神本のはなし
神本という言葉はたぶんないかと思いますが、私が人生で出会った大変おせわになった師匠のような本が確かにあったかと思います。
これは、私が就職して CBトランシーバーの設計を会社で始めるうえで、大変参考になった、CQ出版社の高周波回路の設計―図表を中心にした高周波の基礎から応用まで 久保大次郎著です。
昭和46年初版なので、古い内容かと言えばMOS-FET や高周波半導体の構造から当時最新のPLLの しくみやループフィルタの設計など、水晶発振回路からPLLが盛んになった来た時代に、本当に参考になった本でした。
特に参考になったのは、上図の出力回路マッチングの設計方法でドライバートランジスターからファイナルのとのマッチングや、出力 LPFとのマッチング等、どのような役割で各部品が構成されるか(今では HPF タイプのマッチングだなとわかるのですが)よくわからないままでしたが、いちばん右の(c)の回路を参考に実験で定数をカットアンドトライして、このコンデンサーの値を調整してマッチングをとり、部品数が少なくて調整しやすい回路を設計出来ました。当時はネットワークアナライザー等がなく、パワー計と貴重なスペアナで高調波を確認しながらの作業でしたが、効率よくパワーが出せた時は「やった!」と感動したのを覚えています。
この回路ではコンデンサーを可変してマッチングをとるのでしたが、狭い周波数帯域の CBトランシーバーではコンデンサーは安価な固定値にして、調整するのにコイルを広げたり狭めたりするのが当たり前でしたが、コア入りのボビンコイルの導入とこの HPF型マッチング回路で調整しやすい出力段に設計出来たのを覚えています。
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