UHF発振器のはなし
UHF発振器とは
UHF(300MHz 〜 3GHz )の周波数の発振器ですが、今回昔ジャンクで買った古い テレビ用 UHFコンバーターを見つけたので、その内部のUHF発振部分をチェックしてみたいと思います。
ハード的には
そのUHFチュナーとは以下のものです。
下側の金属が重なった部分がバリコン(バリアブル・コンデンサーの略)ですが、これがシールドケースで全体で3つの部分に分かれていますが、このいちばん右側の部分が発振部と思われますので、部品の配置や抵抗値をチェックして、実体配線図と、回路図を起こしてみました。
中央の白い薬の錠剤みたいなものはトランジスタで、昔の高周波用のものはこの形が結構使われました。そのコレクタ(C)からディスクコンデンサー(茶色に半田がもってあるもの)の反対側が共振用の金属片に繋がっています。コレクタはまたチョークコイルを介してVccにも繋がっています。
エミッター(E)からは1kΩでグランドへ、ベース(B)からは同じくディスクコンデンサーでGNDに繋がり、GNDへは1.8kΩ抵の抵抗で、Vccへは 5.6kΩの抵抗でバイアスがかけられています。
発振回路としては通常エミッターからコレクタへの帰還コンデンサー(回路図上の黄色のC)が必要ですが、見あたりません。よーくみてみると、エミッターと抵抗との半田付けが玉のようになってかなり大きいのがわかります。この半田と、コレクタのディスクコンデンサーの半田面との空間容量で帰還コンデンサーを形成しているようです。
このチュナーの発振部は500MHz〜800MHz付近を発振していると思われますが、内部をキャビティのように共振させてシールドケースに穴をあけた部分で結合していると思われます。周波数を変化させるバリコンは三日月型で、周波数に対して直線的に変化するよう工夫されていますが、今ではほとんど見られなくなりました。バリコンの上側に銅板が半田されていますが、これはバリコンとGNDで容量を作って容量値を調整するトリマーコンデンサーの役目をしています。
ソフト的には
中央と右側を通して透明なチューブの中にダイオードが入っています。この右側のリード線が長めになってシールド板に半田づけされ、左側でも長めに半田付けされ、出力端子に繋がるコイルに接続されています。右側で発振電力をカップリングして、左側の入力信号とダイオードの非直線領域を使ってミキサーとして機能しています。いちばん左側は入力部ですが、アンプはなく300Ωにマッチングしたコネクタだけのようです。ちょっとあまりにも古いので映像IF出力するものか、VHFにダウンコンバートするものか不明ですが、RFアンプが無い点から後者ではないかと思われます。
実はこのバリコンに興味があって 144 or 435MHzのプリセレクタができないかと思って買っておいた物ですが、使われずに眠っていました...
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