定番を使う
定番を使うとは
設計にかかわって何かと使いやすい、あるいは安くて性能がいいなどの特徴があって、よく使うトランジスタが限られてしまうことがあります。在庫を持つことを考えると、品種が少ない方が資材部では助かりますし、設計するにも素性が判っているので安心して使えるメリットがあります。
ハード的には
シリコントランジスタの時代ではやはり、2SC372がトップではないでしょうか?小信号に欠かせない石でした。頭にhfeのランクの頭文字が印字され、Orange(70〜140),Yellow(120〜240) などあり、この石よりさらにhfeが高いのが 2SC373 ランクとしてはGReen(200〜400) でした。。
上の写真では上側左から2番目で、シルクハットのようなつばがついた形状です。このトランジスタはfTが200MHzもあるので、オーディオからHF帯域までなら万能に使えました。昔の「ラジオの製作」や「子供の科学」などいろいろな回路に使われていました。2SC372のコンプリメンタリペア(特性がそろったPNPの石)は 2SA495 で、小信号のプッシュプル出力に使われました。このようなペアがちゃんとそろっているのも定番の石の条件ですね。
2SC372の第2世代が 2SC945でしょう(その右)同様に、現在では 2SC1815などが同じようにつかわれていますね。2SC945のペアが 2SA733 、2SC1815のペアが2SA1015ですね。
しかしながら 2SC1815の時代になると分業が進んでこの石自体は fT=80MHzとそう高周波では使われなくなりました。高周波用であまり定番ではないですが、左上はトリオのトランシーバーなどで使われた 50MHz 1W 出力出来る2SC614です。
FETでは定番は 2SK30でしょうね。(写真下側右端)オーディオ用に多く使われました。無線関係では MK10という 2SK19の前身の石がICOMのトランシーバーなどに使われましたね。2SK150は作動増幅入力用の2石が1つのチップで作られ、バランスがとりやすいペアになっている製品です。
ソフト的には
現在ではトランジスタもIC化され単品ではあまり使われなくなりました。オペアンプとなって便利に簡単に使えるようになり、定番の 4558など各社から出ているし、コンパチのピン配置なので使いやすいことも普及する原因となってますね。単電源で使う時は 358 コンパレーターなら 393 シリーズがいいかな?など、自分で使い慣れたトランジスタやOPアンプなどを持っておくと設計の使い回しや、回路設計のスピード化が図れますね。
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