プリスケーラーのはなし
プリスケーラーとは
[Pre-Scaler]で、前段においてスケール(ここでは周波数)を変換する装置のこと。最近では小さなICで出来ていたり、PLL-ICの中にくみ込まれて通常より高い周波数を入力できるようにするための分周器として使われる。
ハード的には
NEC-Renesas などは旧NECの製品で uPB150X の製品がラインナップされている。他に富士通やON-SEMI などにもあるが、おおむねGHz 帯から MHz帯に落とすために使われている。
右図はuPB1509 の入力周波数特性だが、1/2 出力の動作時である。推奨入力動作周波数は 700MHzまでなので、出力は 350MHzまでとなる。これは内部回路の最高周波数制限が350MHz程度のためだと思われる。このICは 1/8も動作できるが、その場合は1GHzまで入力可能で、そのとき出力は125MHzとなる。実際はもうすこし上まで動作しそうだが、最大入力レベルと最小入力レベルが拮抗しているので、誤差範囲程度だろう。実際 1100MHzまで使ったことがあるが、-10℃から +40℃まで検査して問題なかった。
次は÷64,128,256 ができる uPB1506 1507ですが、これは最高周波数が 3GHzと衛星チューナーの局部発振周波数を余裕でこなします。÷64すれば 3GHz時でも47MHzと通常の処理周波数になりますので、最低でも5MHz程度ある比較的チャンネルステップの広い衛星周波数用途では問題ないでしょう。
ソフト的には
ここで注意してほしい点は動作可能範囲には下限周波数もあることです。このICでは 500MHzとなっていますから出力は 8MHz程度なので、動作的には下限レベルが低域で上がってくるので、そのマージンを見て下限があるのだとおもいます。内部のカップリングコンデンサーなどの特性からかも知れません。 また、入力レベルには上限があるのも注意して下さい。このICでは +6dBm と規定されています。これは入力が大きくなると入力部分が飽和して歪んだり、信号の変化に追従できなるなるためで特に低い周波数で歪んで2倍の周波数を分周していたなんてトラブルも起きます。入力する回路が低域で思わぬ ゲインが大きくなっている場合がありますので、そんな場合はICの入力にダイオードリミッターなどをつけて保護するのも重要です。
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