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2010年12月21日 (火)

RF IP を考える

RF IP とは
[Radio Frequency Intercept Point ]高周波妨害点?で受信機の評価などで使われる指標です。IIP3というと入力3次歪み[Input IP 3rd]で OIP3では出力3次歪み[Output IP 3rd ]の略で、3次歪みレベルと希望波レベルが同じになるレベルをさします。
ハード的には
Rfip図は受信部のブロック図です。入力部のBPFによってある程度妨害波(f2)を減衰することが出来ますが、入力でのフィルタは単一周波数・バンドの無線機はヘリカルフィルタなどで比較的狭い帯域で減衰特性も良いですが、帯域外であっても移動無線機などは近くの放送局や移動局などによって希望する信号よりも妨害波の方がかなり大きいことがあります。妨害波の除去が十分でないと次段のアンプは妨害波の方を主として増幅してしまい、通常希望波だけならば歪み無く増幅できるレベルを大きく超えてしまうことになります。仮に出力レベル +10dBm可能なアンプでも妨害波と希望波を同じレベルで増幅する場合は、2つの信号あわせてトータル出力+10dBmなので、各々では +7dBmずつになってしまいます。この現象はいままで普通に受信できていたのに、妨害波が来た瞬間アンプが飽和してしまい受信レベルが落ちる(感度抑圧)される現象として現れます。
 このような現象を防ぐには、アンテナ直後のフィルタを強化する事も必要ですが、同じバンド内信号には効果ありませんので、受信機のIPを上げるしかありません。これはAMPのIPを上げることだけでなく、その次のミキサーのIPも上げないとミキサーで歪みや感度抑圧が出てしまいます。そのためにAMP段やミキサーをプッシュプルにしたり(プッシュプル回路自体で2次歪みを改善します)、FETをパラレルにしたりして最大出力電力の向上をします。またミキサーでの歪みを防ぐには、逆に前段のAMPでの増幅度を多く取らないことも有効ですので、スイッチでRFAMPをスルーにしたり、はじめからRFアンプを付けない無線機も見受けられます。最近では高IPのダブルバランスドミキサーなどを使っていますが、高IPには十分なLocalドライブが必要なので、アンテナへのLocal漏れなどの対策も必要になっています。
ソフト的には
 昔アマチュア無線機で初段に優れたヘリカルフィルターを入れたものが開発され、そのIP特性の良さなど評判になりましたが、使った感じでは感度がいまいちでした。確かに都会で多くのノイズ環境の中では優れた性能だったかかも知れませんが、私の住んでいる田舎では出ている局そのものが少なく、混変調特性よりも感度があった方が良かったのかも知れません。切れのよいヘリカルフィルターはどうしても通過帯域でのロスが増えてしまうので、そのへんもネックだったのかと思います。

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