電子レンジはどうして2.45GHz?のはなし
電子レンジはどうして2.45GHz?とは
いわゆる工業などで、電波を使える周波数をISMバンド(ISM:Industry-Science-Medical) といいますが、その周波数割り当ては、
13560kHz (13553 - 13567kHz)
27120kHz (26957 - 27283kHz)
40.68MHz (40.66 - 40.70MHz)
2450MHz (2400 - 2500MHz)
5800MHz (5725 - 5875MHz)
24.125GHz (24 - 24.25GHz)
となっているそうです。
2.45GHz,5.8GHzは無線LANなどでも使われているように、比較的電波が外部に漏れても問題の少ない周波数帯として使われています。
ハード的には電子レンジの高周波は右図のようなマグネトロンという真空管が自励発振して 2.45GHzで数kWというパワーを出して、食品の中の水分子を振動させる原理ですが、この「2.45GHzが水分子の振動にちょうど良い周波数である。」とずっと思っていましたが、高周波回路設計はじめの一歩 (トランジスタ技術SPECIAL)
に書いてる記事を読むと、どうやらこのマグネトロンにとって都合の良い周波数であって、水分子の振動とはなにも関係が無いらしい。計算すると、2.45GHzは波長にすると 12cmぐらいなので、水分子を共振させるには確かにちょっと波長が大きすぎる。
人間の体とか、食品とかを内部から高周波のロスで暖められるのが電波(高周波)の特性なので、温熱治療器の分野ではあまり高い周波数を使うよりも 27.120MHzのほうが人間の体にちょうどいい暖かさになるそうです。
ソフト的には
このISM周波数は工業用に高周波ウェルダーに使われたり、プラズマを発生させる高周波電源として半導体製造にも使われているそうです。以前の開発で 2.45GHzで1KWのパワーを合成する部分が普通のテフロン基板を使ったらロスで真っ黒に焦げてしまいましたが、後で聞くと空中配線しないとダメだったそうです。数GHzの高周波になるとケーブルやプリント基板のロスも無視できなくなるのが大事なポイントですね。
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