アナログ

2024年12月 5日 (木)

MIDAS Venice Mixerの修理(電源編)

3日目は電源を入れて確認
電源を入れて、電圧を確認するためにはリア側に電源プラグをささないといけないし、基板が見えるように全体を横にして内部を開いたままにして設置し直した。

 電源入れてすぐにLEDランプとの挙動が判るようにみながらスイッチON。通常に起動したようで、アナログミキサなので直ぐにランプ等は立ち上がる。遅れて出力ON用のリレーがONする音が聞こえる。まずは 最上位のRED(ピーク用)の端子をチェックして -16V 近辺が来ているのを確認。次にLM2901の電源端子を測定して電源電圧を見る。

 ところが GND側に -16Vが来ているが、Vcc 側は 4.6Vという変な電圧だった。
どこかで 5V ラインとショートしているか、負荷電流が増えて本来16Vあるはずの電圧がドロップしているのでは無いかと思い、一度電源を切って電源ユニットから来ているコネクタを外して、再度チェックしてみる。今回サービスマニュアルに電源部も載っていたので、供給している電圧は±16Vと 12V ,48Vとわかっていたので、該当するコネクタのピンをチェックした。

 +16Vの来ているピンは CN21-2,4 で-16Vは CN21-6,8 で CN21に来ていることが判る。調べてみると -16V 端子は -20Vぐらい、+16V端子は 5V 程度だった。初めは 5V電源端子ではないかと思ったが、この電源には +5Vは使っていない。やはり電源ユニットの +16Vの電圧自体がおかしい。

次は電源ユニットを開けなければならない
 大きな鉄製のケースがナット12本ほどで締められている。ケース端に近い所は、ナット用ボックスドライバーの長さが足りず、手回しで開けるので手間がかかった。電源トランスはトロイダルコアで、トランス自体も鉄製のケースで覆われている。さすがハム対策などプロの仕事と感心した。以下の写真は電源部で中央が±16V用のブリッジ整流器と両側にパワートランジスタ、可変3端子は中央のケミコンの上下にあるやつだと考えられる。

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回路図は±16Vのものだが、 可変電圧用の3端子レギュレター LM317Mとマイナス用のLM337が使われている。この3端子レギュレターにプラス側ではPNPパワートランジスタ、マイナス側ではNPNパワートランジスタを追加して、電流出力を増やすオーソドックスな回路である。

 テスタでLM317の電圧をチャックすると Pin1 3.3V ,Pin2 4.6V ,Pin3 25V とやはり出力がおかしい。トランジスタQ1 をダイオードモードでチェックするとB-E間がショート(0V)なので、外して確認。外して確認すると問題無かった。実は B- E間に R3 47Ω があったので、テスターのダイオードモードでは 0Vになってショートと勘違いしたのでした。それなら電圧設定の Pin 1付近が怪しいと、テスターのオームレンジで測ると 660Ω と本来 5.6K // 5.1k なので 2.6kΩぐらいのはずなので、おかしい。やはり ここは電解コンデンサー C14が絶対怪しいと思って外して測って見る。...が、問題無い。

???と頭を抱えたが
残るは C32 のなんだか小さい 0.1uF セラコン。外して抵抗値を測るとなんと 900Ω !! 原因はこれでした。
めったに無いこと(前にショートしていたSMDセラコンがあったが)ですが、セラコンが内部で絶縁が劣化して抵抗値をもっていたようです。部品の不良でしょうか?

再発が怖いので、フィルムコンデンサー 0.1uF /50V に交換、もうひとつの C33 も念のために交換しました。やっぱノイズ対策に必要なこの位置のコンデンサーは 0.1uF でも大事ですね。完全にショートなら電圧が出なくて動作不良の症状も激しかったかと思いますが、中途半端な劣化で抵抗値を持ち、+16Vが 5V ぐらいになっても動作不全に至らなかったのではないかと思われます。

MIDAS のミキサーは入力部が秀逸と言われていますが、回路図を見ると XLRの差動入力 + - は通常ローノイズ化のため初段にトランジスタを使ってオペアンプのプラスと-入力に入れるのですが、プラスとマイナスそれぞれに専用のオペアンプを使って、別の差動専用アンプ(NJM5532)を使っているかなり凝った回路です。このあたりの差動を意識した構成が、例え電源電圧が5Vに落ちてもなんとか動いてしまう理由なのかも知れません。

 稼働中にコンデンサーが劣化して、ミキサーがストップするなんて事態は許されないですものね。

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2024年12月 4日 (水)

MIDAS Venice Mixerの修理

MIDASの Mixer が調子悪いとのことで、修理を依頼された。
LEDのメーターがおかしいのと雑音が出るとのことで、繋いでヘッドフォンで聴いてみると普通に各CH音が出るし動作上問題ないようだ。
ただ、メーターがピーク付近までレベルを上げると一番上の赤色が点灯せずに全体が暗くなってしまう。
なんとなくプロの機械にしては抜けが悪いか、ダイナミックレンジが低いように感じる。1日目は動作試験を行い、他に悪いところがないか連続して動作してみたが特に見つからなかった。

仕方がないので内部を調査(2日目)
メーター動作がおかしいので、一番ピークのラインがショートしてるかで、電圧がドロップするのでは?と思って基板が見えるように分解。
ビスがプラスネジや6角ネジで無く、トルクスネジだったので、対応する3種類の大きさをなんとか探して開ける。基本的には下側の電源部と後側のコネクタ接続部、表面のスイッチ操作部分に分かれる。
結構大きな基板になっているので、表側を見るには大変そう。ミキシングのメインやバス付近の部分はシールド版で裏面も基板を覆っているので外さないと LED 付近は見えない。外してみるとLED4列と14ピンのICが14個近くにある。

 とりあえず、LEDのショートチェック(デスタのダイオードレンジで順方向電圧を見る)。緑や黄色・赤LEDなのでなのでだいたい 1.5〜1.7Vぐらいでどれも正常。測っているうちにどうもLEDが直列になっているようだ。それで 14P の LEDレベル表示の ICを探すが、シリーズに繋がってドライブするのは無く、4個ぐらいづつシリーズになっているのがあるが IC自体は 20Pin 以上の大きなものしかない。

サービスマニュアルを探す
ちょっとラチがあかないので、 "MIDAS VENICE Mixer "でサービスマニュアルを探して、なんとか見つけたのが以下の回路図。

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ドライブするICは LM2901という4個入りオープンコレクタのコンパレーターで、各レベルに対して OFFにするとLEDに電流が順次流れ、トランジスタで定電流をつくっているようだ。基板上で配置を確認。テスターで出力端子付近をチェックしても特に IC が壊れたり、シュートしているようではなかった。

2日目はこの周辺の部品位置や電源の供給ポイントなど接続をテスターで確認して終了。次は電源を入れて電圧をチェックしてみる。

< 次回 電源チェック編に続く >

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2024年5月21日 (火)

真空管のはなし

真空管のはなしとは

テレビが液晶になって最後の家電用真空管の「ブラウン管」が消えてからだいぶ経ちました。
今真空管を使っているのは、アナログオーディオマニアとギターアンプにこだわりのあるギタリスト(ミュージシャン)ぐらいだそうです。そんなご時世になんと、ギターマガジン5月号が「真空管」の特集を組んだのです。

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思わず、現物の雑誌を買ってしまいました。(Amazon Kindle 読み放題でも読めるけど)

 すごいのは、真空管内部構造までイラスト付きで解説してあり、真空度を保つゲッターの機能まで言及があるなかなかの内容です。
私も中学生の頃にラジオや無線機、オーディオアンプを作ったり、バラしたり楽しみましたが、なにせ真空管は数百ボルトの高電圧でないと動かないので、うっかりさわって感電して冷や汗をかいたことが何度もあります。高い電圧に慣れっこになるとAC100V ぐらいではコンセントのプラグを手でつまんで「ああ 来てる来てる」とテスター代わりしてたくらいでした。

 真空管は基本的にはN-CH FETのようにプラスの電源をかけて動きますが、電流を制御する「グリッド」はマイナスの電圧をかけて制御します。このマイナスを作り出すにはまず、グリッドを高抵抗でGNDに落として、0電位とし、カソード(FET ではソース)とGND間に抵抗を入れて電圧をドロップさせてそこに生じる電圧でカソードーグリッド間のバイアス電圧に使うのが定石でした。

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 このしくみによって、何かの変動で真空管に電流が流れすぎるとこの抵抗に電流が流れるのでバイアス電圧も大きくなり、バイアスが深くなって電流を制限するDC負帰還が自然にかかっています。ですから、真空管で自作していた頃は意外とラフな定数の抵抗でも普通に動いていましたので、初心者にはかえって良かったかもしてません。

 その後、トランジスタの時代になって、ゲルマニウムトランジスタで作っていた頃、シリコントランジスタに変わってきた頃などとベースバイアス設定とかがシビアで動かなかったり、歪んだりして苦労しました。

 真空管アンプは「3次歪みでなく、歪んでも倍音成分が出る」とよく言われます。真空管のアンプを作っていた頃はクリッピングしても波形を見ると丸いんですね。トランスを使っていたり、上記の負帰還バイアスのためもあって急激なクリップはしないのです。
反してトランジスターアンプを作った時はクリッピングの頭が見事に平らになります。ですからクリッピングがしないように最大値を十分マージン取っての推奨動作となります。真空管の場合は多少ピークでクリップしても気にならないので、トランジスタアンプでは 40W ぐらいのアンプが必要な同じ音量でも真空管アンプでは 5W ぐらいで十分な場合があります。

我が家にも自作の 6L6 シングルアンプがあるのですが、寿命が気になってめったに使えませんね。

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2023年8月 6日 (日)

パワーアンプ RAMSA WP-1200A の修理

パワーアンプ RAMSA WP-1200A の修理を依頼された。
 現物は、片チャンネルが歪むということで、鳴らしてみると確かにRCHが歪む。LCHが問題無さそうなので波形を比較してみているとRCHのプラス側スイングが全くしていない。基板の上側からオシロのプローブでトランジスタのベースなどをチェックしていると、何かのタイミングでLCHも無音になった。RCHは相変わらず歪んでいる。

 仕方が無いので、基板をシャーシから外して全てのトランジスタの B-E 間、B-C間のダイオード特性の確認。 CーE 間ショートのないことを確認したが、相変わらず無音と歪み状態。

 以前も修理した機種で、回路図があることが判っていたので、それを見ながら初段から信号を追っていこうと思ったが、始めからつまずいた。初段のベースには信号が来ているのにコレクタが無信号というか全然増幅してない。RCHはドライバ段のベース波形がかろうじて歪んだ波形で見える程度。回路図とにらめっこすると、抵抗値のない不思議な抵抗 R497 , R499 がありました。この Q401〜Q403は初段でトランジスタのエミッタ電流をカットして、ミュートするようですが、実物を見ると 10KΩ で 1/4 W品かと思われます。ここを通った後の電圧が 0V なのでどうやら切れてしまったようです。外してみると抵抗値は無限大。それで RCHの片側がかろうじて高抵抗のまま保持していたようです。LCH はチェックでいじっている内に力尽きたか?

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 サービスマニュアルではどうやらこの抵抗で 70Vを 14V程度に落としているようですが、70 -14 = 56V 10KΩなので電流は 56V ÷ 10KΩ = 5.6mA    56V x 5.6mA =313.6mW なので、 1/4W ではきついでしょう。そのあたりの問題で抵抗値が書いてないのか?結局 10kΩ1Wの酸金抵抗に変えて、めでたく +14V ,-14Vが確保できました。

 バラックテストではスピーカー端子から正常な波形がオシロで確認出来たので、組み立てて再度ダミー抵抗でエージングテストです。この交換した抵抗ですが、基板に垂直にして放熱をよくするように実装しました。

ちょっと思い出したぞ、確か前の修理もここ交換したっけ...
年ですね。

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2023年7月15日 (土)

BOSE Power AMP 1701 の修理の話

BOSE 1701 とは

アルミ筐体の小型でずっしりとくる、BOSE社のパワーアンプです。
1701は初期のもので、ウォークマンなどと繋げて使うようにDC6V200mA の出力ジャックも付いています。
入力は RCAジャック High / Low レベル対応で、後の 1705ではここが片方プリ出力となったり、1701でのステレオ・モノ切り替えのスイッチが、繋げるスピーカーを選択してイコライジングを変えるスイッチになっています。

 とここまでアンプの紹介ですが、修理の内容は片チャンネルが音が歪むというモノ。確かに片方は歪んでいるし音が小さい。
オシロで見ると、スピーカーを繋げないと正常な方とほぼ同じ波形だが、スピーカーを繋ぐとマイナス側には振れず、クリップする波形でした。

中を開けて ICを見ると STK4183 とありました。ネットでデーターシートを探してピン配置を確認。
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正常側の Pin5 から Pin7には導通があるのに、 Pin 12から Pin11 には高抵抗となっていて、やはりこのICの片側が破損しているようでした。Pin12とPin11との間に 100Ωぐらいの抵抗を入れると、歪みが良くなるので、出力ショート状態か、誤って電圧をかけてしまった可能性があります。このセットは保護抵抗や発振止めコイルなどいっさい省いてますから。1705からは出力リレーがついていますので、少しは安心かな? ICを外して表面をよーく眺めると、確かに中央から悪いCH側が膨らんでいるよう。横からの写真でも膨らんでいるのが判りますね。
STKと4813の間あたり。

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とりあえず、入力側のコンデンサーをオーディオランクに交換。4700uF/35Vの電源用電解コンも 4700uF/50Vに交換してリップル対策の加工しておきます。あとはオークションでゲットした ICが届くのを待つばかり。

BOSE1701は初めてですが、 1705 は6台、1702 は4台修理しましたが、ボリュームのガリの症状が一番多い。電源スイッチ破損とかスピーカー端子破損なんかも多いですね。コンパクトなのでいろんな場所で使うせいか、キズが多いのもこのモデルの特色。何台かは全塗装したけど POWER とか VOLUME 表示が消えちゃうとちょっと寂しいです。

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2023年1月 1日 (日)

BOSE 802-E ACTIVE EQUALIZER のはなし

2023年 あけましておめでとうございます お屠蘇が入った午後に書いています。

BOSE 802-E ACTIVE EQUALIZER とは

BOSE の PAスピーカーである 802 はフルレンジの11.5cm口径のユニットを8本使っているスピーカーです。Scrshot-20230101-143706
私の持っている 101MM というスピーカーはこのスピーカーユニット1本で構成され、専用の1705というアンプはこの口径に合わせたイコライザーを持っていて、スイッチを入れると低音が豊かになったり、高音が前に出てくるような感じであった。

 この 802も普通では口径の小さいユニットなので、パワーを入れても低音が出ないし、高音もツィーターがないのでそこそこだと思われる。箱が大型なので低音を出すには有利かも知れないが、このスピーカーにも専用のイコライザユニットがあり、アンプの手前で超低音ユニット用の低音出力と、この802用の中・高音出力の2つを持つデバイダー型のものが 802-C というユニット。

 今回入手したのが、このスピーカー単体の低音・高音をイコライジングして使うための 802-E というもの。動作も問題なく動いているが、802のスピーカーを持っているわけではないので、鳴らすことはできない。それで、オシロと信号発生器で周波数特性をとってみた。
 入力レベルによって周波数特性を変えているかと思い、小信号 0.1V 程度と 1V程度で特性をとってみたが、変わらなかったので、純粋にイコライジングだけかと思われる、以下がその特性。

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55Hzぐらいにピークがあり、低域を6dB程度上げているのと同時に、無駄に入力過大にならないようパワーが出ない30Hz以下をカットしているのは PA 的だと思う。また、高域は 16KHz程度まで徐々に上げているので、高音の出方もよくなっているのではないかと思われる。
 この802というスピーカーの弟分に 402というユニット4本使ったスピーカーがあるが、これの修理をした際、面白いなと思ったのは4本のうち2本をシリーズにしたものをパラにして1本分と同じインピーダンスにしている点だ。しかもシリーズにするスピーカーが1本飛ばしで、位相も変えていたので、どうやらそのあたりもノウハウがあるのではないかと思う。

 この802のスピーカーもジャンクでいいから是非内部配線をみてみたいと感じた。オークションでも3〜4万するので、ちょっとためらうし家に置く場所がないのが1番の問題だな。

本年もよろしくお願いします。

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2022年12月29日 (木)

大型 7セグ LEDの表示のはなし

大型 7セグ LEDの表示のはなし とは

読者からの質問で、大型 7セグ LEDの表示方法について質問があったので、簡単に基礎の部分を書きます。

 7セグメントLEDとは、主に数字を表示するためのいわゆる「8の字」の表示 LEDで、バックトゥ・ザ・フィーチャーなどでの時間移動の表示にずらりと並んでいる、時計や時間表のに使われるやつです。随分昔からある表示器なので、いろいろ工夫されていますが、多桁表示についてはダイナミック表示など配線や駆動回路を簡単にしたものがあります。ここでは簡単に「大型LED」について書いてみます。

下の図は左側に表示LEDのaからgまでのセグメント(赤色)とその位置を
右側にLEDの内部回路、下側に駆動回路例を書いています。

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大型LEDは通常の1つのLEDを数個直列に並べて面積を稼いでいます。こうすると流す電流は少なくて済むのですが、1つの赤色LEDは約2Vくらい電圧が必要なので、3つでは6V以上の電圧が必要になります。普通のロジックの ICは電源電圧が 5Vぐらいなので、この場合はだいたい8Vから12Vくらいの電圧をかけて使います。図のLEDは「アノードコモン」といって、LEDのプラス側が共通になっています。ですからたとえば1番の 1...Tr ドライブ回路では Trが OFFのときにはコレクタには電源電圧(12Vぐらい)がかかるので、普通の 5Vで使うICは繋ぐと壊れる場合があります。そこで、オープンコレクタという回路でトランジスタで駆動すると、ベースには 0〜5Vの通常のロジック信号が使えるようになります。この1番のトランジスタの場合、ベースに +5Vをかけるとコレクタが ON (CーE間が導通)してLEDが光ります。

2番は直接スイッチで ON/OFFする方法です。7つの端子にすべてスイッチをつければ、それぞれ光らしたいセグメントをONできます。

3番はもうちょっとインテリジェントにするためダイオードマトリックスを使います。スイッチを入れるとダイオードでつながったセグメントが同時につくので、1個で複数のセグメントをつけることができます。ここで、注意したいのがダイオードの繋ぎ方です。当然他の数字の時も同じセグメントを使いたい場合があるので、そちらがONされた時に引きずられないように、ダイオードを使って分離しているわけです。この回路では他のスイッチに繋げるには抵抗とダイオードの間でひき回してダイオードをそこに入れて、スイッチに繋げます。

また、抵抗はどのような役割をするかというと、LEDに電流が流れすぎないようにするためで、例えば電源を 9V として LEDにかける電圧を2Vとすると1つにつき3個なので・約6Vとして、抵抗には 9V -6V = 3V の電圧降下が必要になります。
3Vで47Ωならば 3 ÷ 47 =64mA となります。抵抗には 3V x 64mA =191mWとなりますので 1/4W の抵抗で持ちそうですが、余裕を見て 1/2W ぐらいを使いたいですね。

トランジスタで駆動する場合は、デジタルICのカウンターと7セグメント変換ICなどが使えます。
TC4511BPなどは出力がオープンコレクタなのですが、カソードコモン(ー側が共通で電圧が出力されるタイプ)用なので、本記事の1番目のトランジスタ回路が必要です。また、トランジスタの B-E間に10K程度の抵抗が必要になる場合があります。
https://akizukidenshi.com/download/ds/Toshiba/tc4511.pdf

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2022年12月11日 (日)

トランジスタ技術2023新年号のはなし

トランジスタ技術2023新年号のはなしとは

来年1月号ですが、12月9日発売でした。

今回 ¥1,200とちょっと高い気がしたのですが、おまけに「トラ技創刊号復刻版」と「国民的トランジスタ 2SC1815とは」..の2つがついているのでコスパは良いかと思います。

 創刊号は1964年10月ですが、さすがに9歳の私はやっと学研のキットから「ラジオ屋」を目指した頃で、「トラ技」ではなく「初歩のラジオ」愛読者でした。まだ真空管ラジオ全盛で、ゲルマニウムラジオを作っていたころ、トランジスターはまだまだ高くて2石リフレックスラジオを作ったりしてました。ゲルマニウムトランジスターはVbe が0.2V程度と低いので3V程度の電池でよく動きましたが、後のシリコントランジスターが出てくると、Vbeが 0.6V程度と高いので、バイアス回路がそのままでは動かなくなったりして苦労しました。この附録は読み応えがあります。広告がそのままあるのが懐かしくて良いですね。

 もう1つの 「..2SC1815とは」ですが、最近復刻版も出ているようで、SMD版(コンパチ)も入手可能なようです。最近の国民的トランジスタは高周波まで十分使えるので、昔の高周波は 2SA 低周波は 2SB といったゲルマ時代と違って、2SC1815で何でも使えますね。私の頃は ポピュラーなのは2SC372 でした。2SC458,2SC945なんかよく使いました。

 本誌は創刊700号だそうで、内容も秋葉原・日本橋の発展、トランジスタ回路、GaNなどトランジスタ技術の名に恥じない内容です。
保存版としてどうでしょう?

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2022年8月12日 (金)

ポータブルアンプを作ってみたはなし

ポータブルアンプを作ってみたはなしとは

ちょっと前、YAMAHAのステージ用アンプ内蔵スピーカーのジャンク(ツイーターとケースだけ)をヤクオフで入手して、余っていたウーハーを取り付けて、スピーカーとして音が出る様になったのですが、アンプ部分がないのでこのスペースにバッテリーと小型デジタルアンプを入れて、ポータブルのPAシステムを作ろうと、色々部品をチェックしてました。

前回書いたの AMAZONの1300円のアンプを入れようかと思いましたが、ちょっと消費電流が多いので電池でポータブルとして使うのはイマイチな感じでした。電源としては瞬停バックアップの機械に使っている12Vの完全密封型鉛蓄電池 12V 7.2AHを秋月電子から入手してありました。計算では 消費電流1A 程度なら5〜6時間は使えればいいかなと思いましたが、1,300円アンプでは無信号時でも数100mA 流れるので、やっぱりデジタルアンプでなくては難しいと思いました。

そこで見つけたのが、 AMAZON の2個で 990円のアンプボードで 1x 60Wと怪しいスペックのものです。

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基板にのっているICは TPA3118 と書いてありますが、AMAZONのコメント欄にあるように本当のチップは TPA3111というモノラルのICであるようだ。ピン数も違うし、入力ピンの位置が違うのでおかしいなと思っていたらIC印刷変えてあるいわくものの様です。

実力をチェックすると、12V-8Ωではアイドル電流が 数10mA程度で、フルパワー10Wでも 500mA 程度、4Ω負荷でも 12V なら問題ない特性なので、ステレオで2個使っても 8Ω負荷なら1A以下の消費で済みそうなのです。

このアンプの入力は使い勝手を考えて XLR のバランス入力として、手持ちのST-71 と10kΩボリュームで変換して入力することにしました。出力は 6.3mmφジャックで、BOSE 101 などとフォーンケーブル1発で直接簡単につなげる様にしてみました。

ケースはAmazonの小型プラスチックケースで、バッテリーの大きさで決めました。
アルミ板の曲げ加工や穴あけ塗装など、配線より見栄えに手間が掛かりましたが、出来上がったのはこちら

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初代iPodは電池が弱くなって、充電しながらではないと動かないので、ここだけポータブルで無かったのが笑える。

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2022年5月 2日 (月)

AMAZON の1300円のアンプボードを買ってみたはなし

AMAZON の1300円のアンプボードとは

SODIAL 40W + 40W TDA8944ステレオオーディオアンプボード

で、本当に 40W出るのか心配だったが(結局誇大広告だった)安かったので買ってみました。
表題はICの機種が TDA8944 と書いてあるのだが、基板上は TDA8946A となっている。
放熱板を外しても、ICが裏面付けなので型番が確認出来なかった。
仮に TDA8944 だと 7W x 2 なので、こっちならばスペック偽証の返品ものですね。
(ページには TDA8944/8946 と2とおり書いてあるが ...パワーは?)

●12Vの安定化電源を使って、信号発生器で 1KHzをLINE 入力に入れてスピーカーの代わりに 8Ω 50Wのダミーで動かしてオシロスコープで波形を見ました。おそるおそるボリュームを上げていくと、正弦波の頭付近に高域発振の波形がリンギングみたいに出てきました。
 たぶん、スピーカーでは聞こえない 100KHz以上の波形なので、良しとしたのか気がつかなかったのか?
 でもちょっと見苦しいですね、不要なノイズを出しまくっているようで、おもわず「このアンプはデジタルアンプだったっけ?」とTA8946Aを調べてみても、普通の BTL の2CHアンプです。データーシートには出力の高域発振止め対策など書いてないので、高域の回り込み発振のようです。データーシートを見ると、このICは 2x 15W とあるので、40Wは無理ですね。ピークでは出るカモです。

 結構これは手強くて、パターン強化や電源端子にフィルムコンデンサを追加したぐらいではびくともせず、GND間に 220PFと0.5uH ぐらいのコイルで弱くなるけど、空芯コイルでは大きいし、とりあえず220PFフィルムコンデンサーと10mmφぐらいのトロイダルコイルに2ターン巻いて BTL 出力間に付けて止めました。これで発振は止まったみたい。

●ライン入力に iPod から音楽入れてそこそこ大きめに鳴らして、マイク入力のゲインを上げると今度は低域でボコボコという発振音。
 マイク入力をショートしても出るので、電源が怪しいと思ってマイクアンプの OP-AMPの電源に 470uF 付けても全く変化無し。
 そもそも、アンプIC付近で電源がふらついているので、基板上の 820uF x 2 を外して、 3300uF/50V に変更。だいぶ良くなったがマイク端子をオープンにしたときに、やはり振られて発振気味。音も何かクリアーでない感じ。
 そこで、ICの Vcc と GND 間にもう1個 3300uF を直接追加。これで、ピタッと安定しました。

●BTL のアンプなので、オシロで負荷波形を測定しようとすると GNDがSP- に繋げなければならなくなってしまうので、信号発振器と GND 分離する必要があるので、 BLT モード全体での出力はオシロではまだ測定してません。 片方出力と GND 間で見るとそこそこ Vcc まで出ているので BTL動作は大丈夫な様です。使っているコンデンサーがほとんど積層セラミックだし、フィルムコンデンサーを使っているのは IC入力 +/- 間の 1800PF とトーンコントロールの一部なので、これらセラミックコンデンサーを変えたら良くなるかな?と思いました。
 データーシートには 8Ω負荷でしか特性が書いてなかったので、やはり 15W それも 18V で MAXの様ですね。

PS: 後で、データーシートを見たら、 220nF と 4Ω で発振止めみたいな回路を見つけました。これもやってみようかな..

色々改造したら以下写真のようになってしまいました。50Vの電解コンデンサー2個の方が基板価格より高くなってるかも...

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*ここからは 後日測定結果

実際に使用した負荷は 5Ω でした。
1)BTLの片出力( SP - )と GND間では クリップ直前では 8V p-p でした。
2)BTL のパワー計算では これをBTL 接続すると、正負になって波高は2倍になりますので 16V p-p
3)実効値を求めるには負のサイクルを正側に折り返すので(ダイオードで両波整流するみたいに)1/2になります。
4)これから実効電圧Vrms は 16V÷2÷√2 = 5.65V
5)パワーは P = E^2 ÷ RL =5.65x5.65÷ 5 =6.4W となります。

ちなみに電源電圧を18Vに上げたら、10V p-p 出たのでパワーは 9.9Wとなりました。
 P-P パワーとして見れば、 10x 10 ÷ 5 = 20W ,4Ω負荷なら 25W となりますね。

TA8946Aのデーターシートでは THD 0.5%で 11.5W ( @18V) THD 10%で 15Wとなっていました。
やっぱり 40Wは誇大広告でしたね。

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