SWRのはなし
SWRとは
[Standing Wave Ratio]定在波比のことです。
主に高周波の伝達する上で、負荷に効率よくエネルギーを伝送させるためにマッチングがとれているかを計る値です。
ハード的には
右図で負荷 Zoでうまくマッチングがとれており、エネルギーがすべて負荷に伝達されている場合が、いちばん上の図です。しかしながら負荷と伝送路とのインピーダンスが合わないと負荷に届いた信号はある程度反射してしまいます。この進行波のレベル Vf と反射波のレベル Vr から SWR を求めます。
定在波とはこれら進行波と戻って来た反射波が合成されて、ある場所では Vf + Vr の大きさになり、ある場所では Vf - Vr の大きさになって現れる定在波の大きい高さと、低い高さの比を定在波比として計算します。
よって SWR = ( Vf + Vr )/( Vf -Vr ) となり、反射がない理想的な状態が SWR = ( 1+ 0)/(1 + 0) で
SWR = 1.0 となります。進行波1に対し、反射波が 0.1ならば SWR = ( 1+0.1 )/(1-0.1)=1.1/0.9 =1.22 となります。
注意してほしいのはここで計算しているのは、波の高さなので、電気では電圧を計算していることです。とかくパワーアンプ等では出力を電力で表していますので、SWRを計算するには電力を電圧に変換しなければなりません。 P=VxV/Z なので、電圧 V = √(P x Z) となります。これを上記の SWR の計算式にあてはめると、 SWR =( √(Pf x Z) +√(Pr x Z) )/(√(Pf x Z) -√(Pr x Z) ) Zが分母分子にあるので省略して、
SWR =(√Pf+√Pr)/(√Pf-√Pr) となり、パワーの平方根で計算します。
例えば、10Wの出力で反射が 1W ならば、 SWR = (√10+√1)/(√10-√1)=(3.16+1)/(3.16-1)=1.9 となります。
また、SWRに関連してリターンロスという言葉が聞かれますが、これは反射してロスになる電力を dBで示した物で、何も反射しなければ -無限大dB で、すべて反射する場合リターンロスは 0dBとなります。リターンロス -20dB ならば電力で 0.01倍 なので SWR = ( 1+√0.01)/(1-√0.01)=( 1+0.1)/(1-0.1)=1.22 となります。
ソフト的には
現在 アナログのSWRメーターをシュミレートした iOSアプリを開発中です。リターンロスから SWR値を計算するだけでなく、その場合の負荷のインピーダンスを計算したり、進行波・反射波の2つの値からSWRを計る計器のシュミレートモードも用意する予定です。
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