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2014年8月22日 (金)

温度試験のはなし

温度試験のはなしとは
 最近は常温でつかう製品がおおくて、ちょっと昔のCBトランシーバー時代の温度試験のはなしを書いてみる。
ハード的には
CBトランシーバーは特に車載のものがあるので、温度試験はけっこうきびしい。車の中の温度で−40℃から40℃で動作しなければなならいからだ。高い方が40℃とはちょっと低い気がするが、これ以上の温度では人間が使えないし、エアコンがあるので動作環境としてはこのくらいでいいのかもしれない。

しかしながら−40℃は動作しなければならないのは、極寒の地で助けを呼べなくてはその使いものにならないからだろうか?確かにノルウェーにも販売していたからきっと使う必要があるのだろう。
低温はデバイスが冷えるからパワーを出すのは有利ですが、バイアスが浅くなって電流が流れにくくなるので、トランジスタのバイアスにはダイオードなどの温度補正が必須でした。また低温ではコンデンサーの特性が劣化します。最近は電解コンデンサーやセラミックコンデンサーの性能が良くなっているが、それでも低温時は容量が減るので、それを考えて多めの容量のコンデンサーにします。VCOなどは温度補正コンデンサーを使わないと、低温で確実にロックしにくくなる。設計時には抵抗でロック電圧を恒温槽から引き出して、よく電圧を確認していました。ロックが不安定なときでもある程度電圧は安定してるので、スペアナなどで、近傍をチェックする必要がありましたね。
ソフト的には
 下図は水晶発振子の温度特性で、よく使うのがいちばん上のAT カットです。
周波数切り替えにはPLLがあたりまえで、基準周波数の 10.24MHzあたりがよく使われましたが、やっぱり温度で変動するので、恒温槽などで温度試験は必須です。
Cvo_character_img1_2 このATカットの温度特性で特徴的なのが、温度が下がると1度周波数が上がってから下がっていく点です。この特性なので、全体的にはフラットに近くなるのですが、温度の低い-40℃で良かったからと言って、0℃や -10℃あたりを測定し忘れると、実はかなり周波数が高かった...ということもあります。この-10℃から0℃あたりは ATカットの鬼門ですね。
だいたい温度試験の時は恒温槽で -40℃まで冷やすのですが、なかなか下がらず結構時間がかかります。ようやく測定してオッケーだからと一気に扉をあけると霜が付いて結露して、基板が水浸し...ってことになりますので、注意して結露しないように温度を上げます。しかし、急いで温度を上げながら測定するとこの-10℃や0℃付近が安定せずに周波数変化の最大値を逃すことがあります。 きちんと-10℃や0℃で安定させて測定するのがあとあとのトラブルを減らすポイントですね。
温度測定を始めるとほとんど1日つきっきりなので、残業も多かったなー

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コメント

CBの温度特性とは 懐かしい話題ですね。

ハッキリ憶えていないのですが CBの動作温度範囲は -20から60度だったような気が、、、

当時の COCOM申請シートの -20度以下の動作可能にチェックを入れると軍用と見なされたと思います。


当時、炭酸ガスの恒温槽を使用していました。
-20度にすると RF特性以前に VRやロータリーSW等の回転機構が回らなくなり低温用グリスに変更して貰った事があります。
すると、60度で粘度がなくなり ヘナヘナになり 流れたり、、、

高温テストですが、恒温槽は強制的に風を送り セットの温度は60度以上には上がらないのですが、車内で風通しが悪い所に設置して 連続送信すると セットは60度以上になり、、、
orz の経験があります。

投稿: 市川市住人 | 2014年8月26日 (火) 01時38分

WEB検索して FCC Part95 Subpart D 準拠の提出書類を見つけたのですが、その温度試験は -30℃から 50℃でした。どうも記憶と違いますね。初めて輸出したのがオランダ向け FM 0.5W という規格だったので、-40℃は独自の試験をしたのかも知れません。
うちの恒温槽は電気式で水を大量に使うやつでした。温度試験をすると水道料が上がるので、「終わったらちゃんと水止めとけよ」って感じでしたね。

投稿: SUDOTECK | 2014年8月26日 (火) 06時52分

ああ~、ヤダヤダ! 老化現象か、記憶が曖昧です。

FCCまで 検索して頂きありがとうございます。

投稿: 市川市住人 | 2014年8月27日 (水) 23時57分

昔の書類を探していたら、スエーデン向けCB AM/FM 4W/SSB 10W のマニュアルが出てきました。製品の温度スペック範囲は -20℃から+50℃となっていました。
市川市住人さんの -20℃というのは出荷スペック上で確認測定する温度でしょうかね?
私の仕事はもっぱら規格取得のためのチャンピオンサンプル出荷が多かったので、提出用のため厳しく見ていたのかも知れません。でも高温が +50℃というのもあんまり実感なく、ダメですね〜お互い老化現象が来てますね。

投稿: SUDOTECK | 2014年8月28日 (木) 16時31分

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