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2010年10月20日 (水)

SMDセラミックコンデンサーの周波数特性のはなし2

SMDセラミックコンデンサーの周波数特性
について、今回は ATC の小型チップコン 100Aシリーズについて考えてみます。
ハード的には
100Aシリーズは 1.5mm x 1.4mm の特殊なサイズですが、0.1pFから56pFまで250V耐圧で10pF 以下の B特では±0.1pF他は 1%の精密な容量を実現しています。
 今回 ATC社から提供されている S-パラメーターを使ってシミュレーションソフトでバイパスコンデンサーとしての特性を調べてみました。単純に2ポートとしてのSパラメーターです。
Atc100a1pf
上図は 1pFの特性です。通過の S21は3GHzぐらいからロス無しで、低域は容量不足でロス・反射(S11)とも悪いことが判ります。S11は8GHz付近が最も良くなっています。
Atc100a10pf
 次は 10pFです。S21の8GHz越えにディップが見られますが、低域は1GHz付近でも問題ないですね。S11の最良点は3GHz付近に移動しています。
Atc100a22pf
 次は22pFです。S21のディップが5GHz付近に下がり、さらに9GHz以上はロスが増えてきました。S11の最良点は2GHz付近で5GHz付近に乱れがあります。直列インダクタンスの影響で直列共振のようなS11波形が見られます。使用する帯域がそんなに広くない場合は最適な容量を選べば、良い特性を得られるでしょう。デカップリングとしてGNDに落とす場合にも参考になるかと思います。8GHz付近では10pFでは容量が大きすぎることが判りますね。もうすこし小型の 1608タイプが 600S シリーズにあります。小型のほうが高い周波数でロスが少なくなっていますが、やはりサイズが小さくなるので自動実装向けで、手半田では熟練が要求されます。
ソフト的には
 SMDセラミックコンデンサーはサイズが大きくなると不要なインダクタンスが増えるので、どうしても数GHzで使うには小さなものを選択してしまいますが、ドレインのバイパス用など大電力を扱う場合は発熱に対して不利になってしまいますので、悩ましい点です。

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