リレードライブを考える
リレードライブとは
通常の基板上で扱う電流は1Aから10A程度が最大で、MOS-FETなどでスイッチしますが、相手が交流電源 で数10Aを制御しようとする場合、リレーを使うしかないと思います。リレーにはソリッドステートリレーなる半導体を使ったものがあり、入力端子に5V(数mA)かけるだけで制御できますので大変便利ですが、基板上に実装するには大きすぎる点・価格的に高価なので、機械式リレーがまだ良く使われます。
その機械式リレーを使う場合のドライブについて考えます。
ハード的には
図はPanasonic電工のJMリレーですが、接点は250V-20Aの規格で、突入電流80Aが可能です。このリレーをドライブする場合を考えます。
まず、コイル電圧ですが、DC5V,6V,9V,12V,24V,48Vと豊富で、12V電源が使える場合はコイル電流が 75mAなので比較的簡単ですが、デジタル電源+5Vと共用する場合は、+5Vのほうが便利です、この場合コイル電流が 180mAとなります。このリレーをドライブする場合トランジスタはこの電流の2倍以上の余裕があるのが望ましいと考えます。 2SC1815などのポピュラーなトランジスタはコレクタ電流150mA MAX なので、もうすこし電流の流せるトランジスタを探すと、東芝の2SC2120が秋月電子で見つかりました。20個で200円です。このトランジスタはコレクタ電流 800mA MAXなので十分使えます。またコレクタ・エミッタ間電圧が 30Vなので、24V電源ではちょっときついけれども、12Vでリレーを作動させたい場合でも使えそうです。
この場合、トランジスタの電流増幅率(hfe)はデーターシートから 700mA流した時でも 35となります。この点からリレーの電流 180mA 流すのに必要なベース電流は 180mA÷ 35 =5mAとなります。
そしてこのトランジスタをCMOSロジックでドライブする場合はON時 5Vなので、ベースの抵抗値は、ベースエミッタ電圧を0.7Vとすると、 (5V-0.7V)÷ 5mA = 0.86kΩとなります。実際は余裕を見て 820Ωか 680Ω程度にしておく方がよいと考えます。
また、逆起電力のはなしも書きましたが、リレーのコイルの逆起電力によるトランジスタ破壊を防ぐためにリレーのコイルの両端に逆バイアス接続で 整流用の1A 程度流せる保護ダイオードを追加します。
さらにリレーがON時には200mA近い電流が流れますので、基板上にリレーを実装する場合、配線長などによっては電圧降下が生じ、トラブルが起こる場合があります。このように瞬間的に電流が増えるような部品の近くにはコンデンサーを設けて、サージ電流供給させます。この場合 10µFから 100µF程度の電解コンデンサーを入れておきます。
ソフト的には
基板上のパターンでは1mm 1A と言われ、10Aでは 10mm程度の幅のパターンで引きます。交流電源の場合さらに2次回路との絶縁距離をとる必要があるので、交流電源をスイッチするにはリレーへの配線をのばしますが、コネクタ・線材が増えます。上図のようなタブ端子が出たリレーを使うと基板上に実装できるので便利ではないかと思います。
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