「誰もやめない会社」とは
日経エレクトロニクスから出版されている本の題名です。

この会社は
リニアテクノロジー のことで、フェアチャイルド社やナショナルセミコンダクター社を経て独立した、アナログ技術者のエキスパートのロバート・H・スワンソン氏が1981年共同経営者3人と興した会社です。
時代はデジタル化の波の中でどのIC産業もデジタルICに重きをおき、アナログが軽んじられたなかでアナログ専門会社を興したのです。
表題の「誰もやめない会社」というのは単に給料がいい、業績がいいだけでないことをこの本は語っています。
中でも私が感心した点は
1)数が見込めるコンシューマー製品からは撤退する。
その理由は
・大量生産・大量消費の分野は各社がこぞって価格競争になり、結局利益にならない
・値下げで自社の製品の価値を下げることになる。
結局リニアは、プロフェッショナルで高性能を要求する自動車産業や医療向けの分野で(リニアしか無い)高機能製品を開発して来ました。
2)シニアエンジニアがイノベーションをおこす。
・アナログ技術者は一人前になるのに10年かかるといわれます。
技術者こそが企業の宝。
・グルと呼ばれるエキスパートがいるから若いエンジニアが「学びたい」と集まる
3)製品のアイデアはすべて現場から生まれる。
・顧客の元に行って要求を聞き、本当に顧客が求めている製品を提案する。
4)一度出荷した製品は原材料がなくて生産できない以外はディスコンにしない。
・長期的に製品の供給が保証されている
・ダイレベルで在庫を持ち、安定供給を保証する。
◎けっこうCEOのスワンソン氏は恐れられる存在のようですが、彼の先見性が会社を伸ばし、人材であるエンジニアを伸ばしたのが「誰もやめない会社」になったのでしょう。
「人と同じ道は歩まない、他人がやっているからといって自分もやるというような、安きに流れることをしない」との彼の哲学があふれている本でした。
*私自身はリニアテクノロジーよりも先に、アナログデバイセス社の製品をPLLや高周波検波器などで使っていたのですが、リニア社は結構新しいサンプルなどを持ってきて積極的に提案してくれました。検波器でも True-Power など実効値型の検波器ではまだADのほうが一日の長がありますが、ピークレベル検出の小型ICなどは使いやすく種類が豊富でしたね。最近は CD/DCコンバーター関連の製品がホットです。
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誰もやめない会社 シニア・エンジニアが活きる無敵のマネジメント