ピークホールド回路のはなし
ピークホールド回路とは

ピークメーターと言われて、私が最初に出会ったのはオーディオのメーターでした。最大のレベルを表示する針と、通常の VU メーターの針が2本あるメーターでしたが、音楽に従ってピーク時に振れて徐々に下がっていく様子は見ていてすごくハイテクに感じたものでした。
今はLEDやスペクトラム表示のバーグラフになったりして、ピーク値が取り残されるように表示されているのが印象的です。
ハード的にはこのようなピーク値の検出は、アナログ的にどう行なうのでしょう。やはり、ピーク値を蓄えるのはコンデンサーですね。そして入力レベルが落ちてもコンデンサーの電圧を放電させないために、充電だけ行なうよう一方通行にすればよいことが判ります。
しかしながら、ダイオードだけではダイオードの順方向電圧以下の信号が検出出来ないので、そこにはOPアンプを使って増幅させる必要があります。
以下はアナログメーターでピーク値表示させるための回路ですが、オペアンプでダイオードの不感レベルをなくすように、出力はトランジスタのエミッタフォロアーで電流を増やすように構成されています。
−側にはある程度の電圧を加えてゼロ点をあわせているようです。
さらに正確な値を読むための増幅回路はどのようにしたら良いでしょうか?
コンデンサーの電圧を検出するのにもOPアンプを使うことです。次の回路が改良した回路です。
この回路は2つの工夫がされています。
1つめはダイオードを2つ使ってダイオードのリーク電流を押え、間に 1MΩでバイアスして微弱な電流をダイオードに流すことにより、ダイオードの逆バイアスに対する逆回復時間を減らす働きをしています。ダイオードの逆回復時間はかなり多くて高速反応するための必要な回路です。
もう1つはオペアンプの入力がピーク時よりも下がった時にOPアンプの出力を大きく−側にスイングさせないで、OPアンプの回復応答動作を速くさせる工夫です。これはOPアンプの−入力と出力の間にあるダイオードで、電位差をダイオードの順方向電圧分に制限しています。
この回路のシミュレーション結果を以下に示します。
赤色が入力信号、緑が出力信号、青色が初段のOPアンプの出力です。これを見るとコンデンサーにチャージするときはOPアンプがフルに出力して充電スピードを上げていることがわかります。また、ダイオードの効果で−側にも順方向電圧( 0.6V)分ぐらいいしか戻らないので、次のピーク応答に有利なことがわかります。
上記の回路ではトランジスタでコンデンサーを放電させてピーク値を解除していますが、この代わりに 1MΩ程度の高抵抗で自然減衰にする方法もあります。
これら回路で重要なのはコンデンサーの選定です。セラミックコンデンサーや電解コンデンサーでは漏れ電流がある程度あるのであまり推奨されません。ポリエチレンタイプのフィルムコンデンサー等が特性的には優れていますが、容量の大きなものは高価です。
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