低雑音電源回路追加
SCHEMATICS に100KHzから50KHzまで 10nV/√Hz という低雑音の電源回路を追加しました。
簡単なリップルフィルターでは平滑用のコンデンサーに限界があるため、低域がどうしても雑音が多くなってしまう点、電源電圧が負荷によって変動してしまう点が弱点でしたが、高速OPアンプをうまく使うことで低雑音化を図っています。
低雑音にはノウハウがありますが、まず感度の高い部分の抵抗値を下げることです。この回路では電圧設定用の 470Ωと 22Ωの部分ですが、分圧比によって基準電圧を作っている低雑音の基準電源IC LM4040の 4.1V との比で電圧を決めます。この抵抗値は最高でも 1KΩ程度に停めることが熱雑音に対して有効です。この基準電源ICの出力は4.7kΩと10uFで十分雑音を除去しています。この誤差を増幅するOPアンプは出力にツェナーダイオードを使って電圧をシフトして電源電圧の半分程度で動作するよう工夫しています。出力段のトランジスタをドライブする電流も FETの定電流回路を使用して動作インピーダンスを下げてノイズ発生を抑えています。出力段のコンデンサーはセラミックコンデンサーを使うと 高周波域のESR が低すぎて発振する恐れがありますので、タンタルコンデンサーかアルミ電解コンデンサーを使います。
これらの回路構成を使ったICとして電源とノイズのはなしで書いたADP150などが近い性能を持っていますが、汎用的な電圧を作りたい・電流を確保したいなどという場合は有効な回路です。
--------------------------------- 参考図書 ----------------------------------------
P109にこの回路が説明されています。
アナログ回路設計の勘所(トランジスタ技術SPECIAL)
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コメント
こんばんは
記事の回路図を参考にさせていただき、12V程度の電圧を出力する定電圧回路を作成しようとしましたがどうにもうまくいきません。
自分で調べても原因がわからず、失礼を承知で質問いたします。
Nch JFETに2SK369、出力Trに2SC5198、オペアンプにLME49710を使用しています。
オペアンプの-IN基準電圧にはLEDを2個使用し4Vを生成、+INの分圧抵抗は470Ωの部分に780Ω、470+22Ωの部分に390Ωを使いました。
12Vが出力されるはずが、出力Trの分しかドロップされていません。
オペアンプが動作していないのではと考えていますが、全てのピンは接続済みかつピンアサインは間違っていなという状態でなぜ正常に動作しないのかさっぱりわかりません。(オペアンプが故障していないことは別の回路で確認しています)
投稿: | 2018年3月18日 (日) 00時15分
-IN に分圧抵抗、+INに基準電圧です。
反対ですと、出力電圧が上がったときに +INが増えますので、さらに出力電圧が上がってしまいます。 また、2SK369はドレイン電流が多いので、直列に 100Ωぐらい入れた方がいいかも知れません。 ご確認下さい。
投稿: SUDOTECK | 2018年3月18日 (日) 10時30分
すみません、-IN に分圧抵抗、+INに基準電圧で実装しておりました。
文章のほうが間違っておりました。
これで目的の電圧が作れず途方に暮れているところでした。
2SK369は確かにドレイン電流が多いですが、最大2~3A程度の出力が欲しかったので電流量が多い2SK369としていました。
投稿: | 2018年3月18日 (日) 11時49分
安定化電源の基本はまずオペアンプの入力状態をチェックします。
1) +IN には 4Vがちゃんときているか
2) -IN には正常に動いている場合は +INと同じ電圧ですが、今回 +12Vより高く Vbe の降下分が出ているという事から、 -INは 4Vより高い電圧がかかっているかと思います。
3) このとき OPアンプが正常だったら、OPアンプの出力は 0Vになっているはずです。
ここが 0Vにならない場合 OPアンプがおかしいです。
4) ここまで OKなら後は出力制御トランジスタの駆動ですが、ツェナーダイオードRD5.1Sの TR ベース側は何ボルトですか?
ここが 入力電圧よりちょっとしか下がらないなら、ツェナーダイオードがおかしいです。
ツェナーダイオードを止めて 100Ωぐらいの抵抗にするとどうなりますか?
また J-FET を止めて 1kΩぐらいのただの抵抗にするとどうなりますか?
ベース電圧をコントロール出来ない原因を調べて下さい。
投稿: sudoteck | 2018年3月18日 (日) 14時31分