エミッタ接地アンプのシミュレーション
エミッタ接地アンプのシミュレーションとは
前回のエミッタ接地増幅器回路をシミュレーターで実験してみました。
ハード的には
動作が分かりやすいようにコレクタ電圧の波形で測定しました。
入力信号はサイン波で 25mVp-p 10kHzで、電源電圧は 15V です。トランジスタはシュミレーターデフォルトの 2N2222ですが、fT=250MHz , hfe= 50( @1mA) ,Pt = 500mW なので、中電力用で増幅用というよりはスイッチング用なのですが、まずはそのまま特性を見てみました。
図の緑色がこの回路での出力波形です。センターが 5V付近となり、信号の上側が少し潰れているようにみえます。やはり中電力用のトランジスタなので電流をもうすこし流さないと歪んでしまうようです。赤色の線は電流をもう少し増やした場合で、 R3= 56k ,R4= 4.7kです。負荷が 10kΩと軽い条件なので、出力波形は約 5Vp-p 、160倍ぐらいの増幅度です。
さてこの回路の周波数特性はどうでしょう。
赤色がこの回路の特性です。低域があまり良くありませんね。入出力のコンデンサーかと思って10倍にしてみましたが変化がありません。もしやと思ってエミッターに入っている C3 10µFを100µFに増やしたら紫の線のように低域が改善されました。この紫の特性はさらに高域も良くするためにコレクタ電流を流し、R1=330Ω ,R4=2.2kにした特性です。オーディオ用にはまだ低域が不満ですね。10Hzまで伸ばすにはカップリングの C1.C2は 47uFで良かったのですが、C3は4700µF必要となりました。インピーダンスが低い場所ではこのように大きなコンデンサーが必要です。試しにC3を削除してR1=47Ω,R4=560Ωとするとエミッターで負帰還がかかってゲインは10倍になりますがフラットな特性になります。固定ゲインで使いたい場合など、エミッターを抵抗だけにして低ゲインにて動作させる使い方もあります。
ソフト的には
トランジスタ1石であまりゲインを求めようとすると帯域が狭くなってしまいますので、2石を使って負帰還をかけ、増幅度を一定に設計したアンプがよく使われます。しかしながら1石でも高い電源電圧を使えますので最終段に使ったり、出力段の保護のためのバッファ的な役目や逆に 5VのICへのインターフェイスなどに使うなど、簡単な増幅に便利な回路です。
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コメント
質問をさせて下さい.
記事のシミュレータは何をお使いですか?
宜しければ教えて下さい.
(既出でしたらごめんなさい…)
投稿: | 2011年9月 4日 (日) 23時25分
シミュレーターは
SIMetrix/SIMPLIS というCQ出版社のスペシャルパック(¥15,000)を使っています。日本語の解説本つきなので始めるのに楽だったので、今では計算するより早いかなと思って使います。
http://www.amazon.co.jp/電子回路シミュレータSIMetrix-SIMPLISスペシャ―複雑なトランジスタ回路やスイッチング電源も高速解析-ツール活用シリーズ/dp/4789838315/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1315179078&sr=8-1
投稿: SUDOTECK | 2011年9月 5日 (月) 08時32分
ありがとうございました.
少々高いですが,解説本があるととっつきやすそうですね.
参考にさせて頂きます.
機会がありましたらシミュレータについて
いろいろな事例を取り上げて下さい.
投稿: | 2011年9月 6日 (火) 00時17分