同期整流のはなし
同期整流とは
入力交流にあわせてMOS-FETなどでスイッチングして交流を直流に変換すること。
なぜ同期整流か?がよく分からなかったが、トランジスタ技術 08月号
の実験記事であらためて勉強になりました。
ハード的には
ダイオードブリッジでいいじゃん!と思うのですが、最近の電源効率化から考えるとそうでもないようです。例えば 1KW の電源があったとします。変換効率 100%と仮定しても入力 100Vでは 10A流れることになりますね。ダイオードブリッジではプラス側とマイナス側の2つのダイオードが通過しますので、ダイオードの順方向電圧を 0.7V としても2つで 1.4Vになります。これに 10A流れると 1.4V x 10A = 14W となり、結構な発熱になってしまいます。効率も 14W/(14W+1000W) = 1.4% とここだけで悪化してしまいます。
これを右図のように MOS-FETを使って入力の正のサイクルと負のサイクルに応じて交互にFETペアをスイッチングして、直流に整流することができます。(ゲートのコントロール回路は省略しました)仮に MOS-FETの ON抵抗を 10mΩ とすると、0.01Ω X 10A = 0.1V 0.1Vx2個x10A = 2W と 7分の1になり、発熱も問題無い値になります。
このように MOS-FETで大電流をスイッチングすることで、整流時のロスを下げて発熱の少ない高効率の電源を作れることになります。しかしながらMOS-FETを4個とドライブ回路やフォトカプラなど周辺部品が増えることから、効率の向上とコストを天秤にかけた検討が必要です。今後安価なドライブICなどが出てきてブリッジダイオードユニットのように使えると便利になるかも知れません。
ソフト的には
ハード的に同期したゲート制御パルスを出すICだけでなく、この分野にもCPUを使って制御する「デジタル電源」なるものが増えてきています。タイミングをずらしたり、電圧値を PWMで変えたりするのは簡単なので今後プログラミングで電圧を自由に変えられる電源なんかも出てきそうですね。
------------------------------------- 参考図書 ----------------------------------
トランジスタ技術 (Transistor Gijutsu) 2011年 08月号 [雑誌]
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