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2010年12月16日 (木)

周波数逓倍回路を考える

周波数逓倍回路とは
 基本周波数から数倍の周波数を生成する回路のことですが、PLL等と違って簡単な回路でノイズの少ない信号が生成できます。基本周波数を三田電波のTCXOなどで任意に設定することによって、その数倍の周波数が生成できますので、単一固定周波数のみで問題ない場合は便利です。しかしながら効率よく周波数を逓倍するにはどのような工夫が必要でしょうか?
ハード的には
Teibai2TCXOなどの発振器はそれ自体±1V程度の出力を持っていますので、右図のように普通のICアンプなどに入力すればアンプは飽和状態になって高調波が発生しやすくなります。それをさらにショットキーバリアダイオードに入れてクリップさせて歪ませることで基本波を抑圧し、高調波をさらに大きくすることが出来ます。しかしながらこの回路では、アンプの主たるパワーの成分はf0の基本波であって、それ以上のレベルの高調波を得ることは出来ません。
 その問題を解消したのが下側の回路です。TCXOの出力をまずショットキーバリアダイオードに加え、高調波を発生させます。最近のTCXOはクロック用途のものでははじめから矩形波出力のものも多く、出力レベルも5Vp-p程度得られますので、このような使用方法にはもってこいです。次にこの信号を直接アンプに入れても良いですが、それでは効率改善になりません。このアンプ入力に直列共振のBPF回路を入れます。精密なBPFが使えればもっと良いですが、ダイオードで歪ませたポイントはインピーダンスが必ずしも50Ωとはならないので、フィルタはカットアンドトライが必要になります。このフィルタで基本波を下げ、希望の高調波を相対的に大きく出来れば、アンプの主たるパワーを希望波で使うことが出来ます。その後はヘリカルフィルター等で増幅できますので、アンプのゲインやP1dBなどとフィルタのロスを考えれば、ほぼリニア設計時と同じ要領で設計できます。
ソフト的には
素数倍するには逓倍回路とHPFを組み合わせて何段か増幅するしかありませんが、2倍・3倍を組み合わせて生成できる場合は段間にBPFを入れて効率よく逓倍することが出来ますので、基本波を計算する時に良く考慮する必要があります。


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