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2010年11月15日 (月)

ドレインキャパシタのはなし

ドレインキャパシタとは
高周波アンプのデバイス(FET)のドレインに電力を供給する部分につけるコンデンサー。
通常FETのドレインへはRFC(高周波チョーク)で高周波に影響を与えないように電源を加える。この部分のインピーダンスを下げるために高周波で抵抗の小さい数百PFや1000PFなどのコンデンサーとともに、低域での安定性を持たせるためにインピーダンスを下げる 1uF程度のセラミックコンデンサー、または数十uFの電解コンデンサーが用いられます。今回はパルスアンプなどで瞬間的に大電力を出力する場合のドレインキャパシタをどう選定すればよいか考えてみます。
ハード的にはDraincap
 右図はドレインをMOS-FETでスイッチングしてパルス出力しない時は、ドレイン電源を切ってデバイスのアイドリング電流も減らして電源効率をあげようというパルスアンプの例です。たとえば 200WクラスのGaN-HEMTアンプでもAB級動作でアイドリング時には2A(ドレイン電圧 50Vならば 100W)、定格出力時8A(効率50%として)ぐらい消費してしまいます。
 ここでパルス出力のDutyが 1%ぐらい、パルス幅が 10uS程度の場合は電源をどのように設計すべきでしょうか?連続運転でしたら 50V x 8A = 400Wの電源が必要です。しかしながら Duty 1% ならば、実際パワーとして出るのは 2W程度ですので、あまりにも電源効率が悪すぎます。そこでドレインキャパシターの電解コンデンサーでパルス出力時の電流をまかなうことを考えます。1Fのコンデンサーは 1Aの電流を1秒流せる(その時の電圧降下が1V)働きがあります。そこで今回8A必要ですから、8Fですが、実際はパルス幅が 10uSなので、その分少なくてすみます。 8F x 10x10^-6 = 80uF となりますが、1Vも電圧降下したら都合が悪いので、0.2V程度としますとコンデンサーの容量は 80uF÷ 0.2 = 400uFとなります。(実際はコンデンサーの時間に対する電圧降下の割合は直線的ではありませんが、50V中 0.2Vという微小な範囲なので、ほぼ直線とみなします)。
 パワーを出すためドレインに電圧がかかった時には電解コンデンサーの I3と電源からのI1で電流が供給されます。コンデンサーの電圧が低下しますとドレイン電圧も多少下がりますので、電源からのI1も多少増えていきます。出力期間が終わると、今度は電源からコンデンサーに充電されるようI2が流れます。このとき I3xTon < I2xToff ならばコンデンサーは出力しない時に再充電されますから十分供給動作することができます。ですからDutyが高くなると充電がうまくいかなくなりますので、注意が必要です。
 また、パルス出力の時間が長くなるとまた問題が出てきます。たとえばパルス幅が 10uSから1mSに増えた場合はどうでしょう?上記計算のコンデンサーでは 10uS で 400uFだったのが時間が100倍になりますので、400uF x 100 = 40000uF となり、実装可能な大きさからかけ離れてしまいます。
 パルスアンプの時はドレインキャパシターはDutyよりもむしろパルス幅に大きく関連することを覚えておきましょう。
ソフト的には
上記のような場合は、コンデンサーだけの電流供給だけでは不可能ですので電源を増やすしか無くなります。電源ユニットには「ピーク負荷対応」といって通常の電流最大値よりもパルス負荷ならば3倍程度まで許容する製品もあります。

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