« MWE2015に行ってきました | トップページ | 謹賀新年 »

2015年12月23日 (水)

10m離れた複数の端末にワイヤレス給電?

10m離れた複数の端末にワイヤレス給電?とは

ケータイWatchの記事ですが、2.4GHz帯をつかって、10m離れた場所に最大1Wの給電ができるそうなのです。この「最大1W」がくせ者ですが、実際は10m 1Wは難しいのでしょう。
 以前、電子レンジのパワー測定の校正機のためのアンプを作ったことがあるのですが、スポットの200W出力でも電源消費量とRF出力の効率は 30%もいきません。200W直接端子出力でも電源は 600W必要です。 まして空中を飛ばすとなると、どんなに優れたアンテナを使っても伝送効率 100% は難しいでしょう。
 仮に 1W を 10mで伝送できるとして、電力伝搬効率は距離に反比例しますので、1mの場所ではその 10倍得られることになります。10cm の場所では 100倍になるはずです。
はたして送信電力はどのくらいかというと、10mで1Wを得るには最低でも 10cm で 100W必要になることが、想像できますし、アンテナ出力はそれ以上必要です。たぶん 200Wは必要でしょう。そうなれば、電子レンジぐらいのパワーを部屋中にまき散らす感じですね。
両方パラボラアンテナを使えばそんなに伝送効率が落ちないかも知れませんが、それはコンパクトな機器に伝送する使用法から考えて無理でしょう。説明の図では多くの機器に伝送できるみたいです。
いずれにせよ 1W伝送にせよ不要輻射や EMIの規格がありますので、結構障害があるのではないかと思われます。 MIMO とかフェイズドアレーアンテナとか、マルチキャリアーでピーク電力を抑えるなど、工夫する技術はあるかと思いますが...ちょっと眉唾に思えませんか?
 KDDIもこんなベンチャーに飛びつくんですね?
はたして実現できるのか...
CESの記事に期待します。

|

« MWE2015に行ってきました | トップページ | 謹賀新年 »

RF」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。

なんだか眉唾だと思っていたのですが、数字を上げての説明で納得しました。
相手が複数デバイスだし、フェイズドアレイでやるにしてもアンテナの数だけ位相を操作する回路が必要ですよね。そんなことが卓上機器のサイズでもできるのであれば真っ先に軍用の分野で実用化されていそうですし。

投稿: | 2015年12月27日 (日) 19時52分

3年前のこの記事はやはりダメだった様で、今は話題にすらなりませんね。発表した会社はまだ、CES のアワードもらったとか、イメージだけで投資を募っているようです。結局金集めの投資目的会社のようです。

投稿: SUDOTECK | 2018年12月13日 (木) 11時02分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 10m離れた複数の端末にワイヤレス給電?:

« MWE2015に行ってきました | トップページ | 謹賀新年 »