コンデンサーの周波数特性のシミュレーション
コンデンサーの周波数特性とは
理想的なコンデンサーだったら、 Z = 1/(2πf C) で周波数が高くなるにつれて下がっていくもので、高い周波数ほど抵抗値が低いはずですね。しかしながら実際のコンデンサーは、リード付きではリードと本体内の電極までの線のインダクタンス、SMDタイプのものでも半田端子自身や内部電極のインダクタンスで、等価回路的にはコンデンサーとインダクタンスが直列になっているものと考えられます。
今回は S-NAP Microwave Suite(ver6)の評価版でこれを簡単にシミュレーションしてみます。
ハード的には
右図のように入出力を50Ωのインピーダンスで測定してコンデンサーとインダクタンスを直列にしたものをGND間に入れて、通過特性(S21)を見てみます。
ここではほとんどインダクタンスが無視できる 0.01nHを入れ、コンデンサーの値は 100pFとします。
測定周波数は 0.05GHz(50MHz)から 5GHzまで見てみます。 この結果からはおおむね周波数に従ってインピーダンスが下がっていくので、伝送特性は右下がりですが、3.5GHzあたりに直列共振のディップが出ています。それ以降はだんだんインピーダンスが上がっていくのが判ります。
次にインダクタンスを 0.1nH にしたシミュレーションですが、こんどは1GHzちょっと上にディップが下がってきました。この特性はTDKの0603セラミックコンデンサーの周波数特性と結構近い値になっていますが、わずか0.1nHというインダクタンスがこのような高い周波数ではおおきな影響を示すことが判ります。
さらにインダクタンスを 1nHにした結果を見ますと、ディップ周波数は350MHzとなっています。ビアのはなしでも書いたように0.4mφのビアでも 1.2nH程度になってしまいますので、ビア1つで裏面にGNDしようとしても、1GHz付近では結構なインピーダンス増加になることがわかります。1GHz越えではビアより直近パターンで繋ぐほうが良いでしょう。もちろんGNDインピーダンスを下げるビアはそれとして重要です。
ソフト的には
S-NAP Microwave Suiteは評価版でも結構な素子が使えますし、結果が分かりやすく、使い慣れると便利です。ちょっとした現象もシミュレーションするとよく分かることが多いですね。
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