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2013年5月 1日 (水)

FETのランクのはなし

FETのランクとは

小信号の FET などにある Y とか GR とかいうランクについて考えます。バイポーラトランジスタにも同じようにランクがありますが、バイポーラトランジスタの場合は電流増幅率 hfe のランクなので、電流ゲインが違うと判りますが、FET の場合は Ids というドレインに流れる電流でランク分けしています。K30ids_2

 上図は 2SK30のドレイン電流とゲート・ソース電圧の特性表です。何本も線があるのはランク別に特性が違うからです。
2SK30の場合は
R(Red)....0.3〜0.75mA
O(Orange)....0.6〜1.4mA
Y(Yellow)....1.2〜3.0mA
GR(GReen)....2.6〜6.5mA
と色の名前で分かれています(昔はTO-92型のFET/トランジスタの頭に文字を印刷する代わりに色の付いたマーカーをつけて分類していたため、この色名での分類が標準になったのではないかと思います)。
これはゲートソース電圧が0Vのときのドレイン電流で分けてあります。
ハード的には
それではランクが違うとどのような特性が違うのでしょうか?Fet_bias
 まず右図上2例のようにソースが接地された増幅回路を考えてみます。ドレイン抵抗を 2.2k 、ゲートを GNDに 100kで接地するのでゲートソース電圧は 0Vです。ランクが Yの場合は Idss2mAなので、ドレイン電圧は 7.6Vとなります。
 ここにランク GR のものを使うと電流が増えますのでドレイン電圧は抵抗で降下して 3.2Vとなります。最初の Yランクの半分程度に成るので、下側の信号電圧マージンが小さくなります。
 次に下側2例のようにソースに抵抗を入れた場合で考えます。 Yランクの場合はソース抵抗によって電圧が発生します。ここでは0.2Vで約 1.6mA流れています。上図の特性では黄色い点で示したポイントです。ソース電圧が 0.2Vということはゲート電圧は 0V (GND)なのでゲートソース電圧は -0.2Vとなっていることが判ります。この回路は自己バイアス回路といって、バラツキで電流が増えても増えた分ゲート電圧が下がり電流を少なくして安定させる働きがあります。
 そのため、GRランクの FETを使っても電流増加分ソース電圧が増えて、この例では 0.3Vとなり ゲートソース電圧が 0Vで 4mA流れるランクですが、-0.3Vにバイアスされるので上図の特性表のオレンジ色のように電流が3mAに制限され、結果的にYランクでドレイン電圧8.5Vに設定してあった回路が、GRランクで 5.4Vとバラツキを少なくされています。
 この場合増幅率はどうなるかと考えると、上の特性表でそれぞれのポイントでのカーブの傾きが増幅率となります。上図の黄色とオレンジではオレンジの方がすこし傾きが大きいので増幅率が高くなるかもしてませんが、ほぼ同様の特性が得られるのではないかと考えられます。
 上記特性表から見ても、あまりバイアスを深くかけたところで使わなければ増幅率の差(傾き)は変わらないので、DC電圧が直接かかわる回路でなく交流信号を増幅する回路でしたら、FETのランクはあまり変わらなければ使えるし、ランクのバラツキで特性が変わってしまうような回路設計を避けた方が良いでしょうね。

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