トラ技付録「コイルを使う人のためのお話」を読む
今月2011年5月号のトランジスタ技術はアナログ&パワー回路の特集ですが、付録の「コイルを使う人のためのお話」はなかなか良かったので、感心した部分を紹介したいと思う。
ハード的には
1)まずコイルのお話しだけで冊子にするのがすばらしい。著者はサガミエレク(株)の星野さんという方。現場の技術者のお話は大変参考になります。
2)コイルとインダクターの違いで、やっぱりコイルの方が広いという概念。電流を蓄える超伝導コイルもコイルだけどインダクターとは言わないですね...
3) 2−3章で書いてあるのがコイルの電流規格。
(1)電流を流して発熱し、破損する限界の電流 [温度上昇電流]と(2)インダクタンスの低下が大きくなる電流値[直流重畳電流]が区別されている点。コイル業界では(1)と(2)の小さい方を「定格電流」と呼ぶそうです。確かに多少インダクタンスが減っても電流を流したい分野もあるし、これは使用する時にどちらかよく分かっていないと「壊れないけど実はインダクタンスがガタ減り」なんてこともあるという話ですね。
4)巻き数とインダクタンスの規定値では 疑問が晴れました...
コイルの巻き数の2乗でインダクタンスが増えるので、仮に7Tで 3µH として、8Tでは3.9µH,9Tでは4.7µH 10Tでは 約6.2µHとなってしまい、中間の 5.6µHが1ターンずつの巻き方では出来ないそうです。
なんかインダクタンスが飛び飛びだなーって感じはあったけど理由が分かって納得しました。
中間のインダクタンスがほしい場合は空芯コイルで作るなら 稚拙のiOSソフト FilCalc に空芯コイル計算ソフトが入っていますので、是非お試し下さい。
5)あと2−10章でコイルを金属から遠ざけるとQ値が上がるという項目。Hi-Q品はコイルのボビンが基板接着面より上側という理由がここで解明されています。
6)5−2章では被覆をとらずに半田付け出来る電線もある..
これは知っていました。便利ですが、こてがコイル表面に触って溶ける危険もありますので、注意が必要です。
ソフト的には
今回のトラ技はアナログ回路情報が満載ですね。これで950円は安い。
最近トラ技シリーズをおいてない本屋が増えて悲しいです。最近は東京に行くたびに秋葉原は中古店か本屋に通ってます。けっこう本は高いけど...
| 固定リンク
「アナログ」カテゴリの記事
- MIDAS Venice Mixerの修理(電源編)(2024.12.05)
- MIDAS Venice Mixerの修理(2024.12.04)
- 真空管のはなし(2024.05.21)
- パワーアンプ RAMSA WP-1200A の修理(2023.08.06)
- BOSE Power AMP 1701 の修理の話(2023.07.15)
コメント