インピーダンスのはなし
インピーダンスとは
[impedance]で交流に対する抵抗のことを指します。通常直流ではコンデンサーは電流が流れない(抵抗値無限大)、コイルは電流最大(抵抗値ゼロ)ですが、交流信号ではそれぞれ周波数に応じて変化します。
今回は周波数でどのくらいのインピーダンスになるのか見てみます。
ハード的には
まずコンデンサーですが、理論式でインピーダンスは
Zc = 1/( 2πf C ) で周波数に反比例してインピーダンスが下がっていきます。
実際はコンデンサーの周波数特性はリード線や半田端子のインダクタンスの影響で、高い周波数では逆にインピーダンスが上がってきますが、それ以下の周波数ではおおむね比例しています。デジタル回路のICの電源近くにつけるデカップリングコンデンサーの例で 0.1µFなどでは、1MHz で 1.6Ωで、それ以上の10MHz越えの周波数では十分な特性が得られますが、1KHz程度のアナログ音声回路でデカップリングしようとすると、1KHzでは 1.6KΩとかなり高いインピーダンスとなってしまうことが判ります。そんな場合は1000倍の100µF程度を使えば 1.6Ω程度になりますから、大丈夫と考えます。 これはコンデンサーの周波数特性だけでなく、容量値によるインピーダンスの問題ですので注意が必要です。
次にコイルですが、インピーダンスは ZL = 2πf L で周波数に比例して大きくなります。高い周波数ではコイルの巻き線間の浮遊容量でコンデンサー成分が主流になり、インピーダンスが下がっていきます。
コイルは主に交流信号を阻止する使用法が高周波では多いので、そのような使い方ではインピーダンスが高い(50Ωよりかなり大きい)周波数で使います。1µHでは数十MHz以上で使われ 10nHでは数GHz以上での高周波阻止に使われます。どのくらいのインダクタンスの値がインピーダンス的に50Ωかをだいたい理解しておくと、実験などのインダクター選択に便利です。
ソフト的には
インピーダンスを理解することは基本ですが、コンデンサーには直列の残留インダクタンス、コイルには浮遊容量等に加えて両者とも内部損失を起こす抵抗成分があることを覚えておいて下さい。計算上十分低いインピーダンス値のコンデンサーを使うので損失はないと思って、パワーアンプの出力などに使うと内部の抵抗による損失で想わぬ発熱をしている場合があります。インダクタンスも細い線で巻いたコイルは巻き線の抵抗成分で発熱してインダクタンス成分が落ちたり、直流電流重畳によるインダクタンス低下の影響も出ますので、余裕のある設計が重要です。
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