SAWフィルターのはなし
SAWフィルターとは
[Surface Acoustic Wave]フィルターで、表面弾性波フィルターということです。物質の表面での振動が音波のように伝わってある共振帯域のみの周波数が伝わることを利用しています。
ハード的には
表面が電気で振動するのはピエゾ効果などといって、セラミックスピーカーとか利用されていますが、水晶やLiTaO3(リチウムタンタレート)LiNbO3(ニオブ酸リチウム),Li2B4O7(4ホウ素リチウム)などがSAWフィルターのベース素材になっています。これに櫛形の電極をつけて表面を振動させるのです。
水晶の仲間だからではないですが大変鋭い選択性能があり、古くはテレビのIFフィルターのようにある程度広い帯域を持ちながら、隣のチャンネルとの分離性能にすぐれるシャープなフィルター特性を持っています。図は車の無線リモコンに使うSAWフィルターですが、300MHzの周波数で、100KHz程度の選択性を持っています。
しかしながら、昔の SAWフィルターはロスが大きいことが有名で、かつ水晶のような割れやすい基板材料で取り扱いが不便でした。ロスは富士通の説明にあるように昔は入力した信号が受信側に届くのは半分以下で、反対側に向かっていく表面を伝わる信号は捨てられていました。最近は性能の改良と、小型化が進み、携帯電話のアンテナフィルターや、IFフィルターに多く使われているようです。
ソフト的には
SAWフィルターで気をつけなければいけない点は素子インピーダンスが 50Ωではないことです。基本的に水晶の上に櫛形の電極をつけたような構造なので、ハイインピーダンスで、アンプとのマッチングはコイルやコンデンサーをGNDに接続したりしてマッチングさせます。インピーダンスが高いので、入出力の回り込みにも注意が必要で、周辺部品のパターン間で信号のアイソレーションが悪くなったりします。大型なSAWフィルターの1つに地上波デジタルIF中継用のフィルターがあります。周波数が37.15MHzと低いことから大きさが51.5mm×31.5mm×7.6mmもあり、入出力が50Ωになっていたり、内部SAW基板が大きいのでしょうね。
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