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2014年1月23日 (木)

ヒステリシスのはなし

ヒステリシスとは

ヒステリシス (Hysteresis) とは、ある状態が、現在加えられている力だけでなく、過去に加わった力に依存して変化すること。
と辞書に載っていますが、電気的には「出力の状態によって、入力のしきい値が変化すること」と説明した方が判りやすいかと思います。Hysteresis
右図で説明すると、上側の回路はヒステリシスのない普通のコンパレーター回路で、マイナス入力なので入力がしきい値よりも高くなると LOW に出力されます。
 このとき、入力が図のようなノイズ・チャタリングを伴った信号ではどうなるのでしょう?しきい値の間を上下すると出力も同じように上下します。カウンターのように変化をカウントする場合はノイズで多くカウントされてしまいます。
コンデンサーで波形を鈍らせても良いのですが、鈍らせた分応答が遅くなる弱点があります。
 そのようなときには下の回路のように、出力とプラス入力の間に抵抗を入れて正帰還させます。
 動作をチェックしてみましょう。
1)入力が Lowで出力が High の場合は帰還抵抗によって出力の+12Vがプラス入力に入っているので、単体でのボリューム位置の電圧よりも高めの V1 の電圧がしきい値となっています。
2)そこにノイズ波形が入力されますが、ちょっと高めになっているのですぐには反応せず、図では3つ目のノイズで反応して出力が Low になります。
3)出力が Low になるといままで+入力に 100kΩを通って +12Vが加わっていたのが 0Vになります。そして今度は +入力を 100kΩでLowに下げる働きをします。するとしきい値の電圧は V2と上側の回路よりも低い電圧になります。
4)しきい値が V2 になったため、残りのノイズの時も その電圧をまたぐことはなくなりますので、出力は Lowのままで安定します。
 このように、緩やかに変化するクロックや、ノイズを持った入力に対してヒステリシスをもった入力回路を使うことによって安定な動作をすることが出来ます。
ソフト的には
 ゲートICなどでもヒステリシスを持った 74HC14 などがありますので、うまく使うと便利ですね。

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