CMOS-Gate で水晶発振のはなし
CMOS-Gate で水晶発振とは
CMOS-Gate ICでの水晶発振は最近ポピュラーですが、使うICの種類でうまく動かなかったりします。それはいわゆるCMOSインバーターの内部構成がちょっと違うからです。数MHzまでの低い周波数でしたら、4000シリーズの 4069や74HCU04などが簡単です。これは下の図のように CMOSの1段で構成されているので、入出力を帰還抵抗で繋いでリニア領域で動作しやすいためです。


応用する回路としては、右図のように1MΩ程度で帰還してリニア領域に動作点をセットし、水晶を同様に帰還素子として接続します。周波数が低くて水晶のドライブレベルが大きすぎる場合など、出力側のシリーズ抵抗をつけます。
詳しい動作原理はコルピッツはCMOS発振回路のはなしで詳しく解説していますので、ご覧ください。コンデンサーの容量などは水晶発振子の負荷容量のはなしを参照ください。
また20MHzを超える高い周波数を発振させる場合は、オーバートーンの水晶を使いますが、そのままではどうしても基本波で発振しやすくなりますので、入力か出力に並列同調回路を設けてオーバートーン周波数でのゲインを上げることにより発振しやすくします。同じ4000シリーズでも 4049 は内部回路がちょっと違います。以下に内部回路を示しますが、3段構成のため発振しにくい傾向があり、通常の 74HC04なども同様ですので使うには注意が必要です。

私が実験した範囲では TC74HC04でも上記オーバートン回路は動作しました。帰還抵抗を 470kΩと小さめにした点が効いたのか、コイルの同調を高い周波数にすると5倍オーバートーンの 45MHzでの発振も確認しました。
定本 発振回路の設計と応用―CR発振からディジタル・シンセまでを実験で解析
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