犯人はやっぱり!
犯人はやっぱり とは...
この「やっぱり」は修理依頼された古いDCアンプ構成のプリアンプの故障の原因なのですが、やってきた当初はボリュームを回すと典型的なガリでした。
それで、すぐにクリック付きオーディオ用ボリュームを発注して、とにかく原因を探ろうとボリュームの部分を抵抗に置き換えて配線して、問題無いかチェックを始めました。しかしながら、低い抵抗値(ボリューム小付近の近似抵抗)では良いのですが、中程度の抵抗にすると音が何かおかしい...もう1つの BALANCE ボリュームを回すとまたここからもガリが出てしまいました。あわてて NM型(バランス用に使うボリュームの変化型)のも追加注文しました。
その2点を抵抗でバイパスして、オシロで入出力特性をみてると、これはなんとも凄いプリアンプで、電源を±75V も使っているせいか、入力を15V p-p いれてもびくともせず、クリップしないじゃないですか。諦めて各部の電圧を見るとツェナーダイオードの電圧が3カ所でおかしい。
LとR別々の基板なので、比較してみると片方が 35V あるのに片方は0Vなので、こりゃ壊れてると思ってさっそくツェナーダイオードを注文。探しても 35V 1W は無くて、とりあえずチェックだけでもと30V 1W で注文。でも、オシロで見る限りこの状態でも歪んでないのですよね...どこかの部品に負担になってるのかと思いながら部品到着を待ちました。
そうこうしているうちにボリュームが到着。シャフトの長さが短いので、取付板のスペサーを減らしてつまみが付くように調整。発振器からのテスト信号を聞きながら、ボリュームチェックして問題無くバランスボリュームもOKでした。オシロの FFT 機能で高調波をみても歪みがほとんど無いのを確認。それでいよいよツェナー交換ですが、外したツェナーをテスターでチェックすると「ショートしてない?」ちゃんと生きているようです。で...犯人はタンタルコンデンサ ツェナーの雑音を消すのに使っているタンタルコンデンサーなのですが、35Vのツェナーとパラに付いているのが、4.7uF / 35V ニチコンの日本製だからって、規格ギリギリではまずいでしょう。しっかり導通がありました。ショートに近い数十Ωの導通なのでこれで電圧が 0V になってたのですね。あわてて 100V耐圧のフィルムコンデンサーを発注しました。使っている8個のタンタルを全部交換しました。これで一安心。
と思ってアンプに繋いで iPod からの音楽を聴くと、ゲインが少ないし音が歪んでいる。?????????
オシロでは綺麗に出てるんですよ。タンタルでないとダメなのか?どこか高域で発振しているのか???
と思って、入力段の差動トランジスタをちょこっと触るとポコッて音がして正常になるのです。
でも電源を1回切ると、まだダメ。入力に発振防止のコンデンサー入れたり、バイアス調整をしてもダメ。
オシロスコープで 1Vp-p ぐらいの波形で測定した時は全く問題無いのになぜ???
1晩悩みました。そうだ、明日基板から回路を起こして正常時と立ち上げ時の違いをオシロで見てチェックしよう..スヤスヤ...
次の日です。オシロで帰還抵抗で入力段の差動トランジスタのベースに戻る場所を(負帰還の所です)見ながら、トランジスタを触ってゲインが戻ったり、ダメな歪んでる時の信号を比較しようとしていた時です。
ライン出力のコネクタの信号レベルが低いのに、ここは全く変化無いのです。
では最終段トランジスタの出力は?と見ると、ここも全く変化無いのです。
そう 犯人はやっぱり「可動部分」「メカ部品」である、出力ミューティングの「リレーの接点劣化」でした。
接点が劣化して半導体状態になっているところに、初段のトランジスタのベースをちょこっと触ると出力のDCが大幅にずれ、接点に電流が流れて接点抵抗が下がったのでしょう。一度つながると抵抗値が下がるのですが、電源OFFで接点が切れると同じ状態に戻ったのでしょう。リレーを外して接点を見ると真っ黒。在庫の小型リレーに交換して一件落着。
やっぱり、可動部分ですよ 犯人は...