差動増幅回路のはなし
差動増幅回路とは
パワーアンプの電源電流を検出するためのユニットですが、出力の仕様が2.5Vを中心に電流によって±?V 出力されるというものです。確かに計ってみると電流に応じて電圧が変化しますが、「2.5Vを中心じゃ困ったな〜シフトさせようか」とおもってピンを見るとリファレンス用の2.5出力があり、この電圧と差動で増幅すれば良いようです。
まずはシミュレーション
をしてみようと、SIMetrix を立ち上げて、こんな回路を作りました。

信号源を 2.5VのDCオフセットと、1Vp-pのサイン波信号として合成して作り、まずは非反転増幅回路で増幅率2倍でそのまま信号を +入力にします。すると

このグラフの赤色、6Vを中心に±1Vの出力となりました。2.5V x 2 = 5V , (2.5V+1V) x 2 = 7V なのでそのまま2倍ですね。
これでは差動にならないので、マイナス入力をオフセット入力とした 2.5Vのポイントに接続したのが次の回路図です。

この出力が上のグラフの緑色なのですが、何か変ですね。サイン波の波高は2Vになって増幅されていますが、下限が 2.5Vあって 0Vになってないのです。よく考えてみるとこの回路では単純に2.5V オフセットしただけで2つの入力の差を増幅している訳ではないようです。どうすれば差分の増幅ができるのでしょう?
それが次の回路です。

どこが違うかというと、+入力とGNDの間に抵抗 R5 が入っているのです。よく見ると抵抗の値も違いますね。
オフセット電圧を VF サイン波の信号電圧を VS 、+入力端子の電圧を Vp,-入力端子を Vn とすると、オペアンプの出力電圧 Vo (0Vに近い値を想定)として
( Vn-Vo )/R4 = (VF-Vn)/R3
Vp= ( VF + VS) x R5/(R2+R5)
R2 = R3=1 , R4 =R5=2 なので
Vn -Vo = 2VF-2Vn 変形して 3Vn = 2VF +Vo
Vp = VFx 2/3 + VS x 2 /3 変形して 3Vp =2VF +2VS
OPアンプが正常動作時には2つの入力の電圧は同じなので、
3Vn = 3Vp
2VF+Vo =2VF + 2VS
Vo = 2VS
となり、純粋に信号分を2倍に増幅します。
結果のグラフが以下のとおり

緑の線が回路図どおり2倍の結果。すべての抵抗を 1kΩにした時は赤色のように1倍の増幅度となります。
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