AM変調度のはなし
AM変調度のはなしとは
AMは( amplitude modulation :振幅変調)といって、高周波信号に音声などを付加する方式の1つで、いわゆるAMラジオ放送といえばポピュラーだと思います。対して FM( Frequency modulation:周波数変調)はFMラジオ放送ですね。
AMは図の様に
、キャリア(いちばん上の図)と呼ばれる高周波信号に振幅を変えて変調波を加える方式(右図2番目)です。
これら上から2つの図はオシロスコープで見た場合の図ですが、キャリアのレベルをLc として、変調波のレベルを Lm としたときに、変調度はどのように計算するかというと、この2番目の図からも明らかの様に、変調波は上下対称波形なので、くびれたところが0になるのが最大です。このときは
Lm/2 = Lc/2 のときに 100% となります。
よって変調度Mは
M(%) =( Lm/Lc )x 100
となります。
しかしながら、変調の制御が上手くいかなかったりすると、変調波の一番高いレベルは本来
PLm = Lm/2 + Lc/2 のはずですが
Lm/2 の部分が伸びきれなかったり、あるいは Lc が全体としてレベルが落ちたりして理想的な値にならない場合が多いです。Lcの値は無変調の時を使いますから、PLmが伸びなければ当然変調度は落ちます。そのあたりの特性をチェックする上でアンプを通した後の変調度の変化を性能評価するのです。
さて、最近は高速なオシロスコープも安く出ていますが、100MHz越の変調波をみたりするには適していません。昔はミキサーでダウンコンバートしてオシロで見たりしましたが、スペアナを使うことで変調度を測定することが出来ます。
3番目の図は最もポピュラーな AM変調波を観測したときのスペアナの表示例です。この表示からでも中央のキャリア(Fc)のレベルと、両サイドに現れる変調波(Fm)のレベルで変調度を計算することは出来ます。
しかしながら、波形が歪んでいるのかどのように歪んでいるかを見たい場合はこの表示では良く判りません。それで、スペアナにはゼロスパンという機能があります。
スパンは普通は1目盛り当たりの周波数を決めて横軸が周波数読みになるのですが、ゼロスパン:つまりスパンを0にすると、横軸が掃引時間(mS とか uS )に設定できるようになります。その表示が4番目の図です。
オシロスコープと似たような表示になりますが、違うところは「変調波形の上側包絡線」を表示する点です。これはスペアナが信号を検波して「その周波数のレベルを表示する」機能であるので、信号が大きくなったり小さくなったりするそのレベルを表示するからです。
(キャリアの波形は表示出来ない)
ここで、注意する点があります。スペアナは通常縦軸が対数目盛り(dB表示)なので、そのままだと一番下の図の様に綺麗な正弦波を変調してもおかしな波形になってしまいます。
変調度や波形を観測したい場合は縦軸を4番目の図の様に LINEAR 表示に変える必要があります。変調波形を見る際には通常のdBmなどの電力表示で無く、オシロと同じように電圧表示にする必要があります。図中の PH ,PL を電圧レベルで測定した場合の変調度は
M(%) = 100 x ( PH - PL )/( PH +PL)
で計算できます。
この表示をすると、ピークの頭が伸びないとか、変調波が傾いてるとか良く判るようになります。
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コメント
PLm = Lm/2 + Lc/2
この式でLm Lcはpp値でPLmは片側だけのピーク値ですね。
出来れば図中にPLmがどこを指すのか記入していただけたらと思います。
文章を読めば分かるのでしょうが100%変調時に
PLm=Lm=Lcになるのでしばらくうなりました
(pp値かピーク値で統一していただけたらもっとわかりやすいです。)
投稿: なかた | 2020年9月16日 (水) 15時56分
なかたさん こんにちは
>出来れば図中にPLmがどこを指すのか記入していただけたらと思います。
ちょっと判りにくかったですね。
直しました。
投稿: SUDOTECK | 2020年9月16日 (水) 16時29分