書籍・雑誌

2023年12月23日 (土)

「世界一流エンジニアの思考法」を読んで

世界一流エンジニアの思考法 とは、この本なのですが、

Scrshot-20231223-165637

読んでまず感じたのは、

1)これは主にソフトウェアエンジニアの話だということ。
2)それも、マイクロソフトのアメリカでの話
3)プログラマーと言わないで、エンジニアというのが??
4)筆者と一流エンジニアとの比較で筆者が変わっていく、身につけたこと。

などですが、ソフトウェアエンジニアでなくても参考になりそうなのは
A) 納期は決めない(例外はある)完璧な物を出す。
 納期に迫られてなんとか要求仕様を入れ込んだが、納期優先で完璧でないまま出してしまう。なんてことは、よくある話で最近のダイハツ社検査不正などは、納期優先・お客の安全より上司の圧力に屈してしまう日本的な?いや非正規が増えて「どうせいずれ切られるから...的な愛社精神が薄くなる」「技術に真剣より、明日の生活費優先」なんかですかね?

B) 失敗してもOKの社風
 だいたい、新しい事をやろうと思えば失敗する確率は増えるし、出来ないかも知れない。それで、だれも新しい事をやらないで既存の技術ですごしていれば、失敗しないけど進歩しない。失敗しても「そうするとダメなことが分かった、ありがとう」ってみんな思ってくれる...日本じゃどうですかね?

C) 気軽に質問できる職場、「分からない」と率直に
 「分からないから、調べて連絡するよ」はしない。回答来るまでのその間に分かっている人にどんどん聞いて解決すべき。聞かれた人も直ぐに答えられなければ「分からない」でOK。

D) エンジニアは個人事業主?
 「コードを書かない」、「技術が分からない」人が上に立って分業を指示して、その指示どおりにまとめ上げる。「こうすれば、簡単」「こっちのやり方が早い」「最新のデバイスはこっち」などエンジニアが個人事業主のように認められ、創意工夫できて、意見が通るしくみが必要。リーダーはエンジニアが困っていることを見つけて改善してやる。働きやすいようにするための上司になるべき。

*本にも書いてあったが、日本のエンジニアを育てる環境が画一的で、「技術が分からない人に対して、技術を身につけさせる」のでなく、画一的な「だれでもそこそこ来る仕事」にして分け与えるようなしくみで、すぐれたエンジニアを育成するしくみがなかった。エンジニア・プログラマは人手をかかればすむような、安価な人材と鳴ってしまった感があります。大手の企業は「下請けまるなげ」で自社技術が衰え、空白の30年が過ぎてしまったのかなと思います。私の若い頃は怖いけどバリバリの技術者部長がいたけどなぁ

| | コメント (0)

2016年3月11日 (金)

今月のトラ技

今月2016年4月号のトラ技には、おまけがついていた
1つは LTspice 関連の回路ファイルや、Windows版ソフト、メルマガ・本誌付属の本の PDF が入った CD-ROM 。
CDがつくのは久しぶりで、以前はけっこうシミュレーションソフトや CADソフトなどの評価版が入っていたが、最近はあまり他の雑誌も含めてやってないようだ。
 CDに入っているのは Windows版だが、実はLTspiceはMAC版もあり、最近はMacBook Airなどでネット接続のために仕事用だけでなく個人用に持っているエンジニアも多いかと思います。MACのシェアが iPhone効果で上がり、 Eagle-CAD や NIのGPIB関連ソフトなど MACにも対応してくれるのがうれしい点でもあります。
 もう1つは「エンジニア手帳」という手帳、カレンダーに留まらず、フィルタの特性や回路記号の一覧。アッテネーターの減衰率と抵抗値の表など、密かに私がスマホアプリにしてみようと思っていた資料が全て入っていました。
Img_1817
 紙の手帳はまず、パラパラめくって探すことが出来るのが一番良いところで、「確かこの辺に書いてあったはず...」と探せるので、アプリのページフリックなどには追いつけない「実物の良さ」がありますね。
 でも、スマホに入っていればそれはそれで、便利かなぁ〜

トランジスタ技術 2016年 4月号

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年12月20日 (金)

車と高周波のはなし

車と高周波のはなしとは

今日届いた日経エレクトロニクス Mokuji1 12月23日号は「自動車のミライ 202X」と題して車の将来の技術について書いてありました。
そのなかで、いかにアナログ・高周波の技術が使われているかという点を、周波数とともに見てみます。
1) 自動運転のためのミリ波レーダー 76GHz〜81GHz
・主力はカメラだそうですが、ミリ波レーダーはここ数年コストダウンされてきて、2000年には40万したユニットが2015年には1万以下の見込みだそうです。
2) 雨粒が反射しないヘッドライト  1000Hz
・カメラで雨粒を認識して、プロジェクターで雨粒の部分を隠した画像を 1000Hz の走査速度で投影すると、送れは 1mS 程度、雨粒が見えないヘッドライトになるそうです。
3)車内無線LAN  5.8GHz 〜5.9GHz
・無線LAN規格 IEEE802.11a を改良した 11p が使われるそうです。
4) 車載ECU間通信    60GHz
・車内のコンピュータやセンサ間を結ぶ無線通信に 60GHz 無線を使い、通信ケーブルは金属皮膜した6.5mm程度のホースを使うそうです。銅芯線材に比べ軽い点と、曲げても少し切れても電波なので通信出来る、という優れものだそうです。
5) ワイヤレス給電  85KHz

Info

・電気自動車のバッテリーをワイアレスで給電する周波数が 85KHz で決まった様です。
この周波数で4KW 程度給電するとは、ロスったらちょっと発熱が心配ですね。
 これらの付近の周波数ではスマートキー 22KHz(Audi) 、134.2KHz(  TOYOTA , SUZUKI , MAZDA ) や125KHz( HONDA , NISSAN , MITSUBISHI ) など、結構現在でも使われている周波数のようですね。
 他にも今号は PS4中身の解説やトップの技術戦略など参考になる記事が豊富でしたね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年8月22日 (木)

コミック「スティーブジョブス」

コミックで発売されたステーブジョブスのはなし

作者はテルマエ・ロマエのヤマザキマリさん。
単行本にするために雑誌に掲載されなくてならなためか、掲載誌は女性雑誌「kiss」なんだけど、中身はあの伝記本そのままで、しっかりジョブズしてます。
 コミック単行本の1番は初期の話で、ウォズとの出会いから禅に傾倒してインドに行くぐらいまでの話なのですが、これが女性漫画誌に掲載されて不評になってるのではと心配なるくらいエンジニアの私には「ブルーボックス」やアタリのゲーム機なんてマニアックな内容。
 絵はテルマエ・ロマエよりも陰影をなくしてライトな感じなのですが、ウォズもジョブズもそっくりで、ヤマザキマリさん「いい仕事してます」。
AMAZONではスティーブ・ジョブズ(1) (KCデラックス)で購入出来ます。
税別 ¥619円でした。
 頭文字D(47) (ヤングマガジンコミックス) もヤングマガジンでは終わっちゃったので、こんどはこちらの次の号が個人的には楽しみです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2013年6月20日 (木)

未来予測レポート?

未来予測レポートとは

 日経BP社が出版する未来予測の本なのですが、なんと一冊21万円もするので、個人向けでなく会社で買うものでしょうね。私は日経エレクトロニクスの読者なのでこの案内が来たのでしょう。
Img_0738
 内容の紹介が少し載っているので、面白いところを書いてみます。
エレクトロニクスの分野だと
テクノロジー( 2013--2014)では
・線幅14nmの次世代半導体の量産開始
・ワイヤレス通信で 10Gbpsを超えるスピードが技術的に実現可能に。
などは、なるほどそうなるでしょう...と納得の予測。
・固定買い取り制度で年金資金が流入...太陽光発電がバブル的活況に..
などは、たぶん太陽電池の革新があって効率の向上も反映するのだろうと思えます。
次に ( 2015--2019)では
・モバイル燃料電池と省力化でノートPCは24時間駆動へ..
・リアルタイムで音声を字幕に変換する技術が実用レベルに..
などはなるほど..と思うけど、もっと早く出来るのではとも思えます。
面白いのは
・電子マネーで子供におこづかいをわたす親が3割超え..
は、セブンイレブンのNanaco や Waon の普及を見ると頷けるかな..
最後の( 2020--2025)では
・ナノカーボン素材を使った超省電力・超高速半導体が実現
・建設現場で「パワードスーツ」の導入が始まる。
・人工知能を搭載したインテリジェント住宅が登場、住宅と会話する時代へ
なんかは、まるで 映画 BackToTheFuture の場面のようですね、ちっちゃい冷凍ピザをレンジでチンして出来たてに..なんてことはあたりまえか?
しかしながらなかなか怖い予測もあるのです。
2015--2019 ... 消費税を15~20%に再引き上げ
2020--2025 ...無年金者を中心に生活保護受給者が 250万人を突破..深刻な社会問題に...
などは、やっぱりいまの電力会社や経団連に頭が上がらない政治家ではそうなってしまうのでしょうか?やだなぁ..

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年1月27日 (日)

「誰もやめない会社」のはなし

「誰もやめない会社」とは

日経エレクトロニクスから出版されている本の題名です。

この会社は リニアテクノロジー のことで、フェアチャイルド社やナショナルセミコンダクター社を経て独立した、アナログ技術者のエキスパートのロバート・H・スワンソン氏が1981年共同経営者3人と興した会社です。
時代はデジタル化の波の中でどのIC産業もデジタルICに重きをおき、アナログが軽んじられたなかでアナログ専門会社を興したのです。
表題の「誰もやめない会社」というのは単に給料がいい、業績がいいだけでないことをこの本は語っています。
中でも私が感心した点は
1)数が見込めるコンシューマー製品からは撤退する。
  その理由は
 ・大量生産・大量消費の分野は各社がこぞって価格競争になり、結局利益にならない
 ・値下げで自社の製品の価値を下げることになる。
 結局リニアは、プロフェッショナルで高性能を要求する自動車産業や医療向けの分野で(リニアしか無い)高機能製品を開発して来ました。
2)シニアエンジニアがイノベーションをおこす。
 ・アナログ技術者は一人前になるのに10年かかるといわれます。
  技術者こそが企業の宝。
 ・グルと呼ばれるエキスパートがいるから若いエンジニアが「学びたい」と集まる
3)製品のアイデアはすべて現場から生まれる。
 ・顧客の元に行って要求を聞き、本当に顧客が求めている製品を提案する。
4)一度出荷した製品は原材料がなくて生産できない以外はディスコンにしない。
 ・長期的に製品の供給が保証されている
 ・ダイレベルで在庫を持ち、安定供給を保証する。
 
◎けっこうCEOのスワンソン氏は恐れられる存在のようですが、彼の先見性が会社を伸ばし、人材であるエンジニアを伸ばしたのが「誰もやめない会社」になったのでしょう。
「人と同じ道は歩まない、他人がやっているからといって自分もやるというような、安きに流れることをしない」との彼の哲学があふれている本でした。
 
*私自身はリニアテクノロジーよりも先に、アナログデバイセス社の製品をPLLや高周波検波器などで使っていたのですが、リニア社は結構新しいサンプルなどを持ってきて積極的に提案してくれました。検波器でも True-Power など実効値型の検波器ではまだADのほうが一日の長がありますが、ピークレベル検出の小型ICなどは使いやすく種類が豊富でしたね。最近は CD/DCコンバーター関連の製品がホットです。
*アマゾンではこちら----------------------------------------

誰もやめない会社  シニア・エンジニアが活きる無敵のマネジメント

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2012年8月28日 (火)

神本のはなし

神本という言葉はたぶんないかと思いますが、私が人生で出会った大変おせわになった師匠のような本が確かにあったかと思います。
Kousyuham
 これは、私が就職して CBトランシーバーの設計を会社で始めるうえで、大変参考になった、CQ出版社の高周波回路の設計―図表を中心にした高周波の基礎から応用まで 久保大次郎著です。
 昭和46年初版なので、古い内容かと言えばMOS-FET や高周波半導体の構造から当時最新のPLLの しくみやループフィルタの設計など、水晶発振回路からPLLが盛んになった来た時代に、本当に参考になった本でした。
 Out_matching
 特に参考になったのは、上図の出力回路マッチングの設計方法でドライバートランジスターからファイナルのとのマッチングや、出力 LPFとのマッチング等、どのような役割で各部品が構成されるか(今では HPF タイプのマッチングだなとわかるのですが)よくわからないままでしたが、いちばん右の(c)の回路を参考に実験で定数をカットアンドトライして、このコンデンサーの値を調整してマッチングをとり、部品数が少なくて調整しやすい回路を設計出来ました。当時はネットワークアナライザー等がなく、パワー計と貴重なスペアナで高調波を確認しながらの作業でしたが、効率よくパワーが出せた時は「やった!」と感動したのを覚えています。
 この回路ではコンデンサーを可変してマッチングをとるのでしたが、狭い周波数帯域の CBトランシーバーではコンデンサーは安価な固定値にして、調整するのにコイルを広げたり狭めたりするのが当たり前でしたが、コア入りのボビンコイルの導入とこの HPF型マッチング回路で調整しやすい出力段に設計出来たのを覚えています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年3月28日 (水)

月刊誌のはなし

月刊誌とは
 トランジスタ技術とか、無線と実験とか毎月出ている雑誌ですが、

 古いことを思い出すと、トランジスタ技術は高校生の頃からとってましたが、小学生時代は「子どもの科学」、「初歩のラジオ」など、本屋さんが家まで毎月届けてくれました。当時は実体配線図がほとんどで、回路図を見れるようになったのは中学生の頃からでしょうか。アマチュア無線に興味を持ち味めた中学生から大学生まではしばらく「CQ誌」もとっていました。
 パソコン関係では、古くは「APPLEマガジン」(不定期だった)や「MAC+」などから、BNNから「MACLIFE」が刊行され、ASCIIからも 最初は「HyperLib」なるフロッピーやCD付き雑誌、そして今はたまに発行される「MAC Power」などが発行されました。PC関係では 「ASCII」・「I/O」が月刊誌で出ていました。パソコンで始めは16進ダンプのプログラムを打ち込んだり、BASICのプログラムを書いたりして当時は大変参考になりました。
 最近は情報の更新が早く、月刊では間に合わないのか、ずいぶん雑誌が淘汰されたように思います。ちょっとデザインの良い製品を載せた「RealDesign」なる2006年7月の創刊号を見つけて、気に入った月は買っていたのですが、今月号の5月号で最終号となって休刊するようです。
 かわりに最近とりはじめたのが、「AUTOCAR」でイギリスの雑誌の日本版だそうですが、20年の歴史があるそうです。2月号にプジョーの特集があったので、思わず買ってしまいました。外車のテストラン記事等比較的早く情報が載せられているようです。そしてこの本では、今月号のコラムでの以下の言葉に感心しました。「....ミニに今、必要なのは、自身のキャリアをミニの発展と完全に結びつけていけるリーダーだ。それは、有能ではあるがただ通過していくだけのBMWの経営幹部では、おそらくなさそうである。」BMWのミニ「クーパー」モデルの乱発に対する批判のようですが、日本でも本田宗一郎の後を継ぐ、SONYの革新性を継ぐ何かが出てこないのは、やはりただ通過していくだけの幹部のせいなのでしょうか?
 ただ通過していくだけの開発技術者とならないように、常に仕事に対しての取り組みに「初心に返る瞬間を持とう」と考えさせられました。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年2月21日 (火)

久しぶりのCQ誌

久しぶりにCQ誌を買いました

 思い出してみると、CBトランシバー修理の仕事でスイスに行った時に、現地で日本人のエンジニアに会い「CQ誌が読みたいから送ってくれない?」と頼まれて、2〜3回郵便で送るために買ったのを最後に、ずいぶんご無沙汰でした、30年ぶりだろうか?
ハード的には
 それは2012年今月号(3月号)のCQ ham radio
にちょっと気になった記事が載ってたからです。それは「トロイダルコアで自作する"FCZコイル"」の記事です。FCZコイルってのはアマチュア無線器を自作するのに使う、中に調整ネジコアが入った高周波コイルなのですが、けっこう製作記事には載ってたりしますが、地方では入手困難でしたが、ボビンだけ買って自分で巻いたり(昔は仕事でボビン使っていたのでよく作ってましたが)するのは大変なアマチュアには便利なコイルでした。もう製造中止になるそうで、その代替としてトロイダルコアに巻いてつくろう!という趣旨の話です。
 T-25サイズなので、外形6.5mmφ程度なので小型ですね。材質は 1MHz〜30MHzまで使える赤コアの#2材を使います。
 しかしながら、オリジナルの巻き数比ではトロイダルコアの広帯域性が裏目に出て、Qを稼ぐことが難しいようで、アンテナをつける巻き線は1〜3ターンにするのが良いそうです。実際に試して実験された記事ですから大変参考になります。ちょっとこのトランスを使って何か作りたいなぁって気になった記事でした。

| | コメント (2) | トラックバック (0)