キルヒホッフの法則のはなし
キルヒホッフの法則とは
[Kirchhoff's Current Law]と呼ばれ、「ある1点に流れ込む電流の総和と流れ出す電流の総和は等しい」というもの。
ハード的には
どんなに複雑な回路でも1点を考えた時に、その入ってくる電流と流れ出す電流が等しいですね。分岐した点では入ってくる電流と分岐して流れ出す電流の合計が等しいのは納得できますね。
右図の例で3dBのπ型アッテネーターの例で計算してみます。V0の電圧を持った信号源の内部インピーダンスは50Ωとして、負荷も50Ωとします。IN点の電圧(V1)をまず求めましょう。
そのためにはそこから負荷側をみた抵抗値が必要なので、まずはOUT側の抵抗値から計算しましょう。
OUT点を考えるとI3 が流れ込む電流、I4,I5が流れ出す電流値と考えられます。仮にここを V2とすると、I4=V2/300Ω ,I5 =V2/50Ω です。
I3 = I4 +I5 なので I3 = V2/300 + V2/50 = V2x( 1/300+1/50) =V2x(1/43) となり、合成した抵抗値は 43Ωとなることが並列抵抗の計算値からも判ります。
次に IN を見てキルヒホッフの法則をあてはまますと、 I1 = I2 + I3 で先ほど計算した OUT 点での合成抵抗は 43Ωなので ATT の 18Ωと合わせて 61Ωになります。
ここも同様に計算すると合成抵抗は 50Ωとなり、V1= V0x(50/(50+50)) = V0/2 となるのが分ります。この電圧が信号源の出力している電圧で、現在は50Ωにマッチングしているので、ATTをつけないで直接50Ωの負荷を繋いだ時と同じですね。
この電圧V1をATT前の電圧とします。 次にOUT端の電圧を求めましょう。OUT端の合成抵抗を求めた図では 18ΩのATT側 I3 と 43Ωの負荷側 I3が同じなので、分圧を求めると、 V2 = V1x(43/(18+43) ) となります。 V2= 0.7 x V1 と計算できます。この電圧を元に電力の減衰量を求めると、 V1の場合は P1=V1xV1/50Ω , P2 = V2xV2/50Ω = 0.7V1x0.7V1/50 =0.5V1xV1/50 =0.5xP1 となり電力が半分( -3dB)となることが分かります。
ソフト的には
ATTの計算を取り上げて簡単なキルヒホッフの法則の説明をしましたが、実用的なATTの計算は iPhone用アプリ ATTcalc を是非検討ください。dBm<->W換算、並列抵抗の計算機能もあります。
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