TRでGateのはなし2
TRでGateとは
一般のゲートICなどで流せない電流( 100mA出力など)やリレー駆動などの高い電圧の電流引き込み等には、トランジスタのディスクリート回路で設計しますが、2つの信号系でコントロールするため2入力が必要な場合、簡単な回路追加で2入力のゲートICをわざわざ別に用意しなくても対応できます。今回はそんな回路を考えます。
ハード的には
右図一番上はトランジスタ1石の動作です。1石ではベース入力とコレクタ出力の電圧関係は反転しますので、インバーターとして使えます。このとき電源は +5Vでも良いですが、トランジスターの耐圧が許せばもっと高い電圧をON/OFFすることができます。しかしながら、電流出力を考えるとコレクタのプルアップ抵抗で電流によっての電圧降下が決まってしまいますので、1kΩを使った場合1mAで1Vも電圧が落ちてしまいます。しかしながら電流引き込みにはトランジスタのコレクタ電流の許容値近くまで流すことができますので、リレーやLEDなどの電流引き込み側に使うには有効です。
電流出力がほしい場合は、PNPトランジスタ( 2SA,2SBの型番)を使って電源からの電流をON/OFFさせます。このPNPトランジスタのベースをGNDに引き込むようにドライブすることによって、電流を流すようコントロール出来ます。しかしながら今度は反対に電流を引き込むことはGNDに繋がる1kΩの抵抗によりますので、多くの電流を引き込むことは出来ませんので、主に電流出力に使います。小型アンプの電源供給やFETのドレン電圧のON/OFFなどに使います。出力する電圧も電源電圧を上げることによって対応できますので、高い電圧のON/OFFに有効な回路です。注意点としてコントロールするトランジスタのコレクタ電圧の最大定格を越えないように電源電圧に応じてトランジスタを選定することが重要です。電流を流すとどうしてもトランジスタのVceの0.3V程度はドロップします。電圧降下が無視できない場合は低ON抵抗の 2SJ型のMOS-FETを使うと電圧降下を防ぐことが出来ます。
2入力にするにはどうするかというと、ANDの場合はコントロールトランジスのC-Eを直列にします。直列にすることによって2つともONしないと電流が流れず、出力されませんのでAND回路になります。
またORにする場合はトランジスタのC-Eを並列にします、どれか1つのトランジスタがONすれば電流が流れ、出力されます。
ソフト的には
それでは3入力ANDは....というと3つトランジスタを直列にすれば良いですが、あまり直列の数を増やしますと上側のトランジスタのONするベース電圧が他のVceの影響を受けてその分高くしないとONしなくなりますので、注意が必要です。ORはたくさん並列に繋げてもOKですが、どのトランジスタがONしてるかベース電圧を見ないと判別できなくなります。この回路をドライブする側がCMOSでしたら、余り問題はありませんので簡単で便利な回路です。
| 固定リンク
「アナログ」カテゴリの記事
- 真空管のはなし(2024.05.21)
- パワーアンプ RAMSA WP-1200A の修理(2023.08.06)
- BOSE Power AMP 1701 の修理の話(2023.07.15)
- BOSE 802-E ACTIVE EQUALIZER のはなし(2023.01.01)
- 大型 7セグ LEDの表示のはなし(2022.12.29)
コメント