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2013年5月11日 (土)

懐かしい部品のはなし

懐かしい部品とは

先日、水晶発振回路の実験をCMOS DIP ICを使うのに好都合なので、珍しくブレッドボードで行ったのですが、手持ちのコンデンサーは 1608の積層セラミックコンデンサーなので、実験には使いにくいのですね。それで、もう動かなくなったおもちゃのトランシバーを分解してリード付きのコンデンサーの部品取りをしたのです。その基板がこれです。
Img_0731
片面プリント基板なので部品を外すには楽ですね。ぱっと見て懐かしいと思ったのは、中央のTO-92のトランジスタの右2つのコンデンサー。紫色のカラーが塗ってあります。これは昔よく使った温度補償タイプのセラミックコンデンサーです。この紫色は N750 といって一番補償量が大きい -750ppm/℃の製品で、発振回路などによく使います。それは発振回路でコイルを使うと、温度が上がるにつれてコイルの線材が伸びて、どうしても発振周波数が下がってしまうのです。f=1/(2π√LC )なのでこれを防ぐには PLL を使うか同調のコンデンサーを温度によって小さくすれば良いのです。
 それなら普通の F特なんか温度が上がるとがくっと下がるのでいいかなと思いますが、実は温度が下がったときにも容量が落ちてしまうので、F特はダメで、やはり温度補償用のコンデンサーが重要なのです。
PLL時代には不要?
じゃないかと思うのですが、実はPLLだってあんまり発振コイルがずれてしまうと補正用にバリキャップを動かすために電圧が上昇しすぎてロックできなくなったりします。特に低い温度ではコンデンサーの容量が多く必要になって、共振回路のQが低下したり、電圧が低すぎて不安定になり、ロックしにくくなります。
 最近のチップコンデンサーではどうかなと思って調べてみると、案外少なくて 太陽誘電の温度補償用に
CH ..... 0±60ppm/℃
CJ  ..... 0±120ppm/℃
CK  ..... 0±250ppm/℃
UJ ..... -750±120ppm/℃
UK ..... -750±25ppm/℃
と実質 0 と -750 なのですがありますね。まあ、-750 があれば、CH と UJ の容量値を変えて並列合成すればよいから、今時の小さい SMDでは多くの品種を持つよりも大量生産の時代ではいいんでしょうね。
 あと左上の受信回路(2SK73が見えます)のオレンジマークのコンデンサーは N330ですね。こっちは同調回路に時々使います。ちなみにCH(NP0)のコンデンサーは黒色マーカーです。昔はやすいからといって購買が SLのセラミックコンデンサーを買いたがっても、「高周波の同調回路につかっちゃいかん!」と頑固な先輩が教えてくれました。
昔つかっていた「55D」マークの黒い455KHzセラミックフィルターや、コアの回転止めにゴムが入っている高周波トランスなんか懐かしいですね。
 実はこの基板けっこう凄いのです。裏面のパターンなんか部品配置をしっかりやらないとジャンパだらけの基板になってしまいますが、片面基板でメッキ線ジャンパー2個、リード線ジャンパ3本は驚異的です。私もかつてハンディ受信機で経験しましたが、電池で動作させる場合電池の内部抵抗による電圧降下が大きく影響するので、パターンは電流の流れるラインの取り回しが重要で、最後にどうしてもスピーカーケーブルだけはアンプの直近に穴をあけて手半田にしてもらいました。最初は基板端で出力、電源をまとめたのですが、音量を上げると発振したり不安定になったりしてずいぶん苦労しましたね。

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