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2011年8月31日 (水)

エミッタ接地増幅回路

エミッタ接地増幅回路とは
 トランジスタを使っての増幅回路の方式の1つで、トランジスタの各端子(エミッター・コレクター・ベース)を接地(交流的に)する回路別に3種類あるが、最もポピュラーな回路です。Emcomm
ハード的には
 右図のようにベースから入力してコレクタから出力する回路です。エミッターは直流的には 1kΩ でGNDに接続されていますが、ここに 10µFのコンデンサーがあるので、GNDに対して交流的にショート状態だと考えられます。
 エミッタ接地増幅回路の特徴の1つは、入力インピーダンスが低いことです。交流的にはほとんどベースエミッター間のダイオードとして電流が流ればONしますので、ダイオードのON抵抗が入力インピーダンスと同じになります。出力インピーダンスはコレクタ電流の値で変化しますが、低周波領域では負荷抵抗に大きく左右されますので、負荷や電源電圧に応じてコレクタの抵抗値を算出します。
 図の回路での各抵抗定数のバイアス条件から電圧を追ってみます。電源電圧を 15Vトしていますので、ベースの電位を r1と R2から計算すると Vb = 15V x R1/(R1+R2) = 15 x 12/(12+100) = 1.6V となります。ベース・エミッタ間(Vbe)を0.7Vとするとエミッタの電位は 1.6V -0.7V = 0.9V となります。エミッターには 1kΩが繋がっていますので、電流は 0.9V ÷ 1kΩ = 0.9mA 流れていることになります。この状態でコレクタ抵抗 R4は 10kΩなので 0.9mA 流れると 9V電圧降下があります。よってコレクタの電位は 15V - 9V = 6V となり、コレクター・エミッタ間の電圧は 6V - 0.9V = 5.1V 電流が 0.9mAなので、電力損失は 5.1V x 0.9mA = 4.6mW となります。仮にトランジスタが完全 ONした場合はコレクタエミッターのON電圧(Vce-sat)を0.3Vとして、抵抗分割で計算すると出力電位は (15V-0.3V) x 1kΩ/(1kΩ+10kΩ) + 0.3V = 1.63V 、OFFした場合は 15V なのでフルスイングは 13.3Vとなりますが、信号がない時に 6Vなので 上側には 15V-6V = 9V あるのに対し、下側には 6V- 1.63V = 4.37V となりますので、実質的には下側が早くクリップしますので、 4.37V x 2 = 8.74V p-p までスイングできることになります。
 増幅度はトランジスタの 電流増幅率( hfe )によって変わりますし、入力インピーダンスや出力インピーダンスとのマッチングによっても大きく変化しますが、10倍〜20倍程度は通常確保できます。
 エミッター接地回路の弱点は、トランジスターのコレクタ・ベース容量による性能劣化です。エミッター接地回路ではコレクターがベースと位相が反転していますので、この容量によって信号が負帰還のように戻り、高域での周波数特性が悪くなる「ミラー効果」なる現象が現れます。
ソフト的には
 出力スイングを大きくするにはエミッター電圧を下げるのも1つの方法ですが、あまり下げるといままでこのエミッター抵抗で直流的にかかっていた直流帰還が減ってしまいます。これはエミッターに抵抗があるためコレクターの電流が何かの原因で(温度や電源電圧の変動)増えた場合、エミッターの電位が上昇します。そうするとベース電位はほぼ固定されていますので、ベース・エミッター間の電圧が下がることになります。それによってベース電流が減り、コレクタ電流も減らされて元の値に戻るというものです。この効果がエミッタ抵抗が小さくなると働きにくくなります。高周波のアンプではエミッターを直接GNDに接続して放熱効果をあげていますので、そのような場合はベース電圧をうまく温度や電源電圧変動で補償してやる回路が必要です。


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