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2016年9月23日 (金)

SiC FETのゲートチャージのはなし

SiC FETのゲートチャージのはなしとは

高速スイッチングで最近注目される SiC FETですが、やっぱり MOSFETと同じようにゲートの入力容量( Ciss )やドレインゲート帰還容量(Crss)の影響はあるので、その振る舞いをメーカーの Spiceデーターを使ってシミュレーションしてみました。
Crsscharge0923
ゲートONの立ち上がり波形
・これは理想的な電圧源に10Ωをシリーズにした回路なのでさっと立ち上がっていますが、ドレインがすぐには ONしません。ゲートにある程度チャージしないと ONしないのは Ciss の影響か、この機種はモジュールで 120A流せるものなので特にチャージに時間がかかるのと思われます。ゲート抵抗を 100Ωにするともっと遅く、1uS近くにもなります。
ゲート電圧のドロップ波形
・ドレインが ONして電圧が下がってくると、Fig17図グラフで判るように、Crssが増えてきます。これはバリキャップダイオードみたいにかける電圧が下がってくると空乏層の間隔が減って容量が増えるためで、せっかく貯めたゲートの電荷が 100倍近くなった Crssに流れてしまい、ゲート電圧が下がってしまいます。
一生懸命パワフルなドライバでゲートに電圧を印加してもこの現象は起こるので、オシロでゲート波形を見ると、ドライブ不足かとがっかりしてしまいまいますが、これはしょうがないのです。ドレイン立ち下がりが遅いならば要検討ですが、この時点でドレインが ONしていれば OK でしょう。
ゲートOFFでもドレインはそのまま
・ゲートを切ってもゲートには電荷がチャージされていますので、ゲートドライバのトランジスタなどで一生懸命ディスチャージして OFFにするのですが、すぐにはドレインは OFFしません。どのデバイスでもこの OFFする時間が一番問題なのです。
ドレイン電圧の持ち上がり
・ドレイン電圧は OFFすれば電源電圧まで戻ると思いますが、実は電源電圧以上になるのです。これはCrssやCossにたまった電荷が OFF時に影響するためです。
Q = CV と電荷量はコンデンサー容量とかかっている電圧の積ですが、電荷Qが一定な場合にC 容量が減ると電圧が高くなるわけです。 FETがOFFになって電圧が上昇していくと、CrssやCossが減ってきます。すると溜まった電荷により電圧が増え,電源電圧以上になってしまうのです。
 この影響は僅かですが、コイルなど 負荷条件によっては大きな電圧がドレインにかかる可能性を十分考慮することが大事です。
ゲート電圧の持ち上がり
・ゲート電圧もこの Crssによってドレインに引っ張られ一時的に上昇します。ゲート抵抗が大きいとこの際にゲートで ONするような電流が流れ,内部破壊をする事故も起きます。高速スイッチングは OFFするほうがいつも難しいのですね。
アバランシェ降伏なども検討する必要があります。
*それでも数100nSで高電圧をスイッチングする時代になったのだと、あらためて感心します。

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