複同調回路のはなし
複同調回路とは
高周波の増幅回路で、LとCによる並列共振回路を使ったトランスがよく用いられます。コイルのQを上げることによって選択性が向上しますが、スプリアスを減衰させる目的にさらに良くするためにトランスを複数使って構成します。この回路を複同調回路といい、今回のようなコンデンサーで2つのトランスを結合するCカップリングと、コイルを密接に接合させて電磁的に結合させるMカップリングがあります。
ハード的には
右図はコイルのQを上げるためにコンデンサーを分割して入出力の 50Ω にマッチングさせた副同調回路で、コイルの中間タップが難しい場合等に用いられる回路です。
この2つの同調回路を Cx にてカップリングさせます。このCxの値にてカップリング量が変化して、選択性が変わります。下図は Cx =5pFにてカップリングした特性で、峡帯域な特性が実現されています。さらに減らすとすこしシャープになりますが、ピークのレベルが減衰してしまうので、あまり小さくすることも出来ません。この Cxを 10Pに増やすと今度は複同調回路の帯域を広げる効果が現れ、下図のように2つ山が出来るようになりますが、通過帯域を広げることが出来ます。
ソフト的には
このような結合によってシャープな減衰特性と広い通過帯域特性を実現したのが、ヘリカルフィルターやキャビティを使ったフィルターです。多くは複数のヘリカルやキャビティの共振子をM結合で複同調回路を形成した物です。高い周波数では比較的小型でシャープな特性が得られるので、携帯基地局のディプレクサーなどに多く使われています。
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