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2013年4月15日 (月)

MOS FET Gate Chargeを考える

MOS FET Gate Chargeとは

MOS FET のゲート制御スピードに関係する特性として Ciss がよく使われますが、最近ではこれらの容量値にかえて、Gate Charge ( nC )という値が使われます。
この中には Gate-Source Charge [Qgs]とGate-Drain Charge[Qgd] と合わせた Total Gate Charge [Qg]が記載されています。I04081
 小型で P-chとN-ch が入った複合FET Si6544DQ が秋月電子で売られていたので、高速スイッチングで使えないかと動かしてみたのですが、実はこの N-chFET は Total Gate Charge が 17.5nC ( typ) も有るんですね。ちょっとした大電力パワーFET並みです。これをドライブしてみると、ゲート波形は次のようになります。Pn_tssop8
 これは 1MHz 5Vの矩形波でドライブした波形で、下側の赤い波形がゲート電圧、黄色がドレイン波形で1目盛り5Vです。まず、赤色の立ち上がりを見ると1目盛り 200nS なので、80nSぐらいで立ち上がります。これは Gate-Source Charge が 4nC と小さいので早そうですが、ドレイン電圧が下がる間ゲートドレイン間にチャージする必要があるので、ゲート電圧は4Vぐらいでとどまっています。
 そしてドレインが完全に ONになるとゲート電圧はすこしづつゲートドレイン間にチャージしながら電圧が上昇します。
 ゲート電圧を OFFにしてもゲートのチャージが残っているためすぐにOFFになりません。だいたい 100nSぐらい遅れてドレイン電圧が上昇します。ゲート電圧を見てこのようにゲートに電荷がチャージしていく過程が解ります。
 次にゲートチャージが 1nC と小さい FET BSS138はどうでしょうか?Bss138
 同様の環境でドライブしてみると、ゲート波形はオシロのプローブ長の関係でちょっとリンギングがありますがシャキッとしてます。
 ドレインも約 20nS 程度の遅れで下降し始めます。しかしながらよく見ると何かドレインが High になるカーブが緩やかですね。調べてみると規格上Tuen-off time が 150nS もあります。確かにドレインが立ち上がるにに 100nS ぐらいあり、ドレイン電流が少ないせいか、ドレインの立ち上がりがなまっています。
 このようにゲートのチャージが少なくてもターンON/ターンOFF時間が遅いデバイスもありますので、一概にゲートチャージが少ないからと言って高速とは限りません。
ソフト的には
実験の目的は 27MHzのスイッチング動作でしたが、上記特性からもちょっとこれらのデバイスでは、無理なようです。現在他のデバイスを手配中ですので、高速で使える便利な FET が見つかったらまたお知らせしますね。

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