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2013年3月24日 (日)

OPアンプの出力範囲のはなし

OPアンプの出力範囲とは

OPアンプは昔は±15Vで使うのがポピュラーで、正負の電源を用意するのがあたりまえだったけれども、マイコンとのインターフェイスなどで+5V単一電源や+12V単一電源などで使う場合が増えてきました。
 みんなOPアンプだからピンコンパチだし...と思って使ってみると、出力が0Vまで出なくでLowに認識されなかったり、5V電源で 3V しか出力電圧が出ないこともあります。
ハード的には
通常のOPアンプのOP07などを例にとって内部回路を見てみます。
Op07
出力は通常のNPNとPNPトランジスタのプッシュプルタイプで、エミッターフォロワーの回路です。この回路では+側の最大出力を考えると、エミッター電圧よりVbe分高くしなければならないので、たとえ電源電圧いっぱいにベース電圧を加えても、エミッターにはVbe(約0.6V)程度低くなってしまいます。同様にGND側の最小電圧を考えても、ベースを0Vにしてもエミッターは +Vbeになってしまいます。
このように通常のプッシュプル回路では最低でも Vbe分、ドライブ回路を考えると通常は 1.5V〜2V程度 Vccや GNDから出力出来ない範囲が生じます。
 入力側の特性を考えてもエミッター接地のアンプなので、Vbe以下の電圧には反応できませんから、単電源で使う場合は0Vの入力ができません。
Lm358
上図は単電源対応のLM358です。入力がPNPトランジスタなので、GND付近のレベルまで入力出来ます。出力もGND方向に定電流が追加していますので、出力電圧は0V付近まで出すことが出来ます。しかしながら電流源なので、大きな電流をGNDに引き込むと電圧は上昇してしまい、大電流出力には不向きです。このOPアンプも正方向の出力は電源電圧より1.5V程度低くなってしまいます。
しかしながら、0Vからのアナログ電圧をCPUとON/OFF制御でインターフェイスする5V単電源で大変便利なOPアンプです。
Ad8591
次の図はAD8591というレールツーレール出力のOPアンプです。
出力段はFETを使っていますので、抵抗値は数10mΩと小さく電圧降下も少ないのでほぼ電源電圧いっぱい使うことが出来ます。またソースがVcc,GNDに繋がっていますので、正の電圧を出力するにはゲート電圧は電源電圧より低くでき、GNDへの引き込むにはゲートにかける電圧はある程度の正の電圧でよいため、電源範囲をめいっぱい駆動することが出来ます。入力も0Vをかけた場合でも入力FETのゲート電圧は直線変化する領域ですので0Vから電源いっぱいまで入力することが出来ます。
ソフト的には
このようにOPアンプの種類を必要な出力電圧範囲や入力電圧範囲で選択することが必要です。しかしながらレールツーレール入出力OPアンプだからどんな用途・回路でも大丈夫と思ってチェックを怠ると、レールツーレールOPアンプの落とし穴にはまってしまいますよ。

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