅率( hfe )によって変わりますし、入力インピーダンスや出力インピーダンスとのマッチングによっても大きく変化しますが、10倍〜20倍程度は通常確保できます。
 エミッター接地回路の弱点は、トランジスターのコレクタ・ベース容量による性能劣化です。エミッター接地回路ではコレクターがベースと位相が反転していますので、この容量によって信号が負帰還のように戻り、高域での周波数特性が悪くなる「ミラー効果」なる現象が現れます。
ソフト的には
 出力スイングを大きくするにはエミッター電圧を下げるのも1つの方法ですが、あまり下げるといままでこのエミッター抵抗で直流的にかかっていた直流帰還が減ってしまいます。これはエミッターに抵抗があるためコレクターの電流が何かの原因で(温度や電源電圧の変動)増えた場合、エミッターの電位が上昇します。そうするとベース電位はほぼ固定されていますので、ベース・エミッター間の電圧が下がることになります。それによってベース電流が減り、コレクタ電流も減らされて元の値に戻るというものです。この効果がエミッタ抵抗が小さくなると働きにくくなります。高周波のアンプではエミッターを直接GNDに接続して放熱効果をあげていますので、そのような場合はベース電圧をうまく温度や電源電圧変動で補償してやる回路が必要です。


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2011年8月26日 (金)

トランジスターのしくみ

トランジスターのしくみとは
 これまでダイオード関連の話を書いてきた使うシリーズですが、今回からトランジスターにすすんでみます。まずは古典的なトランジスターのしくみですが..
ハード的には
Tr_pnp01
 初めて使ったトランジスターはゲルマニウムトランジスターで、2SB54とか2SA101とかいういわゆる PNP タイプの石でした。中学生の頃、壊れたトランジスターを壊して開けると中から四角い板に両面ハンダ付けしてあるものが白いシリコン液のようなものに封入されていました。これは接合型トランジスター( junction transistor)で、最も初期の頃はほとんどのタイプがこれで、やがて 2SC/2SDのシリコントランジスターが出てくるとシリコンウエハーの上に不純物を拡散して作るプレーナー型トランジスタ( planar transistor)が主流になってきました。
 大学生の頃は実験でこの接合型トランジスタを簡易炉を使って作る実験をさせてもらいましたが、ほんとにN型シリコンの板にP型不純物金属を乘せて焼くだけだったと記憶しています。金属を溶かしてN型半導体の中にP型半導体が再結晶されるのですが、残るN型の薄い層がベース(base)になります。この薄さは1µm程度でここが薄いので電子がすり抜けてコレクタ側の正孔(電子の足りない状態)と結合しやすいのです。 このベースをいかに薄く作れるかで電流増幅率が変わってくるのですが、不純物拡散で作るプレーナー型のほうがやはり有利だったのでしょう。このように構造的にはダイオードのPN接合を2つくっつけた構造なのですが、ダイオードを2つ使ってもトランジスタにならないのは、このベースの薄い構造に由来しているからです。しかしながら動作時にベース・エミッター間はまさにダイオードのように働きますので、ここを忘れないようにしましょう。トランジスタの動作の基本はベースエミッター電圧をきちんと知ることから始まるかと思いますが、その点は次回のお楽しみ。
ソフト的には
 製造方法、構造から見てもエミッターとコレクターはあまり変わりませんね。そのとおりで、実はエミッターとコレクターを逆にしてもトランジスターとして動作します。しかしながら性能はやはり落ちますが....
 エミッターの語源は[Emitter](電子を放出する)で、コレクターは[collector](電子を集める)に由来しています。接合型半導体で判るように、ベースになる部分の板がトランジスタ構造の基盤になっていますので、これがベース[base](基盤)の語源になったのではないかと思われます。(命名初期は点接触トランジスタだったかな??)


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2011年5月23日 (月)

高周波でダイオードを使う

高周波でダイオードを使うとは
過去の記事を引用してみます。
●高周波で使うダイオード
 PINダイオードのはなし
●高周波を検波するには
 ダイオード検波のはなし
 検波用ダイオードのはなし
 ANLのはなし
●高周波をダイオードでスイッチするには
 PIN SW のはなし
 DiodeSWのはなし
●高周波で抵抗値を可変するダイオード
 RFATTのはなし
 PIN ATTのはなし
●周波数をダイオードで逓倍する
 周波数逓倍(ていばい)のはなし
 周波数ダブラーのはなし
 周波数逓倍回路を考える

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2011年5月19日 (木)

デジタルでダイオードを使う

デジタルでダイオードを使うとは
 古くは DTL ( Diode Transistor Logic )とよばれるダイオードを使ったデジタルICが使われていました。Diode_gateここではダイオードを使ってロジック回路に応用する例をあげます。
ハード的には
 右図のようにダイオードを使って様々な入力の合成をすることが出来ます。
1) OR 回路
 ダイオードを正論理で使い、GNDに接続した抵抗に電流が流れ込むようにダイオードを配置します。どちらかの入力でも電圧がかかると電流が流れ、出力である抵抗の両端に入力電圧- Vf(ダイオード順方向電圧)の電圧が出力されます。この回路はどれか1つの入力から電圧がかかればONになりますので OR回路として使用できます。
2)AND回路
 ダイオードを負論理( 0V ... GNDに落とすことで 0入力とする、何もしないまたは電圧をかけた場合を1とする)で使う回路で、電源に接続した抵抗をプルアップのように使い、ダイオードでGNDに落とすように入力を配置した回路です。この回路はどれかの入力がGNDに落とされる(0入力)と出力は0になり、全ての入力が1(High )の時だけ出力が 1(High)となります。よってアラーム回路などで正常時がHigh、アラームが出たときに Low となる回路をこの回路でまとめると全てのアラームが無い場合だけ出力アラームが出ない状態に設定できます。
ソフト的には
 ダイオードのロジック応用はダイオードだけでなく、トランジスタやCMOSゲートICなどと一緒に使われます。ロジックICの入力数を増やす場合や、必ずしも 5Vレベルの信号でない場合にも応用できますので覚えておくと有用です。

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2011年5月18日 (水)

ダイオード整流回路を使う

ダイオード整流回路とは
 ダイオードを使って交流を整流して直流にする回路です。交流商用電源を直流にする用途や、インバーターに用いて電圧を昇圧するなどの用途に加え、高周波を電圧に変換する用途にも応用できます。
ハード的には
Ac_det_2
1)半波整流回路
 ダイオードを使って整流する基本は、ダイオードを1本使って交流サイクルの半サイクルのみを整流する回路です。直流出力はコンデンサーで平滑するので、負荷によって電圧は変動しますが、交流100Vの場合、実行値で100Vということはピークで√2倍 141Vとなります。よって整流出力は 141Vとなりますが、半波のみ使用するので効率が悪く、半波ごとの脈流が残り,リップッルも多く出ます。
2)両波整流回路
 ダイオードを2つ使って、正負の両方のサイクルを整流します。主にトランスなどを使った場合にセンタータップを利用して使う回路ですが、半波整流回路よりもリップル・効率を上げるため改良された回路です。
3)倍電圧半波整流回路
 正負の両方のサイクルを個別に整流し、それらを直列に加えて、2倍の整流電圧を得ることが出来る回路です。2倍の電圧になりますが、グランドが入出力で異なるのでトランスなどを利用する場合は有用です。
4)コンデンサー入力倍電圧回路
 入力にコンデンサーを直列に入れた回路で、負のサイクルにコンデンサーに充電しておき、正のサイクル時にコンデンサーに充電した電圧と正のサイクルを直列に合成して倍の電圧を得ル回路です。高周波の検波などにも利用できる回路です。
5)ブリッジ整流
 ブリッジダイオードを使って交流を両波(全波)整流する回路。AC入力スイッチング電源などにもよく使われる効率の良い回路です。4つのダイオードが1パッケージに入ったものが使われています。
6)コッククロフト・ウォルトン回路
 ダイオードとコンデンサーをハシゴのように積み重ねて何倍かの高電圧を作成する回路。高い電圧を作るのに有用ですが、低い電源電圧の場合はダイオードの順方向電圧のロスが大きく、電源電圧5Vの場合、シリコンダイオード(順方向電圧0.7V)の場合、4倍回路でも 5V x 4 - ( 0.7V x 3 )=18V 程度となります。
ソフト的には
 高周波の検波はバイアス回路などが重要で、入力側にコイルが必要になったり、小信号の場合には抵抗でバイアスをかけたりする必要があります。


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2011年5月17日 (火)

リミッターダイオードを使う

リミッターダイオードとは
ダイオードの順方向の電流特性を利用して、順方向電圧(Vf)以下ではほとんど電流が流れない状態を通常使用状態として、過大な入力時にVfを越えて電流が流れ、結果として出力に過大な電圧を通過させない働きをします。振幅を制限するリミッターとしてダイオードを使用しています。
ハード的には
Limiter
 交流信号に制限をしたい場合は、正負両方にダイオードが必要です。右図の上側は Vf以下の信号を通過させる場合に使用できる回路で、主に高周波信号や1V以下の小信号伝送時の保護に使います。ダイオードをショットキーバリアダイオードなどに変えれば 0.1V〜0.5V程度の振幅に制限することが出来ます。高周波で使用する場合はダイオードの容量に注意しないと直流的にはONしなくても、高周波的にマッチングがくるう恐れがあります。
 下側は主にデジタル回路の過電圧入力に使われるリミッターですが、ダイオードを電源(Vdd)とGNDにそれぞれ接続することによって、Vdd+Vf 以上の場合や -Vfの場合にダイオードがONして電圧を制限します。それぞれのダイオードが繋がる電圧を変えることで任意の電圧に制限することが出来ます。
ソフト的には
 ダイオード以外に過電圧を保護する素子に、サージアブソーバーがあります。最近では半導体で小型なものが出来ています。面実装のガスアレスタなど、入力保護用の素子については入力保護のはなしを参照下さい。


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