パッドのはなし
パッドとは
一般的に[PAD]とは便箋・メモ帳とか埋め込み板とかに訳されますが、今回はプリント基板の部品を半田付けするパターンの電極部分のことを指します。挿入部品ばかりだった一昔前と違って、現在はSMD表面実装部品が普通になり、半田付けをどのように確実に、信頼性が高く出来るかが問題になっています。
ハード的には
SMD部品の半田付けにはフロー(Flow)とリフロー(Reflow)があり、前者は接着剤を使って部品を固定し(図では部品の中央両側に見える赤いもの)、半田槽に基板を下向きにして入れて半田付けする方法で、後者は半田をクリーム状にして基板上に印刷し、部品を載せて(接着剤無し)上側からはんだが溶ける200〜220℃ぐらいまで数秒間暖めて半田を溶かし接着する方法です。したがって半田の量が豊富なフロー半田に比べ、リフロー時はのせた半田がいかに効率よく(必要最小限の半田量がコスト、信頼性につながる)広がって付くのかが問題になりますので、図のようにフロー半田に比べてパッドの(正確にはレジストをかけない部分)面積が小さくなっています。
逆にフロー半田では隣り合った各部品のパッドが半田でブリッジしない程度に間隔を広げ寸法も大きめに確実に半田がまわりこめるようなパッドに設計されています。
さらにGNDパターンなどは広い面積で構成されますが、そこにつくコンデンサーなどはパッドが広いままでレジスト抜きだけ小さくした場合半田付け時に熱がまわりに逃げて半田が溶けにくくなりますので、その場合スリットを入れたり、サーマルパッドと呼ばれ独立したパッドに細い線数本でGNDに繋ぐ方法もとられますが、高周波ではインダクタンスになるため、注意が必要です。その他、フロー半田では半田付け時に基板をどの方向に移動しながら半田槽に漬けるのかを考慮しないと、隣のパッドとの半田ブリッジが多発します。また積極的に半田の流れを考えて、半田を逃がす(切る)パターンなどもみられます。
ソフト的には
SMD部品の資料を見るとパッドの大きさなど参考数値が書いてありますが、結構広い範囲でどの値を取ったらよいか迷う場合があります。大手企業やパターン設計会社などはCAD上ですでに実績のあるパッド寸法やメタルマスク寸法(クリーム半田をのせる大きさ)がノウハウとして蓄積されていいます。買った製品が壊れて捨てようとする時、一度は中を覗いて、基板のそんなところを見ると参考になったりしますね。
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