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2012年10月26日 (金)

差動増幅回路のはなし

差動増幅回路とは

差動増幅回路については差動アンプのはなしで原理については書きました。
今回実際使用する例を挙げて、回路動作を考えていきます。
どんな時に必要か?
今回必要になった事案は電流検出ユニットのインターフェイスからでした。
20121026_111619
パワーアンプの電源電流を検出するためのユニットですが、出力の仕様が2.5Vを中心に電流によって±?V 出力されるというものです。確かに計ってみると電流に応じて電圧が変化しますが、「2.5Vを中心じゃ困ったな〜シフトさせようか」とおもってピンを見るとリファレンス用の2.5出力があり、この電圧と差動で増幅すれば良いようです。
まずはシミュレーション
をしてみようと、SIMetrix を立ち上げて、こんな回路を作りました。
Cir1
信号源を 2.5VのDCオフセットと、1Vp-pのサイン波信号として合成して作り、まずは非反転増幅回路で増幅率2倍でそのまま信号を +入力にします。すると
Gr1
このグラフの赤色、6Vを中心に±1Vの出力となりました。2.5V x 2 = 5V , (2.5V+1V) x 2 = 7V なのでそのまま2倍ですね。
これでは差動にならないので、マイナス入力をオフセット入力とした 2.5Vのポイントに接続したのが次の回路図です。
Cir2
 この出力が上のグラフの緑色なのですが、何か変ですね。サイン波の波高は2Vになって増幅されていますが、下限が 2.5Vあって 0Vになってないのです。よく考えてみるとこの回路では単純に2.5V オフセットしただけで2つの入力の差を増幅している訳ではないようです。どうすれば差分の増幅ができるのでしょう?
 それが次の回路です。
Cir3
 どこが違うかというと、+入力とGNDの間に抵抗 R5 が入っているのです。よく見ると抵抗の値も違いますね。
 オフセット電圧を VF サイン波の信号電圧を VS 、+入力端子の電圧を Vp,-入力端子を Vn とすると、オペアンプの出力電圧 Vo (0Vに近い値を想定)として
( Vn-Vo )/R4 = (VF-Vn)/R3
Vp= ( VF + VS) x R5/(R2+R5)
R2 = R3=1 , R4 =R5=2  なので
Vn -Vo = 2VF-2Vn   変形して  3Vn = 2VF +Vo
Vp = VFx 2/3 + VS x 2 /3 変形して 3Vp =2VF +2VS
OPアンプが正常動作時には2つの入力の電圧は同じなので、
3Vn = 3Vp
2VF+Vo =2VF + 2VS
Vo = 2VS
となり、純粋に信号分を2倍に増幅します。
結果のグラフが以下のとおり
Gr2_2
緑の線が回路図どおり2倍の結果。すべての抵抗を 1kΩにした時は赤色のように1倍の増幅度となります。
 
 


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