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2010年12月25日 (土)

バイアスのはなし

バイアスとは
トランジスターのコレクタ電流を規定値に設定して動作点を決めるためのベースに電流を流すこと。
「バイアスが深い」「バイアスが浅い」など、コレクタ電流が多い・少ないことを指してベースのバイアス設定を言うことがある。
ハード的には
Tr_bias_2 小信号回路では主に2つのバイアス回路が見られます。右図上は自己バイアス回路です。計算としては、トランジスタのコレクタ電流を 1mAとすると、コレクタ電圧を1/2の 5Vと設計したい場合に、コレクタと電源10Vの間の抵抗は 5KΩとなります。 10V-5V = 5V , 5V÷0.001A = 5000Ω  トランジスタの電流増幅率を 100 とするとベースには 0.01mA 流す必要があるので、コレクタとベースの電圧差は 5V -0.7V( Vbe) = 4.3V
4.3V ÷ 0.00001A = 430kΩ となります。
 この回路は欠点としてトランジスタの電流増幅率が違うとコレクタ電流も変わってしまう点ですが、コレクタから帰還抵抗としてバイアスされますので、一度決めた電流値に設定しておけば仮に電流が増えた場合、コレクター電源間の抵抗の電圧降下が増えてコレクタ電圧が下がり、バイアスする電圧が下がりますのでベース電流が減り、結果としてコレクタ電流を下げて元の電流に戻す働きをします。ですからわりと簡単な回路で使えるので、よく見られます。
 次の中央の回路は固定バイアス回路ですが、エミッターグランド間に抵抗が入っていてこの抵抗で電流帰還をしています。計算方法は同じくコレクタ電流 1mA としてエミッタ抵抗 1kΩ、コレクタ電圧 6V と設定すると、コレクタ電源間の抵抗は 10V - 6V = 4V 、4V ÷0.001A = 4kΩ 、エミッタ電圧は 1kΩ × 1mA = 1V 、ベース電圧は 1V +0.7V(Vbe) = 1.7V となります。ベースGND間抵抗を 18KΩとすると
1.7V÷ 18kΩ ≒ 0.1mA 電源とベース間抵抗は 10V-1.8V = 8.2V 8.2V ÷ 0.1mA = 82kΩ となります。ベース電流ははじめの計算でも電流増幅率 100 とすれば 0.01mAなので、ベースの抵抗計算にはほとんど影響ありません。 この回路もエミッター抵抗の役割で、コレクタに電流が流れすぎますとエミッター抵抗の電圧降下でエミッター電圧が上がり、ベースの電圧は固定なので結果 ベースエミッター間電圧が下がる事になります。それでベース電流が減り、コレクタ電流が元に戻るというわけです。 しかしながら高周波の出力トランジスタなどはエミッターがシャシーに直接留めて放熱するする場合が多く、エミッターに抵抗など入れられない場合が多いです。ベースにかかる電圧を一定にしても温度変化などでトランジスターの電流は変化しますので、トランジスターの温度特性に合わせたバイアス電圧を作らないといけません。図の下側はダイオードでトランジスターのVbeと同じような温度特性を作りトランジスターの温度変化を補償する回路です。
ソフト的には
 正負の電圧の違いなどはありますが、FETなども同様の考えでサーミスター抵抗などを使ってバイアス電圧の補償をします。最近では温度変化に対してBIASコントローラーICなども多種出てきましたので、デジタル的に温度補償することが出来ます。

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