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2011年11月 4日 (金)

最小化設計のはなし

最小化設計とは
 なにを最小にして回路設計するか、場合によっては変わりますが、コスト・部品点数・実装面積など制限されるものは多いので、今回は「まず定石にそって」そして最小にするには?を考えてみます。
ハード的には
 例としてアラームコントロール回路を例にとります。仕様は4つの入力を持ち、電圧が超過したのを検出してアラームを出力します。個々のアラームはLED表示すればよく、どれか1つのアラームが出ても接点出力がONにして外部機器に知らせます。
まず通常設計は、
A ) 電圧検出にコンパレーターを使います。ポピュラーな LM393M 東芝では TA75W393FU などがあり、よく使われている単電源の出力がオープンコレクタのコンパレーターICです。電圧がリファレンスより超過したら出力がHighになるよう設定電圧用の半固定抵抗の可変端子を−入力に、電圧入力を+入力に繋ぎます。コンパレーターはオープンコレクタなので、プルアップ抵抗で電圧を作成し、LEDは専用のトランジスターでドライブしてベースがHigh になると点灯するようにします。
B) アラーム出力は 4個入りの2入力OR CMOSゲートの 74HC32Fでアラームをまとめ、同様に接点出力のためのリレーを駆動するトランジスタのベースに接続します。
Hwsample_3
最小化ではなにを変更しましょうか?
A) アラームLEDドライブを省略できないか?
 LEDの電流をどのくらい設定するかにもよりますが、通常は 5mA もあれば大丈夫ですね。それをそのままコンパレーターでドライブできるかどうか、データーシートを見てみます。
出力Output Sink Currentは 16mA Typです。 min 6mAなので LEDだけなら最悪でもドライブできそうですね。しかしながら困ったことがあります。LEDをONするにはオープンコレクタでは ON時なので出力Low にするので、現在のアラーム出力レベルと逆になります。解決するには、コンパレーターの入力を逆にして接続し、動作を反転させます。
B) OR ゲートを省略できないか?
 ORゲートは他に使い道が無ければもう1回路余っているし、サイズ的にも大きいです。
C) リレーも大きいし小さく出来ないか?
 リレーも小型のものも増えてきましたが、寿命がある点と電流をけっこう消費するので、できれば使いたくない。出力が完全接点でないが、MOSリレーで問題なければ小型の AQY-212GSなどはどうでしょう?60Vで 1Aまで ON/OFFできますし、ON抵抗は平均0.34Ωです。電流も3mAで十分ONするので LEDとあわせても 動作時8mA程度なので、回路を簡略化できます。
Hwsamp2
 ORの代わりにダイオードでMOS-リレーを直接繋げました。どれかがアラームでLowになれば MOS-リレーはONします。
ソフト的には
 コンパレーターの出力電流がちょっと心配ですね。最小が6mAとなっていますので、LEDの電流を減らせればOKですが、減らせられない場合は MOSリレーだけPNPトランジスタを使ってエミッタを +5Vにベースを1kΩ程度の抵抗でダイオード接続点に。コレクタから電流が流れ出しますので、抵抗を繋げてMOSリレーに繋げGNDに落とします。


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