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2011年10月

2011年10月26日 (水)

プリスケーラーのはなし

プリスケーラーとは
[Pre-Scaler]で、前段においてスケール(ここでは周波数)を変換する装置のこと。最近では小さなICで出来ていたり、PLL-ICの中にくみ込まれて通常より高い周波数を入力できるようにするための分周器として使われる。
ハード的には
NEC-Renesas などは旧NECの製品で uPB150X の製品がラインナップされている。他に富士通やON-SEMI などにもあるが、おおむねGHz 帯から MHz帯に落とすために使われている。20111026_145605
 右図はuPB1509 の入力周波数特性だが、1/2 出力の動作時である。推奨入力動作周波数は 700MHzまでなので、出力は 350MHzまでとなる。これは内部回路の最高周波数制限が350MHz程度のためだと思われる。このICは 1/8も動作できるが、その場合は1GHzまで入力可能で、そのとき出力は125MHzとなる。実際はもうすこし上まで動作しそうだが、最大入力レベルと最小入力レベルが拮抗しているので、誤差範囲程度だろう。実際 1100MHzまで使ったことがあるが、-10℃から +40℃まで検査して問題なかった。
20111026_145334
 次は÷64,128,256 ができる uPB1506 1507ですが、これは最高周波数が 3GHzと衛星チューナーの局部発振周波数を余裕でこなします。÷64すれば 3GHz時でも47MHzと通常の処理周波数になりますので、最低でも5MHz程度ある比較的チャンネルステップの広い衛星周波数用途では問題ないでしょう。
ソフト的には
 ここで注意してほしい点は動作可能範囲には下限周波数もあることです。このICでは 500MHzとなっていますから出力は 8MHz程度なので、動作的には下限レベルが低域で上がってくるので、そのマージンを見て下限があるのだとおもいます。内部のカップリングコンデンサーなどの特性からかも知れません。 また、入力レベルには上限があるのも注意して下さい。このICでは +6dBm と規定されています。これは入力が大きくなると入力部分が飽和して歪んだり、信号の変化に追従できなるなるためで特に低い周波数で歪んで2倍の周波数を分周していたなんてトラブルも起きます。入力する回路が低域で思わぬ ゲインが大きくなっている場合がありますので、そんな場合はICの入力にダイオードリミッターなどをつけて保護するのも重要です。

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2011年10月25日 (火)

セミリジッドケーブルのはなし2

セミリジッドケーブルとは
 セミリジッドケーブルのはなしに書きましたが、その続編です。今回はケーブルの損失について考えてみます。Semircable 右図はセミリジッドケーブルの呼び名と、COAX社のシリーズ名との関連を含めた、代表的特性表です。良く呼ばれる UT-85はCOAXでは SC-219、UT-141では SC-358と呼ばれています。周波数に関しての損失については表は dB/30mですので、1mあたりでは1/30程度で考えます。内部結線によく使うUT-85 では、0.5GHzでは 0.45dB/m 程度なので、20℃上昇の許容電力は254Wと COAXのデーターシートに記載されています。
 これが、1GHzになると損失は 0.64dB/m となり、 許容電力は177Wになります。さらに 10GHzでは 2.21dB/m となり、許容電力は51Wにもなってしまいます。損失を抑えたい場合は、もうすこし太い UT141を使えば、1GHzでも0.37dB/m で 436W 、10GHzでも 1.36dB/m で 120Wと倍以上の電力を扱えます。しかしながら加工のことを考えると、UT-85で曲率半径3.2mm UT141で 6.4mmなので曲げる余裕をみてコネクタやモジュールの配置を決めないと、作ったがコネクタが繋がらない...なんてことが起きます。ちなみに絶縁電圧は UT85で 2.5kV、UT141で 5kVなので 50Ωならば 15kW程度は大丈夫ですね。


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2011年10月23日 (日)

北海道まで行ってきました

17日から19日まで、娘に貸していた愛車ストリームを取り返しに、北海道まで行ってきました。
現地は温度は8℃で、寒いと構えていっただけあって寒かったです。おまけに小雨続きで青空が恋しかった。北海道はすっかり紅葉の季節で、高速道路途中のPAで撮ったのがこれ。Imgp3816
 苫小牧まで高速で3時間ぐらいかな?フェリーが夜6時45分出発で、大洗に着くのが次の日の午後2時。それから常磐自動車道・首都高速・東名高速と、工事中でそれ以降が混雑した御殿場で降りて、十里木をまわって富士まで。思ったより早く夜8時前には着けました。
 で、次の日午後はさっそく出張.... で。今週は疲れました。

*フェリーから福島第一原発が見えるかと思いましたが、場所が分からず。(たぶん少し離れて航行した?)見えたのは福島火力発電所の煙突でした。携帯の電波がフェリーまで届かないので、iPhoneが役にたたずに、ゲームマシンになってしまってました。

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2011年10月14日 (金)

iOS5

iPhoneをiOS5にアップデート中です。
画面を見るとどんどんアプリが追加されレストアされているのが面白い。.....って iPadですでに経験していることですが、iPhoneで動いていると「iOS5になるんだなぁ」と感慨深いです。
昨日はiPhoneは確か 4.3.2などにアップグレードしたかと思いますが、今日iOS5が出ていたのか、それともiTunesがベーター版だったので検出できなかったのか、この数日で2回もアプリがフルレストアされます。
 ついでに、APPが多くなったので普段使わないゲームとかiBook関連をフォルダにまとめ、使うアプリだけを最初のページに持ってきたりして、久しぶりのアプリの整頓です。
 iOS5なので iPhone4Sにすべきか....はたまた LTE対応の iPhone5を待って Docomo に MNP するかが、悩ましいことですが、ちょっと考えましょう。3GSのキャッシュバックなどはなにか罠のように見えて心配なのです。遅いiPhone でアプリをチェックするにも 3GSは良いかなとも思ってしまう....

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2011年10月13日 (木)

積層セラミックコンデンサーのピエゾ効果のはなし

積層セラミックコンデンサーのピエゾ効果とは
 ピエゾ効果とは、セラミックブザーなどに使われている原理で、セラミック板の両側につけられた電極に交流信号をかけると振動して音声が出ること、EPSONのインクジェットプリンタのヘッドに用いられているインクをセラミック振動子の力で吹き出すなど、セラミックが電圧によって伸び縮みする動作を利用して実現されている。 積層セラミックコンデンサーも同じような構成なので、印加電圧によって振動して音を出すいわゆる「鳴き」の現象が現れる。特に液晶などのバックライト点灯に使う高電圧のインバーターなどのコンデンサーで数KHzの周波数で駆動した時に音がする現象などがよく現れた。
 鳴いているだけならばまだ良いが、それはコンデンサーが振動していることを示しているので、内部で振動による熱が発生したり、ハンダ付けした部分が振動で徐々にもろくなり、ハンダ付け不良になったりする。Ind_img03
 図はコンデンサーの振動と基板の変形を示しているが、ハンダ付け部分にストレスが加わるのがよくわかる。 京セラの資料によるとこのピエゾ効果(圧電現象)は
1、コンデンサには電気エネルギーを機械エネルギーに,又はその逆に変換する圧電現象を示すものがあります。
1-1. コンデンサに特定周波数の信号が印加されるとコンデンサの寸法で決まる固有振動数が共振してノイズや音が発生することがあります。
1-2. コンデンサに振動や衝撃を加えると,機械力が電気信号に変換されノイズの発生につながる場合があります。 (特に,アンプ部付近での使用には注意が必要です。)
とあり、振動とは逆に高感度の部分に使用した場合、コンデンサーへの振動が電気信号となり、それが増幅されてノイズとなる場合があることを示しています。昔、オーディオアンプのコンデンサーを糸で縛ったり、樹脂で固めたりした記事がありましたが、それらもこの対策ではないかと考えられます。
対策としては
1)コンデンサの誘電体材料を圧電現象のない(又は小さい)低損失のものとするか又は温度補償用 のコンデンサへ変更する。
2) コンデンサのサイズを変更する。
3)コンデンサの使用材料を圧電現象のない(又は小さい)低損失材料使用品又は温度補償用のコンデンサへ 変更する。
4)プリント配線板などの筐体との共振を抑えるためコンデンサの取付け方向を変えるか又はプ リント配線板などの筐体と接着剤でコンデンサを固定する。
など、高周波では2〜3個のコンデンサーに分割して、ロスを減らすなどの工夫が必要ですね。


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2011年10月12日 (水)

コンデンサーの容量変化のはなし

コンデンサーの容量変化とは
 コンデンサーは、電解コンデンサーなどは化学変化に依存しているので温度が低くなると容量が減ります。多かれ少なかれコンデンサーは温度による特性変化がありますが、比較的高温で使える積層セラミックコンデンサーにも、実は注意すべき容量変化があります。2_z3s
 それは直流印加電圧による容量の変化です。右図は6.3V定格のコンデンサーの印加電圧と容量値のグラフですが、アルミ電解コンデンサーやタンタルコンデンサーが印加電圧によってほとんど容量が変化しないのに比べ、セラミックコンデンサーはB特性でも4V時には20%、定格時には40%近く容量が減ってしまい、特にF特性では20%以下の容量になってしまいます。
小型大容量のセラミックコンデンサーは印加電圧に注意
 このため、セラミックコンデンサーを使う場所でどの程度の直流が印可されているかを確認しないと、「電解コンデンサーで動作していたから、セラミックコンデンサーに変えれば高温でも使えるし、ノイズも減るに違いない」と思って変えたら、不安定になったり、ノイズだらけで原因追及に苦労した。なんてことがありえます。
 かつて、小型積層セラミックコンデンサー1608型で 10uFだからと電解コンデンサーの代わりに電源ICの周辺に使おうとした時に、この問題に出くわしました。安定化した5V出力に付けるのだから6.3V品を使えば十分と思って使っても実は 1uF程度にしか容量がなかったのです。実験中では同じSMD型のセラミックコンデンサーを付けるには基板のスペースが無かったので、リード線のついた電解コンデンサーの10uFをこのコンデンサーと同じ場所に追加して安定したので、量産基板では同じ 10uFのセラミックコンデンサーをもう1個追加する設計に修正しましたが、まったく改善されずさらに変更を強いられました。この電圧による容量低下を知っていたら、もっと早く開発できましたね。

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2011年10月 6日 (木)

2011年

2011年は東日本大震災で多くの人々が亡くなっただけでなく、私にとっても重要な2人を失う年となった
それもここ1週間以内だった。
昨日5日は Apple 元CEO ステーブ/ジョブス氏
Steve
Apple Home
1955年生まれで私と同じ年。
Wozといっしょに AppleIIでパーソネルコンピューターを広め
再びAppleに戻ったときは NextStepという UnixでMACOSの基礎を固めた。
そして iMac ,iPod ,iPhone,iPad ..
あと10年、いや5年彼が生きたら、世界はさらに素晴らしいデバイスを得られたに違いない。
Appleに彼の魂が引き継がれますように.....

そしてもう1人は私の父。9月30日に83歳の天寿を全うした臨終の瞬間に立ち会うことが出来、不思議にこらえきれない悲しみには襲われなかった。胃がんの手術の後だったが、好きな日本酒を飲ませてやってから逝かせたかったのが心残り。


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