真空管のはなし
真空管のはなしとは
テレビが液晶になって最後の家電用真空管の「ブラウン管」が消えてからだいぶ経ちました。
今真空管を使っているのは、アナログオーディオマニアとギターアンプにこだわりのあるギタリスト(ミュージシャン)ぐらいだそうです。そんなご時世になんと、ギターマガジン5月号が「真空管」の特集を組んだのです。
思わず、現物の雑誌を買ってしまいました。(Amazon Kindle 読み放題でも読めるけど)
すごいのは、真空管内部構造までイラスト付きで解説してあり、真空度を保つゲッターの機能まで言及があるなかなかの内容です。
私も中学生の頃にラジオや無線機、オーディオアンプを作ったり、バラしたり楽しみましたが、なにせ真空管は数百ボルトの高電圧でないと動かないので、うっかりさわって感電して冷や汗をかいたことが何度もあります。高い電圧に慣れっこになるとAC100V ぐらいではコンセントのプラグを手でつまんで「ああ 来てる来てる」とテスター代わりしてたくらいでした。
真空管は基本的にはN-CH FETのようにプラスの電源をかけて動きますが、電流を制御する「グリッド」はマイナスの電圧をかけて制御します。このマイナスを作り出すにはまず、グリッドを高抵抗でGNDに落として、0電位とし、カソード(FET ではソース)とGND間に抵抗を入れて電圧をドロップさせてそこに生じる電圧でカソードーグリッド間のバイアス電圧に使うのが定石でした。
このしくみによって、何かの変動で真空管に電流が流れすぎるとこの抵抗に電流が流れるのでバイアス電圧も大きくなり、バイアスが深くなって電流を制限するDC負帰還が自然にかかっています。ですから、真空管で自作していた頃は意外とラフな定数の抵抗でも普通に動いていましたので、初心者にはかえって良かったかもしてません。
その後、トランジスタの時代になって、ゲルマニウムトランジスタで作っていた頃、シリコントランジスタに変わってきた頃などとベースバイアス設定とかがシビアで動かなかったり、歪んだりして苦労しました。
真空管アンプは「3次歪みでなく、歪んでも倍音成分が出る」とよく言われます。真空管のアンプを作っていた頃はクリッピングしても波形を見ると丸いんですね。トランスを使っていたり、上記の負帰還バイアスのためもあって急激なクリップはしないのです。
反してトランジスターアンプを作った時はクリッピングの頭が見事に平らになります。ですからクリッピングがしないように最大値を十分マージン取っての推奨動作となります。真空管の場合は多少ピークでクリップしても気にならないので、トランジスタアンプでは 40W ぐらいのアンプが必要な同じ音量でも真空管アンプでは 5W ぐらいで十分な場合があります。
我が家にも自作の 6L6 シングルアンプがあるのですが、寿命が気になってめったに使えませんね。
| 固定リンク
「アナログ」カテゴリの記事
- 真空管のはなし(2024.05.21)
- パワーアンプ RAMSA WP-1200A の修理(2023.08.06)
- BOSE Power AMP 1701 の修理の話(2023.07.15)
- BOSE 802-E ACTIVE EQUALIZER のはなし(2023.01.01)
- 大型 7セグ LEDの表示のはなし(2022.12.29)
コメント