MIDAS Venice Mixerの修理(電源編)
3日目は電源を入れて確認
電源を入れて、電圧を確認するためにはリア側に電源プラグをささないといけないし、基板が見えるように全体を横にして内部を開いたままにして設置し直した。
電源入れてすぐにLEDランプとの挙動が判るようにみながらスイッチON。通常に起動したようで、アナログミキサなので直ぐにランプ等は立ち上がる。遅れて出力ON用のリレーがONする音が聞こえる。まずは 最上位のRED(ピーク用)の端子をチェックして -16V 近辺が来ているのを確認。次にLM2901の電源端子を測定して電源電圧を見る。
ところが GND側に -16Vが来ているが、Vcc 側は 4.6Vという変な電圧だった。
どこかで 5V ラインとショートしているか、負荷電流が増えて本来16Vあるはずの電圧がドロップしているのでは無いかと思い、一度電源を切って電源ユニットから来ているコネクタを外して、再度チェックしてみる。今回サービスマニュアルに電源部も載っていたので、供給している電圧は±16Vと 12V ,48Vとわかっていたので、該当するコネクタのピンをチェックした。
+16Vの来ているピンは CN21-2,4 で-16Vは CN21-6,8 で CN21に来ていることが判る。調べてみると -16V 端子は -20Vぐらい、+16V端子は 5V 程度だった。初めは 5V電源端子ではないかと思ったが、この電源には +5Vは使っていない。やはり電源ユニットの +16Vの電圧自体がおかしい。
次は電源ユニットを開けなければならない
大きな鉄製のケースがナット12本ほどで締められている。ケース端に近い所は、ナット用ボックスドライバーの長さが足りず、手回しで開けるので手間がかかった。電源トランスはトロイダルコアで、トランス自体も鉄製のケースで覆われている。さすがハム対策などプロの仕事と感心した。以下の写真は電源部で中央が±16V用のブリッジ整流器と両側にパワートランジスタ、可変3端子は中央のケミコンの上下にあるやつだと考えられる。
回路図は±16Vのものだが、 可変電圧用の3端子レギュレター LM317Mとマイナス用のLM337が使われている。この3端子レギュレターにプラス側ではPNPパワートランジスタ、マイナス側ではNPNパワートランジスタを追加して、電流出力を増やすオーソドックスな回路である。
テスタでLM317の電圧をチャックすると Pin1 3.3V ,Pin2 4.6V ,Pin3 25V とやはり出力がおかしい。トランジスタQ1 をダイオードモードでチェックするとB-E間がショート(0V)なので、外して確認。外して確認すると問題無かった。実は B- E間に R3 47Ω があったので、テスターのダイオードモードでは 0Vになってショートと勘違いしたのでした。それなら電圧設定の Pin 1付近が怪しいと、テスターのオームレンジで測ると 660Ω と本来 5.6K // 5.1k なので 2.6kΩぐらいのはずなので、おかしい。やはり ここは電解コンデンサー C14が絶対怪しいと思って外して測って見る。...が、問題無い。
???と頭を抱えたが
残るは C32 のなんだか小さい 0.1uF セラコン。外して抵抗値を測るとなんと 900Ω !! 原因はこれでした。
めったに無いこと(前にショートしていたSMDセラコンがあったが)ですが、セラコンが内部で絶縁が劣化して抵抗値をもっていたようです。部品の不良でしょうか?
再発が怖いので、フィルムコンデンサー 0.1uF /50V に交換、もうひとつの C33 も念のために交換しました。やっぱノイズ対策に必要なこの位置のコンデンサーは 0.1uF でも大事ですね。完全にショートなら電圧が出なくて動作不良の症状も激しかったかと思いますが、中途半端な劣化で抵抗値を持ち、+16Vが 5V ぐらいになっても動作不全に至らなかったのではないかと思われます。
MIDAS のミキサーは入力部が秀逸と言われていますが、回路図を見ると XLRの差動入力 + - は通常ローノイズ化のため初段にトランジスタを使ってオペアンプのプラスと-入力に入れるのですが、プラスとマイナスそれぞれに専用のオペアンプを使って、別の差動専用アンプ(NJM5532)を使っているかなり凝った回路です。このあたりの差動を意識した構成が、例え電源電圧が5Vに落ちてもなんとか動いてしまう理由なのかも知れません。
稼働中にコンデンサーが劣化して、ミキサーがストップするなんて事態は許されないですものね。
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