ポテンショメーターのはなし
ポテンショメーターとは
可変抵抗器のことですが、今回はトリマーポテンショメーター(半固定抵抗)について書いてみます。
オーディオアンプなどにある音量ボリュームなどと違って、トリーマーは基板上に設置され、バイアス電圧やアラームのリミットなど出荷前に調整する役割がほとんどです。
ハード的には
通常トリマーの両端には右図のように抵抗を入れて、調整時に不用意な状態にならないようにしてあります。その理由として...
1)通常トリーマーは抵抗誤差が10%〜20%あり、調整後の環境変化・時間経過によって数%ずれる可能性があることから、可変範囲を分圧して誤差を少なくする。
2)定格電力が 100mW 程度と小さいことから全電圧をかけずに分圧して電力を減らす。
3)設計時に設定した値と実際に調整したのちに値が違って可変範囲が変わってしまった場合にも、両側の抵抗の変更だけで対応できる。
などの理由があげられます。
具体的に右図で設計してみましょう。CASE1
・まず予想されるトリーマーの中間電圧を求めます。この場合定電圧ダイオードの電圧5.8Vを基準としてトランジスタ2SC372のベース・エミッタ電圧 0.7Vを加えて 6.5Vと予想します。
・次に使用するトリマーの抵抗値の選定ですが、さして高いインピーダンスの場所でもなく、可変端子からトランジスタのベース電流を流しますので、低めの 1kΩ程度を選択します。
・同様に出力9V側の抵抗を 1kΩ として計算してみます。(よく使う値を選んだだけですが..)
・9Vと6.5Vの電位差は 2.5Vでこの間の抵抗が 1kΩ とトリマーの半分 1kΩ/2 で 1.5kΩとすると、電流は 1.7mAと計算できます。
・そして下側のR2はトリマーの0.5kΩとの和で 6.5Vですから 6.5v/1.7mA =3.8kΩとなりますので、トリマー分を引いて 3.8kΩ -0.5kΩ = 3.3kΩ となります。
電流1.7mAからトリマーの可変範囲は 1.7mA x 0.5kΩ =0.8Vとなり6.5V±0.8V可変出来るという計算です。
次に実験から可変範囲を設定し、その後抵抗を計算する方法。CASE2
・まず両端の抵抗は0Ωにしておき(100Ωでもかまわないが、確実に設定範囲になるはずと思えるようにしておく)トリマーは上記選定で 1kΩとしておく。
・実験から 6.5Vが最適と決定し、調整範囲の余裕として±0.5Vとして設計を開始する。
・トリマーの両端は上記理由から 7.0V と 6.0V とする。
・トリマーの片側は 0.5Vなので流す電流は 0.5kΩ/0.5v = 1mA となります。9V出力側の抵抗は 9V-7V = 2V なので 2V / 1mA = 2kΩ となり、下側は 6V /1mA = 6kΩ となります。
ソフト的には
回路がオペアンプのバイアスなど電流がほとんど無い場合にはもっと高い抵抗値に、またGaAs-FETなどのゲートバイアスなどインピーダンスを下げたい場合は 100Ωや 500Ωなどの小さな値を選択しましょう。
またNETで調べているうちに、Panasonicの資料では摺動側に+をかけるのを推奨されているのをはじめて見ました。
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コメント
アルプス電気のVRに関する[関連情報]にもありました、です。
http://www.alps.com/WebObjects/catalog.woa/J/HTML/Potentiometer/RotaryPotentiometers/RK09L/RK09L_common.html
[直流電圧の使用について] で マイグレーションの注意も有りましたが、
(旧タイプのエアバリコンで先輩に注意を受けた事が有りますが)
VRで発生しないと思います。
念の入れよう(責任回避?)に頭が下がります。
投稿: Maeda | 2011年1月23日 (日) 22時23分
コメントありがとうございます。
確かに念の入れすぎでしょうかね。
この引用した説明図では両端に抵抗が入っていないので、摺動子を動かして抵抗値が限りなく0Ωに近くなった時に、電流が流れすぎて抵抗体が燃える恐れがありますよね。昔こうやって、トリマーを燃やしてしまったことがありました。でも、陽極酸化などは経験したことはなかったですね...
投稿: SUDOTECK | 2011年1月23日 (日) 22時40分