トランジスタのバイアスのはなし
トランジスタのバイアスのはなしとは
昔、小学生の頃手に入れたトランジスタは 2SA12とか 2SB75とかいう、アルミケースのゲルマニウムトランジスタでした。友人と競って2石ラジオを作ったり、6石スーパー(ヘテロダイン)ラジオも作りました。
その後、しばらくすると、シリコントランジスタというものが主流になり、 2SC372 とかが、「ラジオの製作」とか「子どもの科学」での工作記事の主流になってきました。
しかしながら、以前作った回路に電源電圧を入れ替えて(PNPトランジスタと NPNトランジスタの違いから)同じように作っても、何か感度が悪かったり、音が歪んだりして「ずいぶんシリコントランジスターは使いにくいな」と感じたものでした。
いま考えれば、シリコントランジスタになって、ベースエミッター間の順方向電圧が、ゲルマニウムトランジスタの 0.3V程度から0.7V程度必要になったためで、そのままの定数ではバイアス不足になってしまって、電流が流れなかったからです。
右図はトラ技2015年10月号の6石ラジオの比較記事中の IFアンプの定数ですが、コレクタに同じ 1mA 流した場合にはゲルマトランジスタでは電源ーベース間の抵抗は 82kΩで済んでいたのが、シリコンでは 62kΩに変えないと電流が充分流れないのです。
この考え方は、実務でやってきてようやくピンと来るようになったのですが、
その後、しばらくすると、シリコントランジスタというものが主流になり、 2SC372 とかが、「ラジオの製作」とか「子どもの科学」での工作記事の主流になってきました。

いま考えれば、シリコントランジスタになって、ベースエミッター間の順方向電圧が、ゲルマニウムトランジスタの 0.3V程度から0.7V程度必要になったためで、そのままの定数ではバイアス不足になってしまって、電流が流れなかったからです。
右図はトラ技2015年10月号の6石ラジオの比較記事中の IFアンプの定数ですが、コレクタに同じ 1mA 流した場合にはゲルマトランジスタでは電源ーベース間の抵抗は 82kΩで済んでいたのが、シリコンでは 62kΩに変えないと電流が充分流れないのです。
この考え方は、実務でやってきてようやくピンと来るようになったのですが、
1) コレクタ電流を 1mA 流す。
2) エミッタ抵抗が 1kΩなので、エミッタ電位は
2) エミッタ抵抗が 1kΩなので、エミッタ電位は
1kΩ x 1mA = 1V と計算できます。
3) ベース電圧はベースーエミッタ間の順電圧の値に
すれば良いので、エミッタ電圧にシリコンでは 0.7V
3) ベース電圧はベースーエミッタ間の順電圧の値に
すれば良いので、エミッタ電圧にシリコンでは 0.7V
足して 1.7Vとする。
4) よって ベースグランド間の抵抗を 15kΩとした場合
電源電圧は 9Vならば、ベースは抵抗分圧されるので
15kΩ : x = 1.7V : ( 9v - 1.7V)
5) x = 64.4kΩ ...一番近いのは 62kΩと決める。
などの手法で大まかな値が算出できます。
さて、最近の FET ではどうでしょう? ジャンクション FET などはゼロバイアスでうまく動くのがありますが、マイナスバイアスをかけないと、電流が設定できないものも高周波デバイスでは多いですね。
昔、真空管で使った手法ですが、ソース抵抗を付けて、ソース電圧を発生させ、ゲートは GNDに繋ぐと、ソースから見たらゲートはマイナス電圧になります。
大電流を流すパワーアンプには向きませんが、ソース抵抗を使うのも簡単な方法ですね。
4) よって ベースグランド間の抵抗を 15kΩとした場合
電源電圧は 9Vならば、ベースは抵抗分圧されるので
15kΩ : x = 1.7V : ( 9v - 1.7V)
5) x = 64.4kΩ ...一番近いのは 62kΩと決める。
などの手法で大まかな値が算出できます。
さて、最近の FET ではどうでしょう? ジャンクション FET などはゼロバイアスでうまく動くのがありますが、マイナスバイアスをかけないと、電流が設定できないものも高周波デバイスでは多いですね。
昔、真空管で使った手法ですが、ソース抵抗を付けて、ソース電圧を発生させ、ゲートは GNDに繋ぐと、ソースから見たらゲートはマイナス電圧になります。
大電流を流すパワーアンプには向きませんが、ソース抵抗を使うのも簡単な方法ですね。
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コメント
次は、カスケード~2ゲートFET~ヒ化ガリ~HEMTなどの変遷とバイアスの話を期待してます。
投稿: ギャラリー | 2015年9月26日 (土) 12時23分