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2011年1月12日 (水)

FETのはなし

FETとは
[Field Effect Transister ]で、電界効果型トランジスタと呼ばれます。通常のトランジスタをバイポーラトランジスタと呼ぶのは電気の伝送に多数キャリア(電子)と少数キャリア(正孔)の2つが作用するのに対して、FETはどちらかのみなので、ユニポーラトランジスタと呼ばれています。
ハード的には
Fet_hanasi 構造的に3つの種類に分類されますが、まず開発された頃からあるJ-FET (ジャンクションFET)ですが、ベースとなるP型基板上にN型半導体を作りソース・ドレインを電極で取り出します。そのN型半導体にP型を接合(融合)させゲート電極をつけます。ゲートとソース・ドレインとは PN接合で、ダイオードのように作用しますが、逆バイアスをかけると電流の流れない「空乏層」が生まれます。この空乏層をコントロールしてドレイン・ソース間の電流を制御できます。
 次にMES-FET( Metal Semiconductor FET )ですが、ダイオードにもあるショットキー接触を利用した高速なFETです。ジャンクションFETではコントロールにPN接合があるので、速度の遅い正孔も制御に関与するのに対し、MES-FETは電子だけなので高い周波数まで使用できるようになりました。
 次のHEMT( High Electron Mobility Transister)はMES-FETの仲間ですが、動作原理は全く異なっています。ゲートにマイナス電圧をかけると不純物のないGaAs層に空乏層が出来ますが、そこにN+GaAlAs層から電子が供給され、薄い電子ガスの層が発生されます。この電子ガスの中を電子が邪魔者がない空間として高速で伝送できるのです。最近では GaN半導体で HEMTが多種実用化されています。
 MOS-FET( Metal Oxide Semiconductor FET)は酸化金属膜でゲートが絶縁されたFETです。パワートランジスタとしてインバーターなどの制御だけでなく、CMOSトランジスタとしてCPUや各種LSIに使われています。
ソフト的には
FETにはゲート電圧を逆バイアスで使い、バイアスがないときは電流が流れる「ディプリーションモード」専用のJ-FETなどがありますが、MOS-FETなどバイアスをかけない時に電流が流れないで、電圧をかけて電流を増やす「エンハンスメントモード」や、両方のモードが可能なものがあります。最近ではパワー用途にノーマリーOFFのGaN-HEMTも製作されてきました。


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