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2016年6月 1日 (水)

FETのゲートドライブを考える

FETのドライブを考えるとは

 最近、SiC(シリコンカーバイト)とかGaN(ガリウムナイトライド)など、スイッチング分野にも高速のFETが使われるようになってきましたが、多くは N-CH のFETです。
 しかし昔のオーデイオパワーアンプなどは「コンプリメンタリFET出力」などといって、P-CHと N-CHのプッシュプル構成が一般的でした。
 今回は、P-CHと N-CHのFETのゲートバイス電圧について考えて見ます。
 Fet_driver_2
 出力に使う場合、プッシュプル構成でもシングルでも、電源のどちら側をスイッチングするかで、ハイサイドとローサイドが区別されますので、まず、P-CHの 場合で考えます。
 P-CH ハイサイド
ソースを電源(右図では +15V)に接続し、ドレインから出力します。P-CHではゲート電圧はソースよりも Vgsだけ低い電圧を加えてONしますので、Vgsを5Vとするとこの回路では GND側に15Vより 5V低い 10V程度かければドレインにほぼ電源電圧に近い電圧が出力出来ます。
 P-CH ローサイド
ドレインをGNDに接続し、ソースから出力します。P-CHではゲート電圧はソースよりも Vgsだけ低い電圧を加えてONしますのでゲートには通常 0Vまでしか設定できないので、ソースはそれより高い 5Vまでしか出力出来ません。もちろんマイナス電圧を使えば 0Vまで出力出来ます。
次にN-CHです。
 N-CH ローサイド
ソースをGNDに接続し、ドレインから出力します。N-CHではゲート電圧はソースよりも Vgsだけ高い電圧を加えてONしますので、Vgsは通常 5V程度の電圧でONし0V出力出来ます。
 N-CH ハイサイド
ドレインを電源(右図では +15V)に接続し、ソースから出力します。N-CHではゲート電圧はソースよりも Vgsだけ高い電圧を加えてONしますので、電源を15Vとするとこの回路ではVgは15Vまでなのでソース出力電圧は 10Vまでとなります。もちろんゲート電圧を15Vより高い 20V程度までかければソースに電源いっぱいの15Vを出力出来ます。
 どのように組み合わせるか
 昔のオーデイオアンプのようにコンプリメンタリーでソース出力を使う場合、ハイサイドにN-CHをローサイドに P-CHを使って構成するのですが、Vgsの制限から電源よりも上下 Vgs分程度出力電圧がすくなくなります。それで、昔のパワーアンプはドライブする段は別電源で、それぞれ最終段電圧よりも5V〜10V高い電圧を用意していました。
 しかしながら、現在のインバーターなど効率を追究する機器では、逆にハイサイドを P-CH ,ローサイドを N-CHとしてドライブの簡素化を行っています。
 P-CHは遅いので
 また、高耐圧で大電流の P-CH FETは種類も少なく、スイッチング速度も遅いので、最近はハイサイドも N-CH FETを使っています。その場合の問題は電源電圧より高いドライブ電圧をどうするかです。
1) ドライブ用のICに昇圧回路が入っていて高い電圧を作っておける。
2) ブートストラップ回路と言って、ソース出力とドライブ電源の間に比較的大きなコンデンサーを入れ、出力電圧(ソース)を高くする時にはこのコンデンサーがソースよりも高い電圧を保持してゲートを ON出来る回路。
などの工夫でドライブしています。
 もうちょっと工夫して
 今回私の開発した SiC-FETスイッチング回路では個別の 小型絶縁型DC/DCコンバーターを搭載して、ハイサイドのドライブで、この問題をクリアしました。この方法のメリットとして、マイナスバイアスも生成できる点で、スピードアップのため、OFF時のゲート電荷を消す際にも有効な手段です。

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