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2011年1月14日 (金)

電流の遅れ・進みを考える

電流の遅れ・進みとはCl
 交流を加えた時、コンデンサーは電流が90°進み、コイルは90°遅れるとよく言われます。電流が遅れるのは何となく分かりますが、「進む」とはどういうことでしょう?交流で電圧がゼロから徐々に上がろうとしている時、もう電流が最大値になっているなんてすごい予測だ?って疑問をしミュレーションソフトを使って検討してみました。
ハード的には
 右図のように、信号源に抵抗を通してCとLをGNDにつなぎ、コンデンサー・コイルに流れる電流と両端の電圧を測ってみました。 まずは下図のように信号源を矩形波(赤色)で駆動すると0Vから1Vに立ち上がった時にコンデンサーには電流が当然立ち上がって最大になりますが、コンデンサーの両端の電圧(緑色)は周波数にもよりますが1V->0Vの時で、90°ずれているとは見えません。
Sqe_c_2
 次に信号源を三角波に変えてみました。これならばサイン波に近いので分かりやすいのではと期待しました。(下図)
 信号源の電圧(赤)と、コンデンサーに流れる電流(青)はほぼ同じ形をしていますが、コンデンサー両端の電圧(緑)は高調波がとれるのかすこし丸くなって、三角波の上下の中間地点がほぼピークとなっています。これがだいたい90°電圧が遅れている状態ではないかと考えました。
Sq_c
 次に正式な正弦波を入れた波形を観測します。加えた電圧よりも電流がすこしずれています。
これが電流が進む現象か?と思い、周波数を上げてみましたが変化ありませんでした。
Sin_c_2
 次に周波数を下げてみると、なんと電流がきれいに90°進んでいました。

Sin_c_3
 同様にコイルに正弦波を流した場合。電流が90°遅れるのが分かります。

Sin_l
ソフト的には
 結局、シミュレーションでコンデンサーの電流の進み、コイルの遅れは実験できたのですが、いまいち感覚的に分かりません。ただ、「電流が進む」という概念は電圧を中心にした場合で、実際は「コンデンサーに電流が流れその電流値に応じて電圧が発生する」と考えれば、空のコンデンサーに充電するのに最初は電流が多く必要で、そのときは両端の電圧は小さい。充電するにしたがって電圧が上がってゆき、電流が少なくなる。とイメージした方が分かりやすいかと思います。
 コイルの場合は逆で電圧をかけてもインダクタンスが邪魔をしてはじめはなかなか電流が流れず、逆に電圧を下げても磁場を維持しようとしていままでの電流方向に長そうと邪魔をする...
 という感じでしょうか。実際はsinとcos の関係の式で解明されると思われます。

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