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2015年11月10日 (火)

FETのバイアス変遷のはなし

FETのバイアス変遷のはなしとは

 昔はFETって高級品で、接合型のFETがオーディオなどに用いられて、低ノイズで高インピーダンスなので、「FET MCヘッドアンプ」なんてキャッチフレーズでオーディオアンプが売られた時代でした。Unknown
 高周波への応用は少し遅くて、アルミケースのデュアルゲート FETの 3SK22が発売された頃は、色々なアマチュアセットに使われました。トリオでは JR-310という受信機で RF段に採用され、2つのゲートをRFミュートとAGCそれぞれに使っており、私の設計したCBトランシーバーも同じように、RFゲインとRFAGCをかけるように、2つのゲートを使っていました。当時はまだ高価で、一番のSNの勘所のRFセクションにしか使えませんでした。
 その後、R-599シリーズなどの VCOにも使われるようになりましたが、VCO用途では2つ目のゲートは使われませんでした。
 下図のDualGate FETを使ったミキサーは2つめのゲートを有効に使った好例で、ローカル信号と入力信号をミキシングするのに最適な構造でした。
通常のトランジスタでミキサーを作ろうとすると、入力に対するダイナミックレンジを稼ごうとすると、電流を流さなくてはならなくなり、そのため逆に入力信号が歪まず、ミキサーとしての効率が悪くなったりするので、その点が悩ましいところでした。電流を減らせばミキサー効率は上がりますが、逆に強入力時に飽和して受信できなくなったりします。
Fet_mixerbias_2
それを改善したのが中央の PushPull 方式で、2つの FETをPushPullで動作させるので、ダイナミックレンジはほぼ2倍、ローカル注入をソースにするので、若干ローカルレベルが必要になりますが、高価なデュアルゲートFETを使うこと無く通常の接合型 FETで構成できるので、コストダウンにも貢献しました。
(デュアルゲートFETのプッシュプルミキサーもありましたが、あまりみかけられなくなりました)、後に一番下のようなゲート接地タイプの構成でゲートにローカルを注入する機種も見られました。接合型ではソースに抵抗を入れて、ゲートは接地スルなどして、自己バイアスで使われることが多く、回路の簡素化に貢献しました。
 このようなプッシュプル化は3次の高調波歪みや強入力など、あとすこしマージンがほしい時に大変助かりますが、時代はやがて、DBM などパッシブなミキサーに高レベルのローカル入力で機器を構成するほうが安定になってきました。
  マイクロ波を扱う最近のエンジニアではミキサーというと DBM を指すようで、ディスクリートのデバイスでミキサーを作れるなんて夢にも思っていないようです。
 NFの良い LNAにDBMを付ければどんな周波数でも受信できちゃう現代がなにか怖い感じがします。昔SF映画で「宇宙船が不時着して通信機を修理する」なんてシーンがあり、将来そんなエンジニアになりたいなと思ったけど、今のケータイやスマホなんか、壊れたら絶対修理できないよな〜

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